新米・森林インストラクターのときに、必死に覚えようとした「アカシデ」、「イヌシデ」、「クマシデ」の3種類。
同じような悩みを持っている方がいるかもしれないので、僕が覚えた方法をお伝えしたいと思います。
お役に立てれば、幸いです!
アカシデの葉は、若葉の頃、葉や葉柄に毛はあるが、後に無毛となります。
ポイントは、「葉柄や枝が赤い」ところです。
イヌシデの葉は、若枝や新葉に、白い毛が表面に生えています。
これは、次第に少なくなりますが、秋の落葉期でも残っているものが多いです。
アカシデとイヌシデの見分け方は、
葉柄と枝の色と毛の有無がポイント。
2種を比較してみます。
左がアカシデ、右がイヌシデです。
葉柄や枝を見て下さい。色の違いが明確ですよね。
赤い方がアカシデです。
「葉柄が赤いからアカシデ」(最初、柄は有毛で、後に無毛となります。)
「葉柄に毛があるからイヌシデ」。
クマシデの葉は、アカシデやイヌシデよりも葉の側脈数が多いという点がポイントです。
3種類の葉を比較してみます。
写真は、クマシデ・イヌシデ・アカシデの順番です。
葉の側脈の数が違いますよね。
側脈が多い葉がクマシデです。
次は樹皮。
アカシデの樹皮。
滑らかで、幹の肥大成長が均等でないため、表面が凸凹になるのが特徴です。
イヌシデの樹皮。
若齢木では平滑ですが、老齢木になると縦に割れ目が入ります。
アカシデの様に表面は凸凹しません。
クマシデの樹皮は、若齢木では滑らかで、老齢木になると浅く割れ目が入ります。
(※写真データが無いため掲載なしm(_ _)m。。。)
アカシデ、イヌシデ、クマシデの花は、4~5月頃、葉の展開と同時に、垂れ下がるように咲きます。
雌雄同株で、雌花は新枝(当年枝)から頂生垂下し、雄花は前年枝の側生垂下します。
アカシデの花
イヌシデの花
クマシデの花
アカシデ、イヌシデ、クマシデの実は、10月頃にできます。
種子には翼があり、風散布によって種子を運ぶタイプです。
イヌシデの実(種子)
クマシデの実(種子)
以下、アカシデ・イヌシデ・クマシデのネタです。
アカシデという名前は、「アカ」=新葉が赤い・秋に紅葉する、「シデ」=果穂が玉串や注連縄に垂れ下がる紙(四手)に似ているところからとされています。
別名は、コシデで、イヌシデより樹形が小ぶりだからとか・・・。
イヌシデという名前は、「イヌ」=シデと異なるという意味、「シデ」=上記同。
別名は新葉に白い毛が多いことからシロシデ。外にもアオシデ、アオゾヤという呼び名があるそうです。
クマシデの名の由来は、イヌシデより全体がより、壮大だからそうです。(^_^;)
別名はイシシデ、カタシデ。
盆栽ではシデ類を総称して「ソロ」と呼び、アカシデはアカメソロ、イヌシデはシロゾロと呼ばれるそうです。
アカシデは、低地~丘陵地帯の二次林や湿った所に生育します(乾燥する瀬戸内地域では少ないそうです。)。
イヌシデは、丘陵帯~山地帯に分布し、多くは二次林や山道の側などに生育します。
クマシデは、アカシデやイヌシデよりも標高が高い所に生育し、沢筋や緩斜地によく生育しています。
シデ類は、ある程度の耐陰性があり、適応性も高く、分布範囲も広いので、雑木林の構成樹種になりやすい樹木です。
ただ、萌芽力は弱いので、コナラやクヌギなどのように、伐採後の回復は容易ではありません。
アカシデの材は、器具材、床柱、傘の柄、下駄、紡績木管、シイタケ原木などに使われます。
イヌシデの材は、床柱、ステッキ、薪炭、シイタケ原木などに使われます。
クマシデの材は、農機具の柄、炭材、玩具、シイタケ原木などに使われ、成長が遅いので、材質は硬い。
以上、アカシデ・イヌシデ・クマシデの3種類に関するお話でした!
※2016年12月の記事を改編