はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

ニホンオオカミの剥製

2016年01月28日 | 狩猟・獣害のお話

 日本に3体しかないというニホンオオカミの剥製が、和歌山県立自然博物館に展示されてます。

 ニホンオオカミは、1905年に奈良県東吉野村で捕獲されたオオカミを最後に確認されていないと言われています

 絶滅した理由は、「狂犬病」の感染源となるオオカミの捕獲が奨励されたこと、大規模な森林伐採や猟銃の普及によってエサとなる動物(シカなど)が減少したこと、さらに、洋犬の輸入により持ち込まれたジステンパーなどの伝染病が流行し、絶滅に至ったとされているそうです。


 生態系の頂点に立っていたオオカミ。

 でも、オオカミがいた頃から、すでにシカやイノシシによる農林産物の被害はありました。

 日露戦争で毛皮の需要が高まり、シカが大量に捕獲され、シカ絶滅の危機を迎えたので、禁猟区や猟規制がかかり、シカの保護施策が始まり、今、個体数増加に至るわけです。

 まぁ、この時にオオカミがいれば、ここまで増えなかった…と言えるかもしれませんが。

 シカの天敵、オオカミを放つという話もありますが、昔(富里という地方で)、ウサギの被害がひどかった時に、キツネを放ったら、ニワトリへの被害が増えたという事例もあるので…僕は慎重派です。

 生態学はあくまで学問です。
 文献に基づく江戸時代の状況も現代の生活スタイルや森林利用も異なるので、そのまま当てはまるとはいい難いです。
 しかし、オオカミが絶滅した背景を見ても、十分に現代人の不安要素になります。

 これまで、人は森林資源に依存してきましたが、今は石油資源に依存しています。

 これだけ森林資源が豊富な時代は、今までなかったのではないでしょうか。
 また、森林に対するニーズも多様化し、森林を娯楽とする時代です
 オオカミがいた時代と現代は、あまりにも違い過ぎる。
 今、オオカミがいたら…どうなるのか…前代未聞
 そして、天敵動物の導入は多々ありますが、成功例はほとんどないと思います

 (沖縄県でもマングースの駆除に手を焼いているようですし・・・


 過去の過ちを失った動物の代替で正そうとするよりも、過去の過ちを繰り返さないよう、今、失う危機のある動物を絶やさないことの方が重要に思います。

 まぁ、人それぞれ、考えと都合がありますが、個人的には、人の過ちで乱した生態系は、責任をもって人が関わる必要があるように思えます

 ちなみに、ニホンオオカミの剥製展示は、1月31日までです。って、もうすぐ、終わりですけどね

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広葉樹資源を取り入れた林業経営

2016年01月25日 | 森林管理・森林空間・森林整備のお話

 これまで何度か妄想し続けてきた「広葉樹資源を取り入れた林業経営」について、一度、図を作成して、整理してみました

 ちなみに、「広葉樹資源を取り入れた」としていますが、用材ではなく、薪炭やキノコ原木など特用林産向けの広葉樹資源としています。

 今回も長文になりますし、あくまで、僕の妄想ですので、お時間があるときにお付き合いいただければと思います

 

 まず、インフラ整備が充実した環境は、植栽・育林・搬出・管理などあらゆる面で、コストを縮減できる要素を備えています。

 一方、インフラ整備が不十分な所は、コストの縮減が難しい・・・

 なので、インフラ整備が不十分なところは、手間のかからない森林管理・林業経営が無難かと思います。

 なので、これからの再造林は、萌芽更新が可能(再造林が不要)、早生樹、短伐期など手間がかかりにくい広葉樹を植栽するという選択肢を加えることも必要だと思います。

 もちろん、施業を進めながら、徐々に樹種転換する方法もアリやと思います。

 ここでの目的は、用材から薪炭やキノコ原木へ・・・とします。

 もちろん、用材より収入は小さくなるというデメリットもありますが、再造林が不要で、人工林よりも育林コストをかける必要がなく、短伐期(10~20年)というメリットもあります。

 あと、薪炭やキノコ原木なら、フォワーダやプロセッサなどが走行できる幅員の大きい作業道なども不要になるので、インフラ整備が不十分でも、軽トラが走行できるくらいの小さな作業道なら作ることができるかもしれない・・・という可能性もあります。

 

 そして、立木で購入してくれる方に直接、売り込む

 直売りは、搬出などの委託経費を縮減できますし、同時に出口も確保できます。

 

 ただし、立木購入者は、

  ・萌芽更新が可能になるよう適切な伐採を行うこと

  ・自身も所有者の林業経営の一部を担っていることを認識すること。

  ・次も購入できるように、循環的かつ安定的に収穫できる計画性をもつこと。

 という意識が不可欠です。

 これは、森林所有者と強固な信頼関係を築くために必要な要素だと思います。

 信頼関係があれば、

 「10年後もお願いね」、「あとこの場所もどう?」と安定的な資源の確保が約束されます。

 上手くいけば、同じ所有者の山を転々としながら、毎年や隔年ごとに資源を確保することも可能です

 資源を探しに、山を帆走する手間も、所有者を調べる手間も省くことが出来ます。

 

 一方、現在の森林所有者は、スギやヒノキなどの収入があっても、委託経費などを支出すると、あまり手元に残らず、山への投資も苦しい状況・・・

 

 ここに、広葉樹の立木売りという副収入源を作ることで、支出を抑えつつ、収入を得ることが可能に。

 そして、その収入を育林やインフラ整備などに投資。

 

 勿論、これは、机上の空論であり、図のようには上手くいかないのが現実です

 かなりの資源量が取引されないと、施業を賄える収入確保は難しいと思います。

 何より、実現するためには、人・山・流通・体制など色々な要因やハードルもあると思います。

 

 しかし、今のまま、コスト縮減を求められると、底が見えません

 5000円まで抑えたら、次は4500円、その次は4000円・・・

 そうなってくると、下刈りや除伐、つる切り、枝打ち、間伐といった育林施業を減らすことになり、結果、良い木材が生産できなくなります

 最終到達地点は、「支出は主伐の費用のみ」になりかねません。

 

 「良い木材を生産しても、それに見合う価格で売れない。だから、育林の手間を省く。」と反論されるかもしれません。

 でも、「見合う価格で良い木材を生産する方法を考える」ということを、放棄していいとは思えません。

 

 だから、コストをかけず、粗放状態でも収入源となりうる広葉樹資源を林業経営に取り入れるのも1つの手法。

 最近注目される「コウヨウザン」でもいいと思います。

 強度はスギ以上、再造林不要、早生樹という特性を生かし、B材を生産し、その収益で品質の良いA材を生み出す。

 B材やC材の需要に応える、満たしていくことも重要です。

 B材やC材は、A材のような高い品質を求めないという特性があります。

 その特性を生かし、とことんコストを縮減し、利益を上げ、それを元本にA材の品質を高める・・・という方法も考えられると思います。

 (ただし、B材やC材は外材との価格争いは否めません。キノコ原木や備長炭原木なら樹種も限定され、外材との価格競争も少ない。事実、キノコ原木の価格は、昔からあまり変動がないことが統計からも分かります。)

 

 「良い木材を生産する」ことを否定してはいけないし、諦めてはいけないと思います。

 「良い木材を生産する」ための方法を考え続けないといけないと思います。

 

 だって、こんなキレイな木材が無くなるなんて、絶対あってはならない

  

 キレイな木材を見ると、テンション上がります

 キレイな木材が生産できれば、モチベーション上がります

 

 「良い木材を生産する」1つの方法が「広葉樹資源を取り入れた林業経営」・・・という妄想でした

 ストレートにいうと、「粗放で儲かる林業」ですね。

 

 僕の妄想話に、最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございました

 

※関連記事 

 昔の拡大造林と現代の再造林 

 再造林における植栽樹種の選択

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樹木の重心

2016年01月17日 | 森林・樹木の基礎知識のお話

 以前、スギの人工林に行った時。

 落石が多く、地表面がよく動いてそうな現場で、大きな石を食い止めるスギを発見

 

 落石の衝撃が原因でしょうか。

 少し、重心が(矢印の方向に)偏っているように思えます。

 

 

 さらに梢端部を見てみると、

 今度は、逆方向に(矢印の方向に)木が曲がっています。

 

 樹木は光を求め、枝葉を広げます

 針葉樹は基本的に上へ上へと真っ直ぐに伸び、広葉樹は基本的に光が当たる環境を目指して、枝葉を広げます。

 基本的に広葉樹は、枝葉を広範囲に広げるため、重心がずれてしまい、倒木する恐れを抱えています

 そこで、根を広げて樹体を支えているわけですが、光環境を独占し、落ち着いたら、偏った重心を修正するように枝葉を広げます。

 雑な図で申し訳ありませんが、例えば、

 樹木Aは、他の樹木と競争関係にあると、まず、光のある方向に枝葉を広げます。(幹も矢印の方向に太くなります。)

 そして、樹木Aが他の樹木よりも大きく成長し、光環境を安定的に確保できると、今度は、重心を整えるように、逆方向へ枝葉を広げます。(自ずと幹も、先ほどとは逆方向に太くなります。)

 

 人間もそうですが、一番安定した重心は、まっすぐに立つ・垂直に立つことです。

 これは、広葉樹も針葉樹も同じ。

 今回のスギも、落石の影響で偏った重心を上方で修正しようとしたのだと思います。(他のスギに梢端部が抑制された様子もないので・・・)

 これもあくまで一例です。

 樹木の偏りは、色々な要因があるので、一概には言えませんからね

 でも、樹形を見ながら、これまでその樹木が歩んできた人生を、周辺の環境と照らし合わせながら、妄想するのも楽しいもんです

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棟上げ決まる!

2016年01月14日 | 思いつくままの雑多なお話

 棟上げの日が決定

 2016年2月6日となりました

 龍神村で育った木を・・・

 

 伐って、

 

 製材所で加工され、

 

 大工さんの手によって仕上げられ、

 

 この上に建てられます。

  

 

 山主さん、製材所さん、設計士さん、大工さん等々のお陰で、ついに、この日を迎えることが

 当の施主はといえば、初めっから、妙~なこだわりとワガママを言うだけで、申し訳なく思います

 本当に、「感謝」の一言に尽きます

 (竣工はまだまだ先ですけどね

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チェーンソーで石を伐ってしまった・・・

2016年01月13日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 年末のことです。

 竹林整備中に・・・石を・・・やってしまった

 幸い、刃の傷は軽傷。(僕の心は重症。)

 その夜

 寒い中、一人、倉庫で目立て

 刃の傷がなくなるまで、刃を削り、最後に長さを揃えるように調整

 (1つの刃で150回以上削ったかな・・・

 傷は修繕されたが、問題は切れ味

 

 で、切れ味を試すために一彫り

 思った以上に上々の出来(目立てがね

 (フクロウは顔の彫りが浅くて、能面フクロウに・・・後日、修正せねば。)

 チェーンソー復活

 機械は大切にしたい

 (ちなみに、復活したのは、一番左の機械です)

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新月伐採

2016年01月11日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 オーストリアでは、「新月に伐った木は虫がつかないし、長持ちする良質な材ができる」と言われています。

 そして、オーストリアのエルヴィン・トーマ氏という方が「新月伐採」を紹介し、日本でも実践する方が増え、NPO法人新月の木国際協会が起ち上げられたり、「新月の木」と商品の差別化を図られたりしています。

 一般的な木の伐採時期は、木の成長が緩やかになった秋から冬が適しており、中でも”11月~12月の頃の下弦の月から新月までの1週間の期間に伐採された木”は、「最高の新月の木」だそうです。

 そもそも、「新月伐採木」とは、どういう木をいうのか?

 ①冬期(10月~翌年1月31日まで)に伐採

 ②新月期(下弦~新月の間)に伐採

 ③葉枯らしを4ヶ月以上

 (だったと思います・・・。他にもあったら、ゴメンナサイ

 

 人によっては、「葉枯らしすれば、良質な材ができる」という方もいると思います。

 (写真イメージです。)

 個人的にも、一番のポイントは「伐倒木に枝葉をつけたまま、山で枯らす」ところだと思います。

 枝葉を付けたままにすることで、材の水分が抜け、疑似的に心材化されることで抗菌物質が生成され、腐れにくい・虫やカビがつきにくい木材になると思います。

 

 でわ、なぜ、新月なのか?・・・科学的なことは解明されていないようです。

 ただ、満月に伐採した杭と新月に伐採した杭を地中に打ち込んで、2年間放置したところ、満月の杭がシロアリにやられ、新月の杭は無事だったという事例もあるそうです。

 あと、考えられるのは「重力」・・・かな

 満潮にも関係すると言われているし、満月よりも新月の方が潮汐力が強いとか言われているし、出産も満月や新月に多いというし・・・ちょっと、強引な考えですが

 ちなみに”NPO法人新月の木国際協会”では、「新月伐採木」を証明・認証するシステムがあるようです。

 ※詳しくは協会のホームページへ http://shingetunoki.com/main-index.html 

 

 さて、新月伐採の効果は謎多きですが、「商品の差別化を図る」ことは大切だと思います。

 これから新築住宅着工戸数が減少すると中で、新たな木材の需要先として1つは「企業」が考えられます。

 そして、「企業が求める木材」は「環境に配慮して伐採された木材」ではないかと思います。

 それを証明するためには、FSCやSGECといった認証制度があります。

 木材は様々なルートを通じて、消費者の手元に届けられるわけですが、「環境に配慮して伐採された木材」を証明するためには、認証制度を活用するしかありません。

 個人的に、認証制度は木材の付加価値を高めるツールではなく、優先的に購入してもらえる営業ツールではないかと考えています。

 認証を取得すれば、「うちの木材を買うて」という営業が有利にできると思います。

 また、一般の方にも「うちの山は認証されてます」と誇れ、観光や教育面でも優先的に選定されるのでは?

 木材需要の先細りが予測される中、認証制度を取得し、早いうちに購入先を確保することも、これからの林業経営には必要ではないかな~と思います。

 そういう意味では、新月伐採木も計画的に伐採されたことを証明するシステムを取っているようです。

 企業を相手に木材を販売するには、数多ある認証制度を組み合わせた独特の営業方法を展開することも重要ではないのか・・・と、今日もそんな妄想を抱いています。

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キツネの小判

2016年01月09日 | 樹木・草花のお話

 次男が小さかった頃、夢中になって集めた「キツネの小判」

 なんでも「100個集めると願いが叶う」というド○ゴン○ールのような噂が・・・

 このキツネの小判は、山でも街中でも見かけるので、何か身近な植物の種のはず・・・と、ずっと疑問に思っていました。

 ネットで調べず、自分の力で究明すると、変なプライド(意地)を持ち続け、この日(2016年1月8日)ようやく謎が解けました

 

 遊びに行った公園で、きつねの小判を集めていると・・・・

 きつねの小判に似た実も落ちており、「ハっと」と思い、割ってみると・・・

 

 出たぁ!

 

 キツネの小判の正体は、この実

 そして、この実はハゼノキ

 キツネの小判ハゼノキの実

 謎が解けてスッキリ(^o^)!

 あっ、かぶれたらどうしようー(>_<)

 

 まぁ、スッキリしたところで、”キツネの小判”で検索すると・・・結構、ヒットするねぇ

 しかも、Wikipediaでハゼノキの種と紹介されてるし・・・。意地を張らず、調べればよかった(-_-)

 キツネの小判。

 全国的にも有名な話なんですね。

 集めたら、皆さんは、何を願いますか?

 

ちなみに、この実は「蝋」の原料になります。

和蝋燭に使われる「櫨蝋(はぜろう)」ですね。

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山の神

2016年01月07日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 師匠の仕事始めは1月7日。

 この日は、山に行って、お供えをしたり、作業道に日本酒をまいたりしていました。

 今では、師匠と直接連絡を取ることもなく、年賀状でやり取りするくらいですが、毎年1月7日になると、「今年も事故や怪我がないように気を付けよう!」と気持ちが引き締まります。

 この日だけでなく、日々、気を引き締めないといけないんですが・・・

 一般的に林業で山の神を祀る日は12月12日らしく、地方によっては1月12日だったり、11月7日もしくは17日だったりするところもあるようです。

 以前、12月12日にとある伐採現場に行ったら、

 お供えをしていました。

 12月12日は山の神様が木の本数を数える日なので、山に入ると木として数えられるため、山から降りられなくなるから(木の下敷きになるから)山に入ってはいけない・・・という言い伝えがあります。

 

 林業(伐採)が盛んだった頃の現場では、山の神様を祀る祠がありました。

 

 当時は、数年かけて伐採することもあったので、作業の安全を祈願したりするために祀られていたようです。

 

 山の神様は女性で、とても醜いとされています。

 なので、女性が山に入ると、山の神様が嫉妬して、災いが起こるという話もあるようです。

 そして、自分よりも醜い「オコゼ」という魚をお供えするというお話もあります。

 あと、里の神はとても美しいので、女性が里に入っても、嫉妬しないので災いが起きないとか・・・・

 と、師匠に聞いた話で、あまり古事記とか読まないので、詳しいことは知りませんが、他のネットでも似たようなことがかかれているので、だいたい合っていると思います

 ただし、里の神様はわかりませんね~

 もしかしたら、からかわれていただけかもしれへんし・・・。

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ヤブツバキ

2016年01月06日 | 樹木・草花のお話

 この時期によく見かけるヤブツバキの花。

Yabutubaki_2

 ヤブツバキは、日当たりの悪い日陰の場所でも生きることができる樹木です。

 ご存知のとおり、樹木は光を求めて、枝葉を大きく広げ、光を取り合いますが、ヤブツバキは、大きな樹木の下という日陰の環境で生きる能力を身につけた樹木です。

 ヤブツバキのように、日陰の環境でも成長できる樹木を「陰樹」といい、日陰に対する抵抗力のことを「耐陰性」といいます。

 

 ヤブツバキは、高木層(15m~25m)と低木層(2~5m)が利用しない空間である亜高木層(5~15m)という空間で生きる樹木で、高木層から漏れた弱い光を利用して、光合成を行います。

 弱い光を利用しているので、当然、生産量は少ない・・・。

 しかし、呼吸などの消費量を抑えることで、生きるために必要な栄養分を貯める節約上手な生き方をしています。

 

 光の弱い環境(暗い環境)に住むメリットとして、

 ①適度な湿度が確保される(乾燥しない)

 ②風当たりが弱い(強い風に吹かれない)

 ③競争相手が少ないため、生存競争に負けるリスクが低い

 ということが挙げられます。

 

 光の取り合いによる激しい競争に生き残るためには、枝葉を大きく広げ、ほかの木よりも先に空間を支配する必要があります。

 ただし、広げた枝葉を支えるためには、強い幹と根を持ち、自分自身が倒れないようにしないといけません。

 住みやすい環境で生育していくためには、他の樹木との生存競争に勝ちつつ、自分自身を支える力を身につけないと生き残れない

 ヤブツバキは、そんなリスクを背負うくらいなら、あえて環境の悪いところで、地道に生きる道を選んだ・・・と思います。

 

 そんなヤブツバキ。

 実は、生きるためにもう1つの工夫がなされています。

 それは「葉」。

Tubaki_r

 ヤブツバキの葉は厚くて、ツヤツヤに光っています。

 このツヤツヤは、ロウ物質でできた「クチクラ層」という透明の膜で、葉の水分が蒸発しないように守っています。

 ヤブツバキの葉は厚くて、クチクラ層が発達しているので、乾燥から身を守ることができます。

 おそらく、大きな木が倒れたとき、突然、亜高木層という日陰の環境が明るくなって、乾燥したときに備えているのだと思います。

 

 

 まだまだあるヤブツバキのもう1つの生存戦略。

 それは「冬に花を咲かせる」こと。

Yabutubaki_f02_2

 亜高木層は風が弱いので、花粉を風では運べません。

 しかも、冬は虫が少ないので、虫に運んでもらうこともできません。

 では、なぜ冬に花を咲かせるのか・・・。

 

 冬という餌の少ない時期に花を咲かせることで、鳥にとってありがたい食料となります。

 ヤブツバキは、冬という競争相手が少ない時期に花を咲かせ、鳥に花粉を運んでもらい、ゆっくりと子孫を残すというわけです。

 ヤブツバキは、生存競争という争いごとを好まない、やさしい樹木なのかもしれません。

  

ヤブツバキの用途

 ヤブツバキの樹皮は、白っぽく滑らかで美しいため、床柱として重宝されています(いました?)。

 また、材質も固く緻密なので、器具材や木工芸品などに使われます。

 建築材にも使われていそうですが、その昔、ツバキの大木が伐採されたため、今では建築材として使える大木はありません

 さらに木炭としても品質が高く、そして、種子から椿油が取れるなど非常に用途性の高い樹木です。

Yabutubaki_s_2


 

ツバキの花にまつわるお話

 ツバキの花は、萼を残して、花弁ごとボトッと落ちるので、その姿を「首が落ちる」と見立てられました。

 Tubaki_fd なので、

 「お見舞いには縁起の悪い花だ」と言われ、昔の侍にも、縁起が悪いと嫌われたそうです

 さらに、競馬界でも「落馬」を連想することから競争馬の名前には使われないなど、マイナスのイメージもあるようです

 

ツバキとサザンカの違い

 ツバキによく似たサザンカ。

 その違いは・・・

 ヤブツバキの花は花弁ごと花が落ちますが、サザンカは花弁がバラバラになって落ちます。(左:ヤブツバキ 右:サザンカ)

Yabutubaki_f01_3 Sazanka_f_2

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白ヘビと鏡餅

2016年01月03日 | 爬虫類・両生類のお話

 我が家では、ヘビを飼っています

 ヘビの種類は「テキサスラットスネイク」というアメリカ産のヘビで、名前を「シルク」といいます。
(1歳当時の写真)

 シルクは、2004年10月4日生まれの男の子で、現在11歳
 エサはネズミで、夏場は週1匹、冬場は隔週で1匹ですが、食べない時もあるので、1カ月間、食べてくれないことも多々・・・

 昔は、手に乗せて、ネズミをあげていましたが、今では、ネズミごと指を食いかねない勢いで、飛びかかってきます
(6歳当時の写真)

 


 突然、話が変わりますが、お正月の鏡餅は、「白蛇がとぐろを巻いた姿」を見立てているという説があるそうです(有力説では、三種の神器を見立てているとのこと。)。


 ヘビはネズミを食べてくれるので、昔の庶民にとっては、ネズミから穀物を守ってくれる有り難い存在だったと思います。

 日本の中世以降に信仰された穀物神の「宇賀神」も、頭が人で体が蛇になっています。

 地域によりますが、白蛇は「神様の使い」ということで、非常に縁起の良いものとして、祀られています。



 白蛇といえば、山口県岩国市のシロヘビ(アオダイショウのアルビノ個体)が有名です。
 アルビノとは、簡単に言うと、遺伝的な変異によって、黒色の色素(メラニン)が欠乏している個体を言います。

 ヘビに限らず、シカ、タヌキ、ザリガニ、カエルなど色々な生き物に現れますが、通常の個体と異なり、病気に対する抵抗力がなかったり、目立ちすぎて、すぐに捕食者に襲われたりするため、野生では短命です。
 なので、なかなかお目にかかれません。

 奈良公園に行くと、たま~にアルビノのシカに出会えることもあります。
 しかし、アルビノのシカは、見た目の違いからか、いじめられるそうです・・・。

 アルビノの他にリューシスティック(白変種)と呼ばれる個体もいます。
 その違いは、目の色。

 眼(瞳孔)が黒いのは、メラニン色素があるためで、アルビノはメラニンが欠乏しているんで、もちろん眼にもメラニン色素はありません
 そのため、眼が赤色(血液の色)だったり、白色だったりします。

 

 ちなみに、シルクは”リューシスティック・ピンクアイ”

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