はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

バッテリー刈払機 Husqvarna

2022年06月30日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 バッテリー式刈払機(Husqvarna製)を購入したので、使用した感想です。

 結論から言うと「いい!」。

 全体的にどの機械もバッテリーの質が良くなっているとは思っていたけど、思った以上に良いですね。

 昔の感覚で考えると、全くの別物です。

 

 さて、今回購入したバッテリー刈払機は、Husqvarnaの「520iLX」。

 作業場面に応じて、使い分けたいので、チップソーとナイロンコードを合わせて購入しました。

 

 なお、今回は、山林作業ではなく、農作業や自宅周辺の草刈りで使いました。

 そして、石積みが多い畑や田舎の道路脇を刈るため、ナイロンコードを使用。

 

 フル稼働で30~40分。

 最後まで馬力は衰えず、エンジン式と変わらず普通に刈れます。

 そして、軽い。

 先端は、モーターのため、エンジン式より重いですが、農作業で使う分には、全く問題ありません。

 ナイロンコードも、青い部分を地面に押しつけるだけで、新しいコードが飛び出してくれるので、交換作業が不要で、すっげー楽♪

 

 バッテリーも交換直前まで、フル充電と変わらない馬力だったので、最後まで、ストレス無く作業が出来ました。

 バッテリーの交換もスムーズです。

 

 バッテリー残量が無くなった状態での、充電時間は、だいたい50分ほど。

 バッテリーが2~3個あれば、充電を繰り返しながら、1日中作業できます。

 ちょっと、家の周りの草を刈りたい。

 朝早いから、近所に迷惑かな?

 バッテリー式なら、そんなこと気にせず、サクッと作業にかかれるのがいいですね。

 ちょっと刈りたいよって時だと、ガソリン入れるとかが、結構面倒(^_^;)。

 

 エンジン式とバッテリー式。

 それぞれの長所とメリットを活かして、夏の草刈りを乗り切ろうと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

車に引きずられた枯れ枝が着火

2022年06月03日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 山道を車で走行していると、時々、車の下に枝が引っかかる、なんて事がありませんか?

 

 車の下に枝が引っかかると、ズズズズズーみたいな音がして、運転中、気になります。

 そんな時は、一度、バックして、枝が外れたことを確認したら、そのまま前進します。

 

 今日も、車の下に枝が引っかかったので、いつもどおりバックして、枝が外れた事を確認し、そのまま前進しようと思ったのですが、よく見ると、枝から煙が・・・・

 

 「えっ?」と思い、車を降りて、確認すると・・・・

 ほんのり赤く燃えてます・・・。

 

 そして、燃えた破片も・・・

 

 道路脇には、スギやマツの枯れた葉が集まっています。

 もしかして、この破片が、風に流されて、枯れ葉のところまで流されると、燃えるんじゃない?

 一応、水筒の水をかけて、火事にならないように配慮しました。

 

 もしかすると、気づいていないだけで、今までもこんな事があったのかも(^_^;)

 今度から、舗装道路を走行中に枝が引っかかったら、着火していないか、そこまで確認しよう・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山林作業の基本姿勢③

2022年04月24日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 3回目になります山林作業の基本姿勢について、今回は、下刈り鎌と草刈機(刈払機)を扱うときの基本姿勢です。

 林業に限らず、農業や道路の草刈りにおいても使用される草刈機ですが、僕が目に付く限り、足の位置が正しくない方が多いです。

 ちなみに、「草刈機を持って、左足が前になる方」は、要注意です。(草刈り機を右側に持った場合です。左側に持つ方って、多分いないと思いますが(^_^;)。。。)

 1回目の鉈、2回目の鋸・チェーンソー同様、下刈り鎌と草刈機も振り払った刃先側の足は後ろ足なのですが、草刈機の場合、逆足になっている方が多い(僕が見る限り)と思います。

 

 下刈り鎌を使って、下刈りを行うとき、「右足が前・左足が後」の姿勢が基本です。

 1回目の鉈、2回目の鋸・チェーンソーでも説明したとおり、切れる刃の先にある足が後の位置になります。

 下刈り鎌を使う場合、自然と「右足が前・左足が後」になります。

 そもそも、「左足を前・右足を後」にすると、上手く鎌を扱うことが出来ないので・・・。

 

 そして、移動時も、常に「右足が前・左足が後」になるように足を運びます。

 左足が右足より前に出ることがありません。

 右足を出して、左足は右足のやや後方に運びます。

 実は、この足運びだと、体を安定させつつ、移動することが出来ます。

 

 空手やボクシング、剣道、柔道など格闘技を経験された方は分かると思います。(右利きの方は、先述した足の位置が真逆になりますが。)

 僕はボクシングをしていたので、リング上での足運びは「左足が前・右足が後」です(サウスポーの方は逆です。)。

 そして、試合中、決して「右足を左足の前に運ぶ」ことはありません(あるとしたら、クリンチの時くらいですね。)

 足の位置は逆ですが、理屈は同じです。

 逆に、サッカーやバスケットボール、野球などの球技経験者は、この足運びに違和感があると思います。

 

 山林作業は、急斜面な上、浮石や根株など転倒要因となる障害が多く、その上、草が茂って足下が見えにくいという不安定な環境において行われます。

 転倒しないためにも、常に安定した体姿勢を保ちつつ、作業することがポイントになります。

 そして、下刈り鎌は、「右上から左下へ」刈り払うので、刈り払った刃に近い左足が後になります。

 よって、下刈りの基本姿勢は「右足が前・左足が後」になります。

 

 さて、草刈り機を使用する際も、下刈り鎌と同様の姿勢と足運びが基本です。

 

 まず、草刈り機の刃は、右回転で回ります。

 

 草刈り機に限らず、角材を切る「丸鋸」や研磨に使う「グラインダー」も刃の部分が右回転で回ります。

 右回転で回る機械は、すべて、左上の部分で角材を切ったり、磨いたりします。

 それ以外の場所で切ったり、磨いたりすると、機械に変な振動を与え、それがキックバックに繋がります。

 

 

 

 

 これは、草刈り機も同様です。

 草刈り機の刃も、右回転で回るので、草や灌木を切る部分は、「左上」の部分になります。

 正確には、「左上1/3」の部分になります。

 右上の部分や右下の部分を使って、草や灌木を刈る方もいますが、機械への負担も大きく、キックバックが起こりやすい場所なので、この部分を使うのは、危険です。

 笹刈り刃など刃の種類や目立ての技術の差で、そのリスクを下げることも可能ですが、それを示す基準も論理的な説明資料もないので、新人や経験が浅い方に対する指導や見本としては、個人的にはどうかなーと思っています。

 

 対象物を「左上1/3」の部分で刈ると言うことは、刃の動きは「右から左」になります。

 ということは、刃に近い左足が後になります。

 下刈り鎌同様、「右足が前・左足が後」の姿勢になります。

 この姿勢を維持するため、足運びも「①右足を出す」、「②右足を進めた分、左足を出す」、「③右足より前に左足は出ない」になります。

 

 正しくない作業姿勢です。

 この時、手前の刈り残しがある灌木を刈ろうと、機械を手元に寄せて、刈ろうとして、キックバックを起こし、左足の指を切ってしまう事故が起こります。

 もし、「右足が前・左足が後」の姿勢であれば、このような事故は起こらなかったかもしれません。

 

 ちなみに、「左から右へ」戻すとき、草や灌木を刈らないように戻します。

 

 実際に、草刈り機を持って、この動きを試してみて下さい。

 今までと異なる体の使い方になるので、違和感がある・動きにくいなど、とにかく馴染まないと思います。

 だけど、不安定な場所や危険と感じる場所で作業する際、「右足が前・左足が後」を維持した姿勢で作業をしていると思います。

 意識されている方も無意識の方も、「不安定な場所では、この体勢が安全、やりやすい。」と感じているからだと思います。

 自分自身が「大丈夫。」と思っている場所では、この姿勢で作業をせず、「不安定だな」的なことを感じたら、この姿勢で作業をしていませんか?

 

 その違いを、新人の方や経験の浅い方が、確実に理解できるように伝えることが出来れば、自分自身の感覚を伝えれば良いと思いますが、実際の所、自分自身の感覚を言葉だけで他の方と共有することは非常に難しいです。

 さらに、自分が「大丈夫。」と判断する要素も、正しく相手に伝え、それを共有することも非常に難しいです。

 新人の方は何も分からないし、経験の浅い方も経験不足の所があります。

 まずは、「怪我をしないこと」を優先すべきだと思うので、指導の上で、基本姿勢を教えて、身につけさせることが大切だと思います。

 

 僕が駆け出しの頃、周りが草刈り機で下刈りする中、師匠に下刈り鎌を渡されました。

 下刈り鎌を使うと、必ず「右足が前・左足が後」の基本姿勢とその姿勢を維持する足運びになります。

 それを体に染みこませるため、下刈り鎌を渡されました。

 下刈り鎌の刃の動きも草刈り機の刃の動きも同じだから、この基本姿勢を身につけさせる師匠の指導方針は、今も感謝の気持ちしかありません(当時は、大変だったけど(-_-))。

 

 草刈り機は機械ですが、チェーンソー同様、刃物です。

 

 左足を刃に近い場所へ運ぶ姿勢は、正しくありません。

 

 「右足が前・左足が後」が基本姿勢です。

 その姿勢を維持するため、足運びも「右足を進め、右足を進めた分左足も進め」、左足が右足より前にならないようにします。 

 浮石や根株など転倒要因となる障害物や急斜面、草が茂って足下が見えにくいという環境の中で行う山林作業。

 まずは、「体の動きやすさ」を優先するよりも「体の安定さ」を優先すべきではないでしょうか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山林作業の基本姿勢②

2022年04月10日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 山林作業の基本姿勢2回目の今回は「鋸・チェーンソー」における作業の基本姿勢についてです。

 

 前回の鉈同様、鋸も刃物なので、切り終わったときの刃先が自分の足にあたらない姿勢が基本となります。

 

 鋸で受け口を作る場合。

 次の写真を例にすると、鋸の動きが(自分自身から見て)左から右なので、左足が前・右足が後になります。

 前回の鉈のお話でも説明しましたが、振り下ろす刃側の足は、必ず後ろになる姿勢が基本です。

 

 

 足が逆になっているダメな姿勢です。

 鋸の場合、この姿勢では、力が入りにくく、切りにくいです。

 ところが、チェーンソーの場合、刃が高速で回転するので、足が逆になっても、違和感なく伐ることが出来てしまいます。

 

 僕が駆け出しの頃、皆がチェーンソーで間伐する中、一人、鋸を渡され、ギコギコと間伐をしていました。

 そして、それにもしっかりとした理由がありました。

 チェーンソーを使う前に、まずは、鋸を正しく扱う技術と正しい作業姿勢を身につけるためです。

 

 鋸で木を伐る場合、足下をしっかりと確認し、しっかりと踏ん張らないと、上手く伐ることが出来ません。

 チェーンソーの場合、機械さえしっかりと持っていれば、高速回転する刃によって、勝手に切り進んでいきます。

 そのため、鋸ほど、足下をしっかりと踏ん張る必要もないし、腰を屈めるような姿勢でも木を伐ることが出来ます。

 鋸は、しっかりと踏ん張らないといけないし、腰を屈めるような姿勢だと腰への負担が大きく疲れてしまい、1日中、間伐することが出来ないので、自ずと、腰を落として、踏ん張る姿勢が身につきます。

 師匠から「鋸を上手く扱えない者は、チェーンソーも上手く扱えない」、「鋸で真っ直ぐに伐れない者は、チェーンソーでも真っ直ぐに伐れない。」と、何度も何度も注意されました・・・(T_T)。

 

 そして、追口。

 鋸の動きが右から左に変わるので、作業姿勢も、右足が前・左足が後になります。

 受け口と追い口で作業姿勢が変わります。

 

 そして、正しくない姿勢、左足が前・右足が後。

 受口の時と同様、切りにくいですけどね・・・。

 正しい作業姿勢、刃物を扱うときの作業姿勢を理解・認識していないと、この姿勢でも違和感なく、チェーンソーで切ることが出来てしまいます。

 

 鋸がチェーンソーに変わっても、基本姿勢は変わりません。

 次の写真のように受口を作る際、チェーンソーの刃は左から右に向かうので、「左足が前・右足が後ろ」です。

 受口なので、そのまま切り進めなくても、刃の進行方向に近い位置の足は後ろが基本です。

 追い口になると、刃は右から左に進むので、作業姿勢は「右足が前・左足が後ろ」になります。

 刃の進行方向に近い位置の足は必ず後ろ、というのは、鉈や鋸と同じです。

 自分の足を伐らないようにするためです。

 チェーンソーは機械ですが、伐る道具なので、刃物と同じように扱う姿勢が基本姿勢になります。

 

 

 次に、鋸の動きが上から下になった場合。

 枝払いとか造材の時ですね。

 

 右利きの方は、右足が後・左足が前になります。

 正しくない姿勢は、右足が前・左足が後です。

 万が一、途中で枝が折れたら、伐り進んだ鋸の刃先が、自分の足にあたるリスクがあります。

 チェーンソーでの枝払いや造材も同様で、そして、その危険度は鋸の比ではありません。

 

 鋸の場合、正しい作業姿勢でないと、すごく疲れるし、無駄な力が入るため、伐り方に違和感を感じます。

 チェーンソーの場合、機械なので、正しい作業姿勢でなくても伐り進むことが出来ます。

 そして、正しい作業姿勢を知っていないと、その違和感を感じることが出来ません。

 

 僕が駆け出しの頃は、初めから機械ではなく、手道具でした。

 今の新人さん達は、早々から機械を扱うことになります。

 山林における作業姿勢、刃物を扱う基本姿勢の認識がないままに、機械を扱うと、姿勢の違和感を感じることなく、作業を進めてしまいます。

 そして、その姿勢が、自分に対する怪我のリスクがあることにも気づきにくくなります。

 

 本来、伐採や枝払い・造材の際は、木や枝の位置に合わして、自分の立ち位置も合わせ、正しい姿勢で作業にかかることが基本です。

 しかし、機械に頼る分、木や枝の位置に合わして、機械の向きを合わせる姿勢がクセになってしまうことが多くなり、結果、伐ったその先に自分の足を出してしまい、自分で自分の足を切るという事故に繋がります。

 

 移動するのが面倒だから、腕と足を伸ばして、枝や玉切りをしていませんか?

 やむを得ず、腕と足を伸ばさないと、木が切れない状況で作業をしていませんか?

 このとき、右足を前にすると、より先の方まで、木を伐ることが出来るので、右足を前に出して伐ろうとし、チェーンソーの刃が右足にあたるという事故に繋がります。

 そもそも、腕を伸ばした状態でチェーンソーを扱うことは危険ですが、少なくとも左足が前・右足が後の基本姿勢であれば、足を切るというリスクが下がります。

 

 機械をすぐに扱えないと仕事にならない時代ではありますが、基本姿勢の認識、一動作での基本姿勢の意識は、非常に重要だと思います。

 特に、林業大学校などでは、こうした基本姿勢、山林作業のそもそも論を、教えていくべきではないかなーと思います。

 

 チェーンソーは機械ですが、扱い方は刃物と一緒です。

 刃物で作業するときの基本姿勢を理解しておかないと、チェーンソーで怪我したとき、具体的な原因と対策が理解できない恐れもあり、同じ事故が再発するリスクにも繋がります。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山林作業の基本姿勢①

2022年04月06日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 林業の仕事は、基本的に刃物を扱う作業になるため、刃物を扱う基本姿勢が山林作業の基本姿勢になります。

 この基本姿勢は、チェーンソーや刈払機の機械を扱うときも同様です。

 4月を迎え、新入社員が入った会社もあると思うので、今回は、「鉈」、「鋸・チェーンソー」、「刈払機」に分けて、山林作業の基本姿勢について、お話したいと思います。

 

 今回は「鉈(なた)」について。

 

 右手で「鉈(なた)」を持ち、右上から左下に向かって振り下ろして、灌木などを切る場合、「右足が前、左足が後」が基本姿勢になります。

 そして、右手で持った鉈を左上から右下に向かって振り下ろす場合は、「左足が前、右足が後」が基本姿勢になります。 

 ちなみに、左利きの方は、左手に鉈を持ち、左上から右下に向かって鉈を振り下ろす場合は「左足が前、右足が後」、右上から左下に向かって振り下ろした場合は「右足が前、左足が後」が基本姿勢になります。

 

 この基本姿勢のポイントは、「刃を振り下ろした側の足が、必ず後になる」ということです。

 それは、「自分が振り下ろした刃で、自分の足を切らないため」です。

 

 この姿勢は、鉈に限らず、日本刀を扱うときも同じです。

 

 映画やテレビなどの時代劇で見られる日本刀で斬り合う「殺陣(たて)」というシーンを、一度、じっくり見てください。

 上段の構えで、日本刀を左上から右下に振り下ろす際、左足が前・右足が後になっています。

 

 また、下段の構えで、左下から右上に振り上げる際は、左足を後・右足が前になっています。

 刃を振り上げる時、左足を切らないよう、左足が後になっています。

 

 そして、鞘から刀を抜く時。

 左足が後・右足が前の姿勢になります。

 これも、鞘から刀を抜く際、左足を切らないため、左足が後になります。

 とある漫画で、必殺奥義の秘密を「抜刀の際、左足が前になっている」と明かしていますが、実際は、正しくない姿勢です(^_^;)。

 

 さて、山林作業において、この必殺奥義と同じ姿勢で、灌木を鉈で切ろうとすると・・・

 自分で自分の足を切ってしまう恐れがあります。

 鉈の目立てが悪く、灌木への切り込みが甘くなり、鉈が滑り、そのまま自分の足へ・・・なんて、ケガになることもあります。

 

 駆け出しの頃。

 師匠から渡された鉈は、右利き用の片刃の鉈でした。

 その理由は、「両刃だと左右両方向で切ってしまう。逆方向を切るとき、基本姿勢を直さず切ろうとして、結果、怪我する」から。

 右利きの場合、右上から左下に振り下ろすのが正方向、左上から右下に振り下ろすのが逆方向と教わり、正方向で切る場合、正しい基本姿勢で切るけど、逆方向に切るとき、そのままの姿勢で切ろうとしてしまうから、怪我に繋がるということです。

 

 まず、正方向で切るときは、この姿勢。

 

 だけど、逆方向で切るときは、この姿勢のまま、切ろうとしてしまう・・・。

 

 人は同じ作業を繰り返すうちに、基本姿勢の意識が薄くなり、段々と無駄な動きをしない、簡素な動きに、無意識に替えてしまう。

 無意識に替えた姿勢が正しいなら問題ないけど、大抵は、正しくない姿勢になる。

 なので、逆方向では切れない、片刃の鉈を持たされた・・・というわけです。

 

 では、片刃の鉈で、逆方向にある灌木を切る場合はどうするのか。

 正方向で切れる位置に体の向きと姿勢を変えてから、灌木を切ります。

 師匠は、状況に応じて、自分の体の向きや姿勢を変えるクセを身につけさせるために、片刃の鉈を渡してくれました。

 

 繰り返しになりますが、林業の作業は刃物を扱う作業が基本で、その基本姿勢は、刃物を扱う基本姿勢と同じです。

 

 鉈を右上から左下に振り下ろすときは、右足が前・左足が後。

 左足が前・右足が後の作業姿勢で鉈を扱うと、自分が振り下ろした鉈で自分の足を切ってしまいます。

 

 逆方向に、左上から右下に振り下ろす際は、左足が前・右足が後。

 鉈を無双のごとく振り回すうちに、無意識で、右足が前・左足が後という姿勢になってしまうと、自分の足を切るリスクが上がります。

 

 林業・ボランティアに関わらず、新入社員や初めて山林作業をする方に、この基本姿勢を指導することは、とても重要で大切なことです。

 

 「なぜ、この基本姿勢なのか。」

 『それは、自分で自分を傷つけないため。

  そして、日本刀を扱うときも同じ。』

 

 と言う風に、指導する際、非常にシンプルで、辻褄のあう説明が出来るので、結構、納得いただいています。

 そして、間違った作業姿勢になっている方を見つけたら、「足、逆ですよ。気をつけて下さいね。」と一言声をかければ、すぐに直してくれます。

 注意された方も、考えて、意識して、直してくれます。

 注意したときの声を聞いた方も、同じように意識してくれます。

 

 林業は肉体労働が多いので、疲労が溜まると、集中力も意識も散漫になりがちです。

 だけど、少しでも、「はっ」と自分で気づき、自分で基本姿勢を直すクセを身につけることが、大切だと思います。

 そして、それを繰り返すことで、正しい作業姿勢が身についていくと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プラロック

2020年07月22日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 時々、山へ木を伐りに行きます。

 チェーンソーアートやチェーンソー製材に使う丸太や薪に使う丸太を得るために。

 あと、地元のおっちゃんに「あの木、好きに使こてな~」という体の伐採依頼とか(*_*;

 基本的に1人で伐採することが多いので、安全に伐採するために不可欠な道具がこの「プラロック」。

 プラロックは、間伐など木を伐倒するとき使用するけん引道具です。

 価格は20,000円~30,000円程度、これより小さい機種(引張200kgf)だと15,000円程度かな。

 大は小を兼ねるというので、僕は引張350kgfの大きい機種を購入しました。

 そこそこな重量物なので、チェーンソーと一緒に持って林内を歩くと、結構な荷物です。

 ほかにも燃料、チェーンオイル、ロープ、滑車、水筒などもありますからね・・・・(^_^;)

 これがあれば、直径60cmのスギやヒノキの大木も、倒したい方向へ伐倒する事が出来ます。

 もちろん、安全に木を倒すための受口と追口を正しく作る技術も不可欠です。

 

 倒したい木の先端にロープをかけて、プラロックでカチカチとロープを引く。こんな感じで。

 プラロックを使う場所は、倒そうとする木の後方です。

 真正面の方が楽ですが、自分に向かって木が倒れてくるので、危険です。

 それでも、真正面から引きたい場合は、樹高の2倍の距離を保って下さい。(例えば、樹高15mなら30m離れるって事です。)

 プラロックは、初心者の方に伐採指導するときに大活躍です!

 木が倒れそう・・・という直前に、前もって確保した安全な場所でプラロックを引けばいいので、とっさの避難でも慌てず行動することが可能です。

 

 ホント、プラロック様々(^o^)。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

手鋸・下刈鎌 手道具を使うことの重要性

2020年07月12日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 林業だけでなく、森林ボランティアでも、チェーンソーや草刈機を使用することが一般的な現代。

 僕が林業の業界に入った20年前(2000年)は、森林ボランティアでチェーンソーを使う方は、どちらかと言えば少数派って感じで、手鋸で間伐をしている方も多く、下草も下刈鎌を使っている方もいました。

 森林ボランティアに対する補助金が充実したり、国や都道府県と連携することも増え、機械類が購入しやすくなったという背景もあると思いますが、今では、森林ボランティアの方もチェーンソーで木を伐る、草刈機で草や灌木を刈ることが当たり前になっていると思います。

 ある日、僕の師匠が、師匠が新人だった頃の話をしてくれました。

 「駆け出しの頃は、周りがチェーンソーや草刈り機を使っている横で、1人、手鋸と下刈鎌を使って仕事をしていたから大変やった。」と。

 だけど、「でも、手道具で仕事してたら、山で働く体の動きが身についたから、結果的によかったわ。」と。

 「今は、仕事にならんから、新人にも機械を渡すけど、機械の扱いを教えながら、動きも見なあかんから、指導するのも大変。手鋸や鎌やったら、渡して、作業しやすい場所を割り当てておいたら、まぁ、放っておいても、大きなケガになることは少ないからな。ゆっくりと育てられる。」

 つまり、

 新人が林業で最初に学ぶことは、山の中での体の動かし方。
 それには、手鋸や下刈鎌で作業するのが一番。

 僕が初めてチェーンソーを買おうと思って、師匠に相談した時、

 「手鋸で伐ることも続けな、あかんで。」と言われました。
 
それはなぜか。
 チェーンソーは正しい姿勢でなくても、木を伐ることが出来る。
 目立てが上手ければ、無理な姿勢でも、木を伐ることが出来る。

 草刈機も正しい姿勢でなくても、草を刈ることが出来る。
 目立てが上手ければ、太さ10cm以上の灌木だって、スパっと切れる。

 だけど、手鋸や下刈鎌は、正しい姿勢でないと伐る・刈ることが出来ない。
 頑張れば、伐る・刈ることは出来るけども、長時間、続けることは出来ない。

 体を安定させ、しっかりと踏ん張ることが出来る姿勢で作業しないと、手鋸での間伐は、ただただ疲れるだけ。

 手鋸で作業していると、疲れてきたら、自分の姿勢を直したり、ポジションを変えたりしますが、チェーンソーは「あと少し・・」みたいな気持ちが出て、姿勢を直したりすることは少なかったり・・・。

 手鋸で木を伐り続けるには、非効率な作業をなくし、効率かつ長続きできる方法を身につけないといけないので、伐る前に、自分の立ち位置、木を伐る高さと伐りやすい姿勢、足下が踏ん張れる場所などを考えるようになり、伐るためのポジションを確認するようになります。

 

※間伐用手鋸のイメージ

 しかし、新人が初めからチェーンソーを使って、木を伐っていると、そこに行き着くことは少ない。

 自ずとそこに行き着く新人がいたら、その新人はかなり優秀です。

 人は「楽をしたい」と思うので、非効率な手鋸を使うことによって、効率的な作業姿勢や方法を自ら考え、繰り返すことで、上達していきます。

 チェーンソーを使うと、人が備えている考える力を奪ってしまいます。

 インターネットが普及し、検索すれば、色んな情報が手に入り、特に考える必要がなくなったというのと同じ現象ですね。

 

 下刈りも同様です。

 下刈鎌を使って作業する場合、作業時の足の立ち位置が「右足が前・左足が後」になります。

 作業時の足の運び方も、前進するとき右足→左足の順に足を運びます。

 この姿勢と足運びは、草刈機を使用するときも同様です。

 しかし、草刈機も正しい姿勢でなくても、草や灌木を刈ることが出来るので、「左足が前・右足が後」でも違和感なく作業することが出来ます。

 下刈鎌を使う場合、足が逆になると動きがぎこちないと実感することが出来ます。

 例えば、次の一歩を踏み出した後、手前の草が刈り足りないと気づいた時、下刈鎌を使っていると、一歩下がってから、刈り直します。
 下がらずに刈ろうとすると、無理な体勢になり、上手く刈ることが出来ません。

 刃の目立てが上手ければ、刈れなくはないけど、それでも無理な作業姿勢に違和感を持ちます。

 一方、機械を使っていると、機械を少し手前に下げて、一歩下がらずその場で刈ることも出来ます。

 これも無理な作業姿勢になりますが、機械だとサッと刈ってしまうので、無理な作業姿勢の違和感を我慢でき、やがて、その行動が自然な作業姿勢として身についてしまいます。

 そして、そんな作業をしている時に、岩や切り株にあたって、キックバックが起こる・・・

 立ち位置そのままで、機械を手前に下げた分、機械と足の距離が縮まっているので、キックバックした刃が足にあたることも・・・・。

 手鋸や下刈鎌などの手道具は、目立ても重要ですが、そもそも正しい姿勢で扱わないと疲れます。

 

 山の中で作業した経験が無い新人は、何が正しいか分かりません。

 そして、疲れる原因は、体力なのか、作業姿勢なのか、その原因も分かりません。

 体が慣れた頃、体力がついたからなのか、正しい作業姿勢が身についたからなのか、変な作業姿勢に体が慣れてしまったからなのか、体が慣れた理由も分かりません。

 どういう動きが正しいのか、分からないのが新人です。

 だから、手道具を扱わせて、作業姿勢の違和感を感じてもらうことも大切だと思います。

 

 個人的に気になるのは、今、林業業界に参入しようとする新人の方達は、手道具による作業を経験しているのか、という点。

 新人には、機械を扱う技術を学ぶことも大切ですが、まずは、山での動き方、正しい作業姿勢を身につけることも重要ではないのかなと思います。

 そのためには、手道具を使って作業する経験は、とても重要なことだと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

放置された伐採木

2020年06月04日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 ある日、伐採跡地の周囲を歩いていると・・・・

 受口を作り、追口まで伐り進んだのに、そのまま放置されたヒノキがありました。

 

 なぜ、この状態のまま放置したのか・・・

 

 台風や強風の時、倒木するかもしれない。

 切り口から腐朽菌が侵入し、長い期間を経て、倒木するかもしれない。

 

 いずれにしろ、森林管理という観点からも、これはあってはいけない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山の中に軽トラ

2020年05月22日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 Google Earthで山を観ていたら、樹木に囲まれた森の中にある崩壊地に、白い建物の様なものが・・・

 って、この写真では、分からないので・・・

 赤い矢印の先です。

 

 で、現地に行ってきました。

 建物ではなく、軽トラでした。

 しかも、冷蔵庫も。

 

 昔、皆伐現場では、木材を搬出するために張った架線を利用し、軽トラや保冷車を山の中に運び入れ、バッテリーも積んで、冷蔵庫を置き、現場の一休みに。

 

 山の中に放置された車は、色んな意味で気になるものの、でも、見つけちゃうと、昔の林業らしさを感じて、ちょっとした発見の喜びを抱いてしまう。。。(^_^;)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伐採 もやい結び

2019年03月27日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

  先日、80年生のスギ(直径65cm・樹高25m以上)を伐採した際、前回ご紹介した「ロープにもやい結び」を行ったので、前回に引き続き、そのご紹介を。

 

 今回のように大木の立木を伐採する際、最初、糸に重りを付け、ロープをかける枝に向けて放り投げます。

 なお、僕は林家でもなく、伐採系のお仕事をしてるわけでもないので、あまり専門道具を持っておらず、身近な道具で代用したりしています。

 無事、目標の枝に糸をひっかけられたら、放り投げた糸の先にロープをくくりつけ、その糸を手繰り寄せます。

 重りはフックを兼ねたモノを使用してますが、枝に引っかかりやすいのが難点・・・。

 

 あと、糸はツリークライミングなどで使われるスローラインなどがイイかと。

 僕みたいに安くあげるため、普通の糸でやってしまうと、切れやすい・・・

 こんな感じです。

 立木にロープを巻き付けることが出来たら、ロープにもやい結びをします。

 結び方は、もやい結び ~ロープにもやい結び~もやい結びの記事をご覧ください。

 結べたら、あとは引っ張るだけ。

 高い位置にロープを投げて、ロープにもやい結びを行い、引っ張ると一番高い位置でロープを絞めることが出来ます。

 あとは、伐採するだけ。

 

 今回は、道の隣接し、重心も道側に偏っていたので、プラロックを使って、伐倒しました。

 きちんと結べていないと、ロープが解けてしまいます。

 最初の頃は、胸高の位置で、何度も練習をして、グッーと引っ張っても、解けないか試したり。

 理屈的には「アイ加工ロープ」と同じですが、すべてのロープを輪に通さないとダメですし、回収も大変です。

 でも、この方法だと、結び目をほどくだけで。

 ちなみに、結び目が高いところにあるので、伐採するまでロープは回収できません。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする