はぐくみ幸房@山いこら♪

「森を育み、人を育み、幸せ育む」がコンセプト。株式会社はぐくみ幸房のブログです。色々な森の楽しさ共有してます♪

キリ

2020年05月26日 | 樹木・草花のお話

 5月。天に向かって紫色の花を咲かせるキリ。

 この花の姿をモチーフにした紋章が「桐紋」で、日本国政府の紋章になっていますし、皇室、豊臣秀吉の政権、室町幕府でも桐紋が使われています(いました)。

 桐紋の種類は140種類以上あるそうです。

 図に描かれた花の数が「3本・5本・3本」の紋章は五三桐(ごさんぎり)。

 図に描かれた花の数が「5本・7本・5本」の紋章は五七桐(ごしちぎり)。

 500円玉に桐紋が描かれているので、気になる方は500円玉を見てね。(^_^;)

 

 キリはゴマノハグサ科の樹木で、日本の在来種樹木の中で、一番軽い木材です。

 ”キリ”という名前の由来は、伐っても伐っても芽を出し、成長するところから「伐る(切る)=キル」が由来という説や、材が白っぽくて木目が美しいので「木理(きり)」が由来という説があるそうです。

 北海道南部から九州まで幅広い地域に分布し、陽あたりの良い場所に生育していますが、陽あたりがよくても、湿地や谷など土壌水分が多い場所は好みません。

 植生遷移で言えば、先駆性樹種(パイオニア)なので、伐採跡地や崩壊地などに真っ先に生える樹木の1つです。

 

 昔は、娘が生まれたら、庭に桐の木を植え、娘が嫁ぐときに、その桐でタンスを作って、嫁入り道具として持たせたと言われています。

 桐材は軽いだけでなく、適度な強度があり、割れも少なく、その上、吸湿性にも優れ、ほとんど膨張しないという非常に優れた特徴を持ちます。

 さらに、キリの細胞は空洞が多く、熱を伝えにくいと言う特徴もあり、火に強い性質を備えています。

 こうした性質から、昔から、貴重品を桐箪笥に納め、火事から守っていたそうです。

 寒い地域で育ったキリの方が、年輪が細かく、良質な桐材が取れるので、秋田県の「秋田桐」、岩手県の「南部桐」、福島県の「会津桐」など寒い地域の桐材が有名です。

 

 キリは成長が早く、20年もあれば十分な大きさに成長するので、娘の成長とキリの成長が一致していたんではないでしょうか。

 日に日に、大きくなるキリを見て、娘の嫁入りが近くなることを実感する・・・そんな、父親の複雑な気持ちが想像できます(T_T)。

 逆に、大きなキリを見て、年頃の女性がいるなと想像する輩もいるんでしょうね・・・・(`Д´)

 

 若いキリの樹皮は皮目が目立ち、年数を重ねると樹皮に浅い割れ目が生じます。

 

 

 5月頃、枝先に多数の紫色の花を咲かせます。

 花は直径5cmほどで、花の形は鐘状です。

 花を拡大してみると、こんな感じ。

 キリの花芽。(実じゃないですよ。)

 キリの実は、

 先が尖った卵形で、直径2~3cmほど。

 熟すと二つに割れ、中から翼のある種子が多数飛び出します。

 

 キリの葉は大きく、30cmになるものも!

葉の表裏には、ビロード状の毛があるので、陽当たりが良くて、葉っぱがめっちゃ大きくて、触るとビロード状のふわふわした感じの木があれば、キリに間違いない!(と思います(^_^;)。。)。

 

 国内に流通している桐材のほとんどは中国など海外の桐材だと思います。

 キリはタンスだけでなく、強度があって軽く、防虫・防湿・防火効果に加え、音響を高める効果もあるらしく、「琴」にも使われています。

 最近は、フローリングに使う試みもあるので、林業という産業の中で、成長が早い「キリ」を育てるのも魅力的かなと思います。

 といっても、林業は時間軸が長い産業なので、何かと同時並行に取り組まないと難しいですよね。

 キリも20年は育てないといけないし、良材を得たければ、ゆっくり成長させて、年輪を細かくしないといけないので、温暖な地域で良質材を目指すのは大変そう。

 だったら、早く成長できる利点を生かして、年輪が粗くても使える桐材生産を、20年後を見据えて、育てる。

 まさに、林業は次世代へ繋ぐ産業。

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山の中に軽トラ

2020年05月22日 | 現場技術・安全管理・道具のお話

 Google Earthで山を観ていたら、樹木に囲まれた森の中にある崩壊地に、白い建物の様なものが・・・

 って、この写真では、分からないので・・・

 赤い矢印の先です。

 

 で、現地に行ってきました。

 建物ではなく、軽トラでした。

 しかも、冷蔵庫も。

 

 昔、皆伐現場では、木材を搬出するために張った架線を利用し、軽トラや保冷車を山の中に運び入れ、バッテリーも積んで、冷蔵庫を置き、現場の一休みに。

 

 山の中に放置された車は、色んな意味で気になるものの、でも、見つけちゃうと、昔の林業らしさを感じて、ちょっとした発見の喜びを抱いてしまう。。。(^_^;)

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ヘビの種類 見分け方

2020年05月19日 | 爬虫類・両生類のお話

 本州に生息する在来種のヘビは8種類と、実は、それほど多くありません。

 日本に生える樹木の種類は、1,500種と言われているので、そう考えると、ヘビって、簡単に特定できると思います。

 というわけで、その8種類のヘビをご紹介します。

 なお、動画でも見分け方を紹介しているので、こちらもご覧くださ~い。

森の知識はぐくMOVIE「ヘビの見分け方」

 

 背中に4本の黒いラインがある「シマヘビ」。

 人間で言う白目の部分が赤い。

 シマヘビの幼蛇には、黒いラインがなく、横に太いライン模様があります。

 このライン模様は徐々に無くなり、黒いラインが目立ってきます。

 もちろん、眼は赤い。

 

 成長中なのかな?

 黒いラインが、うっすらなシマヘビ。

 

 

 体長2mにもなる「アオダイショウ」。

 性格が荒い子が多く、人を追い回すほど気の強い子もいます(^_^;)。

 捕まえると臭いにおいを出すので、あまり捕まえたくない!

 近づくだけで、臭いにおいを出す子もいるので、いやー難儀(>_<)。

 アオダイショウの幼蛇。

 マムシに似たくさり模様(ひし形模様)をもつので、マムシと間違って、殺されちゃうことも・・・(T_T)。

 

 ”咬まれたら、その日ばかりの命”が名前の由来の「ヒバカリ」。

 でも、毒ヘビではありません。

 体は細長くて、体長は最大で60cm程度。

 眼の後ろあたりにある白いライン模様が見極めるポイント!

 ヒバカリの幼蛇。ミミズ並みに小さい。

 幼蛇でも、白いライン模様が目立ちます。

 

 「ジムグリ」。頸部にほとんどくびれがなく、地面の穴に潜りやすい体型をしたヘビ。

 ジムグリの幼蛇。成蛇と異なり模様がある。

 幼蛇の模様の名残がある個体。

 ちなみに、木に登っているジムグリ。

 これは、めっちゃ貴重なシーン!(だと、個人的には思っている(^o^))

 

 「タカチホヘビ」。鱗の表面は虹色の光沢を放つキレイなヘビ。

 

 ミミズを食べるヘビで、乾燥や熱に弱いため、地上でうろつく姿を見ることは、ほとんどありません。

 体型は細長く、体長は最大で60cm程度。

 幼蛇も成蛇ともに、ほぼ同じ模様です。

 

 「シロマダラ」。体型は細長く、体長は最大で70cm程度。

 名前のとおり白と黒のまだら模様のヘビ。(言うほど、白くはないけど・・・)。

 夜行性で、なかなかお目にかかれないので、珍しいヘビです。

 ヘビ好きがもっともハイテンションになるヘビじゃないかな?(^_^;)。

 シロマダラの幼蛇。頭の後ろの白模様が目立つ。

 成蛇は頭の後ろの白い模様が薄くなる。

 

 

 

 ここから毒ヘビです(>_<)

 「ヤマカガシ」。

 顔まわり(あご周り?)が黄色いのが特徴です。

 地域によって、色や模様に差があり、写真のヤマカガシは関西のものです。

 

 ヤマカガシの幼蛇。

 黄色い模様が、マフラーみたいだなーと、いつも思ってみてしまう。

 大きくなると、赤い斑点模様がなくなり、頭の後ろの黄色いマフラーもなくなります。

 だけど、地域によって、赤い斑点模様が残るヤマカガシもいます。

 

 ヤマカガシの奥歯にある牙の付け根に毒腺があります。この上顎の奥の牙に深く咬まれると危険。

 

 そして、頸部にも毒腺があり、力を加えると毒が飛び出ます。

 目に入ると失明することも・・・。

 毒液は、白色だったり、黄色だったり・・・(^_^;)。

 

 「ニホンマムシ」。

 体型が太くて短いヘビで、くさり模様(ひし形模様)が一番の特徴ですね。

 体長は最大で60cm程度。

 ニホンマムシの幼蛇。

 小さくても、毒を持っているので、油断禁物です。

 ニホンマムシの毒牙。牙に毒腺があるので、咬まれると危険。

 

 最後に番外編。

 全身が真っ黒なヘビで、「カラスヘビ」とも呼ばれています。

 

 しかし、これは、体色の色素変異による現象で、シマヘビやヤマカガシに多いです。

 口(顎?)の下が白い、もしくは黒いとシマヘビ。

 ヤマカガシは黄色。

 この2種が多いという話で、これ以外のヘビも黒くなる場合があります。

 黒マムシとかいるんですよー

 

 その真逆のシロへビ。

 いわゆるアルビノと呼ばれる個体で、メラニン色素が欠乏したヘビですね。

 写真のアオダイショウ。眼が赤くないので、正式なアルビノではないのですが・・・。

 岩国のシロヘビで有名ですが、あれもアオダイショウです。

 アオダイショウだけでなく、白いニホンマムシ(白マムシ)なんていうのもいます。

 

 以上、本州に生息する8種類のヘビのご紹介でした。

 ヘビは成蛇と幼蛇で模様や色が異なります。

 また、地域差・個体差もあり、同じ種類のヘビでも、微妙に色や模様が異なることもあります。

 上記で紹介したヘビ8種類の写真は、ヘビの見分け方の参考になれば、幸いです。

 

※2017年7月の記事を改編

コメント (9)
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コジュケイ

2020年05月16日 | 動物・野鳥のお話

 「チョットコイ、チョットコイ」という風に聞こえる鳴き声で有名なコジュケイ。

 ちなみに、「ちょっと来い、ちょっと来い」と鳴いている様に聞こえるので、「警官鳥」とも呼ばれています。

 コジュケイの鳴き声は聞こえるけど、その姿を拝む機会は少ないと思います。

 コジュケイは、全長27cmほどで、丸っこい体型をしています。

 胸が赤褐色で、その中に青灰色の模様があり、個人的には、体型と色具合から、カワイイ鳥だと思っています。

 降雪や積雪のない温暖な地域の平地~低山地に分布し、人家周辺や農耕地、雑木林などに生育しています。

 コジュケイは、1918年に狩猟の対象鳥として、中国から持ち込まれ、東京や神奈川に放鳥され、生育環境に適した各地域に広がりました。

 なので、コジュケイは在来種ではなく外来種になります。

 

 でも、「ちょっと来い、ちょっと来い」と言う割りに、近づくと逃げるんだよねー。 

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森の知識はぐくMOVIE「タラノキの採り方、育て方」

2020年05月12日 | 山菜・キノコなど食を楽しむお話

 森の知識はぐくMOVIEを更新しました。

 今回は、タラノキを安定的に採りながら、育てる方法のご紹介です。(以前、このブログでもご紹介しています。)

 

森の知識はぐくMOVIE「タラノキの採り方、育て方」

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ヤマワサビ

2020年05月11日 | 山菜・キノコなど食を楽しむお話

 湧き水が流れるキレイな山地の渓流で育つ天然のわさび「ヤマワサビ」。

 光沢のあるハート型の葉が愛らしく、特に若い個体の葉は、まさにハート型。(^_^)

 

 清流の山菜といえば、ヤマワサビ!

 刺身、お寿司、そばなどを食べる時、一度は、天然のわさびを味わいたいものです。

 ワサビは、香辛料や薬用として珍重され、江戸時代から栽培されていました。

 

 採取時期は、白い花を咲かせる春から初夏。

 基本的には、根は残して、主に葉と茎を利用し、和え物、おひたし、一夜漬けなどに使い、葉はてんぷらがオススメです!

 根は、夏以降に辛味や風味が増すそうなので、9月頃の採取が最適だと言われています。

 根は、すり下ろして、刺身やお寿司、そばと一緒にいただきたいですね!

 

 僕が住む地域にも、天然のワサビが生えています。

 しかし、シカも、このワサビが大好きです。

 そのため、ワサビを見つけても、シカに食べられてしまうので、僕たちの口に運ばれることがありません。

 今、自生しているヤマワサビは、シカが食べにくい場所にあり、さらに、枝で囲み、食べられないよう守っています。

 今のところ、守り抜けているのか、少しずつ、順調に育っています。

 大雨で流されないことを祈るばかりです。

 

 小さい夢ですが、シカに食べられない環境に移植して、近所の仲間達と「わさびパーティー」したい!

 そのためにも、今残っている天然わさびを守り抜かないと!!

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ハンミョウ

2020年05月09日 | 昆虫類+αのお話

 ハンミョウ。

 青色・赤色・緑色が輝く、とても美しい虫で、僕の大好きな昆虫の1種です。

 ハンミョウは、甲虫目オサムシ科ハンミョウ亜科の虫で、ナミハンミョウとも呼ばれています。

 体長が18~20mmと小さな虫で、地面を徘徊し、他の虫を大きな牙で捕食します。

 ハンミョウは、地面に止まっていると気づきませんが、人が近づくと飛び立つので、この時、ハンミョウの存在に気づきます。

 道の上に止まって、人が近づくと数m先に飛んで、再び、道の上に止まる。

 これを繰り返すので、別名、「みちおしえ(道教え)」とも呼ばれています。

 ずーっと、追いかけると、道の横に飛んだり、後ろに戻ったりするので、ホントは、追いかけられるのがイヤなんだと思います。

 平地から低山地の林道など土が露出した地面、川や池など水辺環境に近い開けた場所で見かけます。

 

 ハンミョウの幼虫は地面に穴をあけ、穴の近くを通った虫を捕食します。

 人が近づいたり、穴を突っつくと、中に潜ってしまいます。

 子どものころは、この穴の中に細長い葉や茎を入れて、突っつくと、それに幼虫が噛みつくので、それをゆっくりと吊り上げたりして遊びました。

 異形な幼虫が、こんなキレイな成虫になるから、昆虫って不思議だなーと思いますね。

 

 最近は、コンクリート舗装が進み、昔よりもハンミョウが少なくなった気がします。

 幼虫は地面に穴をあけて過ごすので、コンクリート舗装されてしまうと地面に穴を空けることができません。

 人が便利になる一方、小さな虫たちの住処が徐々に失っているということです・・・。

 ハンミョウのような美しい虫が飛び交う環境を子供たちに残したいなと思います・・・

 

 我が家では、ニワハンミョウは飛び交うんだけどなー・・・

 ハンミョウ、住み着かないかな。。(^o^)

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ニワハンミョウ

2020年05月08日 | 昆虫類+αのお話

 我が家の庭にニワハンミョウが飛び回り始めました♪

 ニワハンミョウは、甲虫目オサムシ科ハンミョウ亜科の虫で、ハンミョウの仲間です。

◆◆ハンミョウについて◆◆

 ハンミョウ(斑猫)は、体長が2cm前後の小さな虫で、地面を徘徊し、他の虫を大きな牙で捕食します。

 地面に止まっていると気づきませんが、近づくと飛び立つので、この時、ハンミョウの存在に気づきます。 

 道の上に止まって、人が近づくと数m先に飛んで、再び、道の上に止まる。を繰り返すので、別名、「みちおしえ(道教え)」とも呼ばれています。

 ちなみに、ずっと、追いかけると、道の横に飛んだり、後ろに戻ったりするので、ホントは、追いかけられるのがイヤなんだと思います(・・・当然か(^_^;)。。)

◆◆ここまで◆◆

 

 ニワハンミョウの体長は15~19mmで、暗緑色をしたハンミョウです。

 上翅に白い小さな紋があり、紋の形は個体によって異なります。

 人家周辺から山地までと広範囲の地面で見かけますが、地面を徘徊する上、地味な体色なので、気づかないことが多いと思います。

 

 ちなみに、ハンミョウは、近づくと飛んで行ってしまうので、写真を撮るのが結構、難しいんです・・・。

 

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