信州生坂村「山紫水明 食と文化癒しの郷!」

山清路、大城・京ヶ倉等の自然。赤地蔵、百体観音等の伝統。おやき、おにかけ等の食文化を持つ生坂村!

生坂農業未来創りプロジェクト会議先進地視察研修2日目&上生坂上空からの風景

2024年10月25日 | 生坂村の取組
 10月25日(金)は晴れて気持ちの良い空が広がり、朝晩は涼しくも昼間はカラッと秋らしい陽気になりました。
 生坂農業未来創りプロジェクト会議先進地視察研修2日目は、朝8時一寸過ぎに宿泊先を出発し、岐阜県下呂市金山町の有限会社すがたらいすへ向かいました。

 有限会社すがたらいすには、予定通り10時一寸前に着き、代表取締役 中島悠さんと岐阜県下呂農林事務所農業普及課地域支援係長 深井雅己さんにご対応いただきました。

 最初に私から、我々の視察研修に対応していただいたことに御礼を申し上げ、当村も中山間地域の農業条件不利地域であり、ぶどう栽培は新規就農者が頑張っていて順調ですが、先祖から受け継いだ田畑は、農業従事者の高齢化、担い手不足等の農業課題があり、生坂農業未来創りプロジェクト会議を毎月開催して、明日の生坂農業について検討協議をしているところであり、当村はスマート農業関係ではラジコン草刈機が1台あるだけで、今回の視察でどの様にスマート農業に取り組んでいくべきか参考にさせていただきたいなどの挨拶をさせていただきました。

 中島社長から「中山間地域におけるスマート農業による持続可能な農業生産の実践」と題して説明していただきました。
 中島社長は27歳の時、結婚を機に戻ってこられ、有限会社すがたらいすを継ぎ、現在の経営面積は40.1ha(うち主食米35.5ha、飼料米・稲WCS4.6ha)、従業員数役員3名、従業員3名、パート7名でして、作付水田の特徴は、小区画(平均で昔は8畝、今は1反歩強)で谷沿いに点在しているとのことでした。

 下呂市の農業の状況は高齢化の進行、法人化の進展などにより、下呂市の農業経営体数は減少を続けているが、(有)すがたらいすの経営規模は約3倍に拡大しているとのことですが、(有)すがたらいすの営農上の課題として「作業の省力化・効率化」、「米価下落に対応したブランド米『いのちの壱』の高品質化」、「SDGsやみどりの食料システム戦略を見据えた化学肥料及び農薬の使用量、温室効果ガス発生量の低減」、「気候変動に対応した栽培管理」の課題解決に向けて、スマート農業機器・技術を導入して実証されたとのことでした。

 スマート農業=農業×先端技術(ロボット・AI・IoT等)であり、令和2年度~3年度にかけて、棚田地域特有の課題解決に向けてスマート農業実証プロジェクトに取り組み、最新のスマート農機・技術を現場で実証し、経営への効果を検証するとともに、中山間地域特有の地理条件における有効な利用方法の検討、メーカーに機器の改善提案を実施されました。

 最新のスマート農機と技術は、直進アシスト機能付きトラクタ、無線遠隔草刈機、IoT栽培ナビゲーションシステム、水田センサ(水位等を監視)、人工衛星によるリモートセンシングであり、スマート農業導入により得られた効果として、農地の維持・景観保持、化学肥料使用量の低減、農薬使用量の低減、温室効果ガス発生量の低減、気候変動に対応した生産管理とのことでした。

 水田管理の作業時間の低減では、直進アシスト機能付きトラクタによる耕起・代かきが14%の低減、IoT栽培ナビゲーションシステムの育苗管理は検証ができなかったとのことで、水田センサの水管理では15%の低減で、無線遠隔草刈機の除草では81%の低減であるが、防護柵や畦畔が狭い箇所では草刈機が使えないので、広い畦畔(シルバー6人で草刈りが1時間かかる畦畔を30分で済む)など使えるところでの割合であるとのことで、作業時間の低減により作業受託面積の拡大、地域の農地・景観の維持が実現できたとのことでした。

 栽培上の課題として、ブランド米「いのちの壱」の高値販売のための良食味生産と、SDGsやみどりの食料システム戦略を見据えた化学肥料使用量の削減であり、衛星リモートセンシングで、収穫前に食味に関係するタンパク質含有量を推定でき、食味向上(タンパク質含有量率の1.5%低減)、窒素成分投入量の3割低減、プラスチックコート肥料を使用しない栽培体系を実現するなど、翌年の施肥設計に反映ができましたが、実証実験後は高価なシステムであり今は行っていないとのことでした。

 水田センサにより遠隔地から水位を確認することができ、除草剤の効果を高める適正水位の維持ができ、雑草発生量の低減と環境へのリスク低減につながり、遠隔地から水位を確認できることで、水田の見回りにかかるガソリン使用量の低減と早期中干しの徹底によるメタンガス発生量の低減につながっているとのことでした。

 IoT栽培ナビゲーションシステムにより、環境要因の分析により病害の発生リスクを予測し、積算気温により出穂期・収穫適期が予測でき、病害発生リスクが高い時期に農薬散布することによる病害の低減、害虫の生息地である畦畔の適期除草による虫害の低減、適期収穫による高品質米の生産が実現できたとのことでした。
 今後の展望として、新しい技術を取り入れながら、ふるさとの自然環境・景観・農地を守りつつ、地域と一体となって経営を拡大していきたいとのことでした。

 質疑応答では、中山間地域で草刈り等の維持が大変で、作業時間を短縮するなどの省力化は必要だが、経営的には収益につながらないこと、ドローン2台は、主に防除に使っているが思った以上に使えること、実証実験2年間後には、現状に合わないものは国に返し、ラジコン草刈機、アシスト機能付きトラクタ、水田センサ、前からあるドローン等を使っていて、使える場所と使える機器に制限があること、岐阜飛騨の一等米の「山仙」のブランド化に取り組み、人とのつながりを感じ、スマート農業は使うのは人だから人がキーであること、10a当たり15.5万円、反収は7俵で餅米は5俵、WCS稲は3町歩ほどであるなどの話し合いをしました。


 また、付加価値をつけたブランド米「山仙」は、関東方面が多く出産祝のお返しなどに使われていること、約1.5倍の大粒米で、食味コンクールで高い評価をいただき、5月20日頃田植えをして、用水が冷たいので味が良いこと、地主は300人ほどで範囲は半径25kmほどの広大さであること、水田の集積は国・県の補助金で地主の負担はなく、草刈機のため畦畔は緩くしてあること、草刈機のオペレーターは58歳、33歳、17歳であり、シルバーに草刈りを頼むと1時間1,600円であること、10年の利用権設定をして、5畝未満は耕作しづらいし、鹿・猪・猿等の野生獣の被害もあり大変ですが、なるべく耕作依頼を受けるようにして農地を守っているなどの話し合いをしました。

 最後は実際、無線遠隔草刈機で草刈りをしている水田の畦畔を視察しました。水田の近くと下部の部分は手動の草刈機で1mほど刈ってあり、ラジコン草刈機がスムーズに上下に動いて刈れるようにとのことでした。

 代表取締役 中島悠さんと岐阜県下呂農林事務所農業普及課地域支援係長 深井雅己さんにはお忙しい中、詳細に分かりやすくご説明いただきありがとうございました。今後もスマート農業により有限会社すがたらいすの益々のご発展をご祈念申し上げます。

 今回の視察研修は、当村と類似している中山間地域で農業条件不利地域でありながら、地域の農地を守り、自然景観を維持管理するんだという熱意を持って、行政とタッグを組みながら農業課題を克服して取り組まれている素晴らしい事例であり、地域農業には中心になる農業リーダーの重要性を感じた次第です。

 今当村も、「地域計画(土地利用構想)」の策定のため、地域ぐるみの話し合いを進めており、今後も生坂農業未来創りプロジェクト会議及び農業委員会で、生坂農業を次代に引き継ぐための取り組みを推進するために検討協議を行ってまいります。

上生坂上空からの風景
△▽ 毎朝恒例の写真と動画は、先日撮影の澄み切った青空が広がっていた上生坂上空からの風景です。



 その他生坂村では、保育園でEランド・小学校諸検査、小学校で来入児検査・就学児健康診断、中学校で朝体育集会、選挙事務打合せ会議、投票所準備、せせらぎ公園整備、商工会共済推進の日などが行われました。





最新の画像もっと見る