速い! とにかく速い!
顔を洗った後
お茶を飲みながら新聞に眼をとおし
二つ三つ電話をうけて
猫の頭など撫でていると
いつの間にかお昼。
自慢のチャーハンをたべながら
甥夫婦にはじめての赤ちゃんが産まれたとか
おせちは中華料理屋に頼もうかとか
妹は帰ってくるだろうかとか
あれこれ思案しているうちに
三時のコーヒー。
手紙を一通したため
パソコンなど開き
送られてきた詩集をめくっているうちに
外が暗くなり
連れ合いが台所で夕餉の支度。
秋刀魚を突きながら
椎茸たくさん貰ったがセシウムは大丈夫かとか
九時から「トンイ」がはじまるから
その前に風呂に入っちゃおうとか
明日は獣医に診せようとか
味噌饅頭がたべたいとか
ああでもない こうでもないうちに寝る時間。
あっという間に一日が過ぎて
おおという間もなく一年が過ぎて
(時間は総ての人に同じではない)
まことに然り、
アインシュタイン博士は正しかった。
年寄りにこそ光陰矢の如しなのである。
百二百柚子を掻きわけ露天風呂