学校からの帰り道たべたコッペパンが
急に懐かしくなり
二つ先の町へ車をとばした。
(今時コッペパンなど焼いている店は希少)
昼の弁当だけでは足りず
いつも腹を空かしていた時代。
焼きたての芳ばしい匂い。
わらぼっちの日向の匂い。
白雲がゆるやかにながれ
口の周りの甘ーい苺ジャムを舌で舐めると
なんだか訳もなく人恋しさにときめいた。
少年からちょっぴり大人へ変わっていく頃の不安定さ。
苺ジャム10円。
ピーナツバター12円だったように思う。
巷では
菅原都々子の「月がとっても青いから」がヒットし
遠藤周作の「白い人」。
石原慎太郎の「太陽の季節」に芥川賞。
昭和30年代
いわゆるALWAYS三丁目の夕日の時代であった。
食べたくてわざわざ出かけたが
あのときのコッペパンの味にはほど遠い。