ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

ショートショート

2014-03-25 18:18:43 | 

           境内

     こどもが泣いている
     おんなの子だ
     ハトをとってくれろと泣いている
     一つとってやると
     そのままむしゃむしゃ食べてしまった
     よく見ると
     こどもと思っていたら
     ちいさな老婆であった

          流れ星

     星がひとつ
     西の山に流れていった
     そのあとを赤い星が追いかけていった
     山は黒々と村を抱き
     追いかけていったのは
     だれかの魂である

          中華料理店

     甘酸っぱい海老チリは
     へその緒を伝わってくる原初の匂い
     だから皆が注文する

          春二題

     退屈な相づち 延髄に白い月ぽかあん
            キリンも寂しいか たんぽぽ飛んで

 

 


     


讃歌

2014-03-25 11:11:26 | 日記・エッセイ・コラム

カタクリが咲いたとメールが来る。

 春はそのときがくると一気に春になる。
春はせわしくやってきて
百花繚乱、ひとのこころも乱れ咲く。

 「花は淫靡だから好かない」
と言った詩人もいるが
甘い蜜で蝶や虫たちを惑わすことに
淫靡さを覚えるのかも。
あるいはラン系などの形状そのものを
言っているのかも。

 いずれにせよ
春はなにもかも浮かれ
精神に不安定をもたらす。

 それでもやはり春は待ち遠しいもの。

 思索的な秋が好きだと
格好付けて言った時代もあったが
ほんとうは春がいい。

 永いうっ屈から一気に解放され
光を浴びて生命が生き生きと躍動し・・・・