黄色いボルボ
あの車たちはどこへ行った
あの女たちはどこへ消えた
海浜道路ルート134
豹のような視線を
辺りに残して
入江につながれて
けだるいヨット
雲の峰はいまも高く
夾竹桃が灼ける
追い越していく車に
敵意を抱いたのは
昨日までのこと
窓を
全開にして
潮風を取り入れる
遠いひかりの澱をゆする潮の香り
法規の速度をまもって
こんなふうに
大人しくなってしまって
ほんとうにこれでいいのだろうか
黄色いボルボを飛ばしていた
頃のぼくが
ふと
前を走っている
きらきら耀きながら
揮発油の匂いをさせて
岬の方へ
カーブしていった
ラジオからはカーペンターズ
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