2018/01/16
昨年末、夫から「63歳の女の人が受賞したから読んでみて」と、『文藝 2017年冬号』を渡されていた。
それは第54回(2017年)の文藝賞受賞、若竹千佐子さんのこと。
この方は63歳にして、『おらおらでひとりいぐも』でデビュー、文藝賞を受賞されたのだ。
この年齢は、文藝賞の歴代最年長だそうだ。
若竹さんは子どもの頃から小説を書きたいと思っていたけれど、
実際に小説を仕上げられるようになったのは50歳を過ぎてからだという。
実は、この記事は前に書いて、もう少し書き足そうと下書きにしておいたところ、
今日、芥川賞の発表があり、若竹さんが受賞されたと知ったので、慌てて書き足してアップした。
「おらおらでひとりいぐも」は〈私は、私で、ひとり行くから〉という意味の遠野地方の方言。
標準語と方言が入り混じった小説。
遠野地方の方言が自分の気持ちの独白、標準語の部分は、第三者的に主人公を描写している。
方言が土着的な感覚を呼び起こし、リズム感を作る。
一人暮らしの74歳の女性の話。
これを読んだ時、私は「私以外にも寂しい人がいたのだ」と思ったのだ。
そうしたら選考委員の斉藤美奈子氏も「私のことだと思わせる」と選評していた。
そうだ、みんな孤独なのだと思った。
こういう主婦は、私のまわりにもたくさんいる。
個人的なことは普遍的なこと、ということかもしれない。
しかし、孤独と老いがテーマの小説ではなかった。
若竹さんは、「前から、おばあさんはいいと思っていたから、おばあさんを書きたかった」とおっしゃる。
おばあさんはいろいろな経験をしていて何でも知っていて、家事もできる。
自由気ままで、よき存在なのかもしれない。
