顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

弘道館の百日紅

2015年08月28日 | 水戸の観光
弘道館正庁後ろの百日紅が満開です。寒い夏はあまり咲かないと聞いたことがありますが、今年は酷暑だったので、赤い色が特に強いような気がしました。最後の将軍、徳川慶喜が明治元年4月15日江戸からここに入り、恭順謹慎した至善堂御座の間から撮影しました。
慶喜は7月19日に新政府の指示で静岡に向かいますが、そのあと10月1日には、水戸を3月10日に脱出して会津に向かったいわゆる諸生派の士たちが、会津陥落により行き場所を失って水戸城奪取に押し寄せます。その戦いで、日本一を誇った弘道館の建物群、蔵書などを焼失し、城の守備の士と血を流し合い、双方で約200人もの若き命を散らしました。

大地には朱の色素あり百日紅 (顎鬚仙人)





ところで、弘道館にいま若い女性の姿が目立ちます。係の方も多くの方が徳川ミュージアムから回ってくる、何かオンラインゲームの刀が展示してある、という漠然とした話だったので調べてみました。
刀剣乱舞という女性に人気のオンラインゲームで、名のある刀剣類が男性に擬人化され、そのキャラクターを収集し敵と戦うものがあって、その中の刀剣、燭台切忠光がいま徳川ミュージアムで展示されている、燭台切忠光は伊達正宗が所持しており、家臣を手討ちにしたときに傍らの燭台まで切れたので名前が付いた、徳川順房が(光圀という説もあり)頼み込んで譲ってもらった、その後関東大震災で被災し刃文は消えたが、大切に保管されてきた。水戸家8代藩主徳川斉脩が編纂した武庫刀纂には刃文がきれいに写生されており、その武庫刀纂も展示されている。
そういうことで、その見学者の皆さんが弘道館まで足を伸ばしてくれているようです。どんな動機であれ、興味を持って来館していただければ、嬉しい限りです。