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話には聞いていた烏瓜の花、夜暗くなってからの開花なので実際には見る機会はなかったのですが、気合を入れて夜8時過ぎに近所の道路脇で周りの目を気にしながらの撮影、花弁の縁が糸状に裂けてレースのように見える白い5弁の花、繊細、妖麗、まさに自然の神秘を見る思いですが、夜明け前にはもう萎んでしまう数時間の饗宴です。唐の国からきた朱色の瓜、またはカラスしか食べない瓜という由来の、イメージがイマイチの名前を補って余りありです。
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そして翌朝5時、真夏の夜の夢はいとも儚く終宴し、レースもすっかり萎んで花弁の中に閉ざされてしまいました。この後受粉後の雌花には、緑色から、黄色、赤と変わるカラフルな実がなり、よく絵の題材とされています。
真夜中にこんな艶やかな花を咲かせる理由は、夜行性のスズメガを呼び寄せて受粉させるためだとされていますが、自然界はその営みの奥深さにいつも驚かされます。
ふはふはと泡かと咲けり烏瓜 松本たかし
真夜中に咲いて萎んで烏瓜 顎髭仙人