近年、大洗沖はゲームフィッシングの対象魚カジキ釣りの日本一の釣り場として全国に知られるようになりました。2007年から行われているビルフィッシュトーナメントでは多い年では60艇も参加、124匹もの大物が上がった(2016)そうです。(ビルフィッシユBillfishとは英語で嘴魚、カジキのことです。)
その大洗に1年前、高さ4mもの大きなカジキモニュメントが正面に飾られたミュージアムが、関東筑波銀行のあったビルに開館しました。
海流に乗って移動するカジキですが、大洗沖は餌が豊富で滞留する期間が長く、絶好の漁場になっています。ただ、漁業者以外の釣りは基本的には認められておらず、県から特別採捕許可を受けた上で7~9月の土日に限って可能となり、大会も開催できるようになりました。
展示スペースにはカジキ釣りに使う丈夫なロッドやリール、大きな針などの釣り具、釣り上げたカジキの長く鋭く伸びた嘴(くちばし…吻(ふん)の実物などもあります。
カジキといえば「老人と海」のヘミングウェイ、小舟でカジキを釣り上げ4日もかかって引き上げた老人とカジキの戦いと結末を描いた小説は、後のノーベル賞につながりました。その時のカジキは、小説では18フィート(5.4m) 1500ポンド(675kg)となっています。
日本では、去年亡くなった松方弘樹も愛好家で、トーナメントではここの沖合8Kmのポイントで、118Kgのカジキを釣り上げたそうです。これらの写真は、元銀行の金庫室に展示されており、無機質の部屋に何故かぴったり決まっていました。
寺子屋食堂という名前の飲食スペースでは、カジキ肉を利用した軽食を200~300円の低価格で提供しています。また毎週土曜日夕方は、子ども食堂として子供たちが食事作りに携わりながら無料で食べられるという応援もしています。
たまたま在館していたオーナーを昔から知っていましたので、トローリングで使っている「ファイティングチェアー」に座り、かじき釣りのシュミレーションをやらせてもらい、大海原の画面を見ながら強烈な引き、ジャンピング、ジージーというドラグの回転音を充分に味わうことができました。