顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

かすみがうら市歴史博物館と嘉永版大日本史

2018年07月07日 | 歴史散歩

かすみがうら市歴史博物館は、昭和62年(1987)にオープンした、この地区にはもともとお城はなかったので、城郭型建築の資料館です。建設当時は出島村でしたが、この地域の文化遺産を後世に伝承・保存するために建てられました。(ホームページより)

田園地帯の中に突然の城郭で存在感は充分にありますが、平日のせいか来館者は他に見当たらず、いまの世なら建設の賛否騒動が起こっていたかもしれません。

3層4階で、1階は帆引き船関連資料と企画展、2階は郷土の暮らしをテーマに民俗資料、3階は郷土の歩みをテーマに古文書や考古資料が展示されています。
その資料館で「大日本史と近世、近代の教育」という企画展が開催されています。
新聞報道によると、大日本史の嘉永版100冊・木箱入りのものを、大日本史編纂室彰考館総裁の安積澹泊の御子孫から贈呈されたということです。

明暦3年(1657)に水戸藩2代藩主光圀公が編纂を始めた大日本史は、明治39年(1906)まで250年をかけ本記、列伝、志、表の397巻と目録5巻の402巻が完成しますが、途中何度か改訂を繰り返しました。
嘉永版の大日本史は、嘉永2年(1849)に光圀公150年忌に供えられた、本記・列伝243巻、100冊、丁数にして4536枚のものを再校訂したもので、斉昭公が跋文を付して朝廷をはじめ各方面に寄贈しました。(木箱入りのダイジェスト版でしょうか、仙人独白)
その後、江戸の書肆玉巖堂和泉屋金右衛門が販売を担当して、藩士や一般の手に入る書物となりました。当時の値段は「六両壱分ト銀弐匁七分」と伝えられています。(展示解説書より)

この他に、弘道館で使用された四書五経の教科書や、藤田小四郎が記した東湖の「正気歌」など貴重な資料が展示され、この館の学芸スタッフの熱意が充分感じられる企画展でした。(写真は展示解説書より借用させていただきました)
なお、この企画展は8月26日まで開催されています。(月曜休館・入場料/一般210円・小中学生100円)