偕楽園周辺も晩秋から初冬への装いになり、さすがに園内の花も数少なくなりました。
梅で知られる偕楽園は、広さ12.7haで標高差約20mの水戸台地上にありますが、周辺の沖積層の水辺を含めた緑地は、偕楽園公園とよばれ約300haの面積を誇ります。
いま園内では、早春の梅まつりを待ちきれず咲いてしまう数輪の梅の花を見つけることができます。
早咲きの品種ではなく、季節を早とちりしがちな個体のいわゆる狂い咲きでしょうか、高い枝先の数輪はコンデジではなかなか捉えきれません。(偕楽園公園の田鶴鳴梅林で11月上旬撮影)。
毎年この時期に偕楽園で見られるのは、見晴らし広場の二季桜で名前の通り春と秋の二回咲きますが、今年は酷暑の影響でしょうか、例年より花の数が激減しています。この二季桜の苗が、彦根市の井伊直弼銅像の近くに植えられて毎年咲いているそうですが、今年はどうでしょうか。
表門にある十月桜は、八重で薄い紅色が入ります。名前の通り10月から咲き始め冬の間も何輪かが咲き続け、4月には他の桜の開花に合わせて花をいっぱい咲かせます。こちらも今年は、やっと数個の花を見つけるほどの状態です。
偕楽園内の梅の苗畑の垣根にお茶の花、すでに花期を過ぎていましたが。
園内各所で今満開なのはサザンカ(山茶花)です。サザンカとツバキ(椿)の見分け方は、花弁がパラパラ散るのが山茶花、花ごとポトリと落ちるのが椿と覚えるのが簡単です。
生け垣に咲いていた白い山茶花は貴婦人のようでした。
ハギの花も刈り取られる前の最後の力を振り絞って咲いていました。
梅林の下にイヌタデ(犬蓼)の群生です。「蓼食う虫も好き好き」といわれるのはヤナギタデ(柳蓼)という品種で、刺身のつまについている赤紫の小さな芽、ピリッと辛い香辛野菜として使われてきました。
こちらはノビル(野蒜)です。禅宗寺院の門前でよく見る「不許葷酒入門」とは、大蒜(ニンニク)・韮(ニラ)・葱(ネギ)・辣韮(ラッキョウ)・野蒜(ノビル)の5種と酒の持ち込みを禁ずということですが、すべて仙人の好物ばかり、野蒜の球根に味噌をつけ辛さを我慢してよく食べました。
偕楽園から見下ろした千波湖畔のモミジバフウ(紅葉葉楓)も秋色に染まってきました。約3か月後の梅の時期まで園内は静謐な空間となり、いつもと違った顔を見せることでしょう。