世界⽔準の「オールシーズン・マウンテンリゾート」を⽬指して~コロナ・ショック下における観光地経営〜講師:和田寛(ゆたか)氏
久し振りにWebではあるが講演会この和田社長。長野県白馬村にある岩岳など3スキー場を運営する白馬観光開発社長だ。元農水省官僚で外資系コンサル会社を経て転職。Hakuba Valleyは近隣の全10あるスキー場に共通自動改札を導入し、日本最大のスキー場となっている。和田社長が特に重視したのは、閑散期となる夏場の集客力強化。北アルプスが一望できる展望テラスを整備したほか、ニューヨーク発祥の人気ベーカリーを誘致し、遊歩道やドッグランも整備。スノーピークと共同で、体験複合施設も開設。観光客の立場からすれば、いろんなものがあった方が長期滞在しても飽きないということ。国内のスキー人口は5%だが、残る約95%の人に訴求できることが大事とか(訴求効果)。勢いだけで作ったヤッホー!スウィングも各種メディアに取り上げられて大人気。最大で5時間近い待ち時間も。現在は、森のオフィスを始めとしたテレワーク環境を整備し、リゾート・テレワークの定着に向けた展開を強化している。
道内の観光の課題は、季節繁閑(はんかん)格差、訪日外国人客対策、道内外観光客の減少・・・などだが、この3つの課題をわずか6年で大幅に改善した観光地が、この白馬エリアである。通年型リゾートへの脱皮に成功した。
今後、新型コロナ収束の兆しも依然として見えない中、地域が安定して潤い続ける観光地をつくっていくかが課題だが・・・日本の冬山は「宝の山」である。
日本の雪は世界的に見ても稀な資源である。大陸の寒冷で乾いた空気が偏西風に乗り、暖流である対馬海流の上を通って水分をたくさん吸い、北アルプスなどの高い山にぶつかって日本海側に大量の降雪をもたらす日本の地形上の特徴。こうした大量に降雪がある地域というのは世界的にも珍しく、日本以外には北欧や北米のごく一部だけ。東アジアや南アジアなど人口稠密(ちゅうみつ)地域からのアクセスを考えると雪の観光利用という観点では日本が群を抜いて優位な立場にある。
アメリカのWebサイトによると世界の豪雪都市トップ3は青森、札幌、富山と日本が独占。生活面では邪魔者な雪だが、この自然の恵みが1990年代までのスキーブームを牽引し、雪国の経済を支えてきた。
今後のアジア圏の経済成長を考えると、中期的にはこの希少な資源が大量に降り注ぐ日本の冬山の価値はさらに増す可能性は高い。飛行機で数時間以内にアクセス可能な天然雪の降る大きな山がほぼ日本だけに限られるアジア市場は、今後の地域経済を支える大きな力となる。まだ知られていない観光資源が多く眠っている。
世界各国の中でも、北海道は特に雪質がよく長持ちし、素晴らしい雪山がたくさんあるので国家プロジェクトとして何か取り組んでもらいたい
世界水準のマウンテンリゾート実現に向けた提言 ※HPから引用
①国際競争力の高い重点スノーリゾートの選定
【現状】日本人スキーヤーが減少する中、外国人スキー客を誘客するためには、インバウンド対応を徹底し、競合する世界のスノーリゾート(ウィスラー、シャモニー等)と肩を並べる必要がある
【提言】スノーリゾート全体でインバウンド対応に取り組もうとする地域を「世界水準のスノーリゾートの形成を目指す地域」として選定する
・JNTO(日本政府観光局)による海外発信や、インバウンド対応に対する優先的な財政支援を実施する
・これにより、ゴンドラの新設等に対し、政府系金融機関等からの出資・融資等の支援が受けやすくなる環境を実現させる
・ゴンドラの新設等に当たっては、保安林解除、国立公園規制等の手続きも柔軟に対応をお願いしたい
②外国語対応可能なスキーインストラクター等の確保
【現状】外国語対応可能なスキーインストラクターが圧倒的に不足(3年前の規制緩和では、その後のインバウンド増加に対応できていない)
【提言】スキーインストラクターの在留資格のさらなる緩和をご検討いただきたい
・ケガ人の救助等に当たるパトロールについても同様に確保をお願いする
なるほど・・・
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