◆2013年7月14日、八ヶ岳(大同心ルンゼ)にて
(チョウノスケソウ)
2013年10月24日(木)
『滑落事故の原因』
<遠近両用眼鏡>
9月29日、山の会の皆が見舞いに来てくれたときに、僕が滑落した原因として、MOくんが、「遠近両用眼鏡の所為やと思った」と呟いたと記憶するのだが、そのときも、またその後も僕は、「眼鏡が原因だ」とはまったく考えなかった。
また、先日日記に記しているように、滑落の原因として、「我が身体の老齢化に対する認識不足」「自身が山岳事故を起こすことは絶対にあり得ないという慢心の気持ち」「自然への畏敬の念の絶対的な不足」などを掲げていて、「眼鏡が原因だ」とは、そのときもまったく考えなかった。しかし、今朝、サングラスも含めると、6種類の眼鏡を使い分ける上さんと「眼鏡に係わる話」をするなかで、僕の滑落事故の原因として遠近両用眼鏡があるのではないだろうかと考え始めた。そのとき、僕の脳裏に蘇ったのはMOくんの「遠近両用眼鏡の所為やと思った」という呟きであった。
そのときに使用していた遠近両用眼鏡は今、僕の手元には無い。壊れた状態で前尾根辺りの何処かに眠っているのだろうと思うのだが、その眼鏡を購入したのが8月2日。一刻も早くその眼鏡に慣れたいと考え、日常生活の中で眠るとき以外は毎日掛け続けた。しかし、山で使用したのは8月11日の「比良山系・鵜川左俣」遡行時のみで、そのときの印象を山日記に記しているのだが、沢中で再三バランスを崩す僕を見て、僕の後ろを歩くMOくんが心配して「眼鏡を外した方がええんとちゃう」と僕に声をかけたのを覚えている。
また、「遠近両用眼鏡では歩かれへん」という上さんの言葉も思い出した。もっとも上さんの眼は至極悪化しているゆえ、「仕方がないのだろう」ぐらいにしか当時は考えていなかったのだが、それは上さんの視力の所為ではなかったのかもしれない。そう言えば、僕が遠近両用眼鏡を掛け始めた8月、眼前の景色が微妙に揺れたり歪んで見えたりしたのを覚えている。もしかすれば、遠近両用眼鏡は、足元に凹凸が頻繁に現れる処では不向きなのかもしれない。なかでもその最たる場面が山中であって、山歩きでは「遠近両用眼鏡を絶対に使用すべきでない」のかもしれない。