ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

石油流通業者の生きる道

2006年03月24日 12時54分57秒 | Weblog
一口に石油流通業界といっても業態は本当に多様です。
SS運営でしたら10店舗以内では零細企業でしょう。中間流通で業転玉を取り扱っている商社では社員数が少なくとも売上取り扱い金額が大きいのがこの業界の特徴です。しかし、ガソリンの取り扱い比率が高ければ売上高のほとんどが実は「揮発油税」です。軽油には「軽油税」がありますから実態の売上高はたいした事はありません。

よく、低俗なテレビ番組で「年商○億円の青年実業家」なんて馬鹿馬鹿しい表現を使いますが売上高だけでいえばガソリンスタンド経営者はみんな素晴らしい年商の実業家ばかりです。金額にマヒして自分を見失う事がない様に注意しないと大変です。半分は税金を仕入れて売っているわけです。しかも国税と地方税の代行収納業務機関のような商売なのに非常に粗利益率が低いわけですかこんな割の悪い商売はないのです。

地方税である軽油税に関しては「特別徴収義務者」の資格があれば若干の業務報酬的な還付金も見込めますが、国税の揮発油税は運転資金を圧迫するだけです。資金的に見てもこれほど収益効率の悪いビジネスはないでしょう。SSである揮発油販売業者は国税の代行収納業者ですから、少なくとも一般企業より低利での資金調達などの優遇処置があってもよさそうなものですが、経営状態が悪くて四苦八苦です。何かというと「便乗値上げ」などで槍玉に挙げられるケースが多いのも損なことです。

開発力を伴うITビジネスを例に取れば、土地も設備も在庫もほとんど不要です。社員5名くらいで年商1億円を売り上げたら売上そのものが「粗利益」なのですから経営資金効率が全然違います。しかし、ITビジネスでは人のできない専門分野や創意と工夫に満ちたコンテンツの世界ですからそれなりの努力と独創性がなくてはビジネスとして確立できません。一口にITビジネスといっても同様に業態は多様なのです。単に他社が開発したコンテンツを仕入れてクライアントに販売する企業もあります。そんな企業は本来のIT企業ではありません。自社で開発して販売する力を持つ企業もあります。全社と後者では収益性、成長力、成長スピードなど比較にはなりません。

石油流通業者にとっては仮に有能であっても経営的に独創性を発揮できる範囲が非常に狭いという事を認識せざるを得ない「資本原理主義」の構造変化の時代が到来しました。

「油外収益」などと騒いでみても、「絆創膏」か「赤チン」のようなもので、抜本的な経営改革には絶対にならない事に気付いている業者が生き残ります。元売や国内の石油流通形態を非難してみても嘆いても決して自分の会社の収益にはつながりません。経営的には本格的な手術が必要なケースが大半だと感じています。

「ゆきんこサポートセンター」は石油ビジネスの新たな可能性を探る業者の皆様と共に生きていきます。お力になりたいと考えています。ご期待ください。

軽油の知識と可能性 数年前からの話題

2006年03月24日 10時06分20秒 | Weblog
最近「ヨーロッパではディーゼルが主流になろうとしているのに、どうして日本じゃ嫌われるのか?」という質問を受ける。ベンツのML270に搭載されている2,7リッターの最新式直噴ディーゼルを例に挙げてみよう。このクルマに搭載されているエンジンは、コモンレールと呼ばれる超高圧燃料噴射システムを採用しており、従来のディーゼルより圧倒的にクリーン。黒煙出ず、ニオイだってほとんど気にならないレベルです。しかし日本で乗ると、臭くて黒い排気ガス出すごく普通のディーゼルになってしまう。なぜか? 最大の要因は軽油の中に含まれている硫黄分である。数年前、若干改善されたというものの、日本の軽油は平均して500ppmもの硫黄分を含む。参考までに書いておくと、ヨーロッパで販売されている軽油の硫黄分は平均50ppmでしかない。10倍汚い軽油を売っているワケ。有鉛ハイオクみたいなものです。

ちなみに日本で販売されているガソリンは、世界一良質だと言われている。ヨーロッパのガシリンって、依然としてメタノール(アルコール)を10%以上含んでいるものもあるし、ハイオクのオクタン価だって100に届かない。だから日本で280馬力を発生するインプレッサも、ヨーロッパだと220馬力程度しか保証できないのだ。アメリカもカリフォルニア州を除くと、日本ほどガソリンの質が一定でないそうな。
 つまり軽油の質が悪いのは、石油会社の責任でないということ。石油会社側の言い分によれば「技術的には硫黄分を大幅に除去することが可能です。ただし販売コストに転科しないと困ります」。軽油の大口使用者である建設や運輸業界は、政治家と太いパイプを持つ。値上げなど許さん、ということなんだろう。住民の健康より、カネ儲けが重視されてきたのだ。カネカネカネカネ。情けない。

ヨーロッパでは、2005年からディーゼルの規制値が一段と厳しくなった。「ガソリンと同じクリーンさじゃないといけません」となっているのだ。これに対応するため、現在50ppmの硫黄分を10ppmまで下げる必要があるという。日本の500ppmって、いかに途方もない汚さなのか解っていただけるだろう。こういった軽油を使っている限り、クリーンな排気ガスのディーゼルなど実現できるワケない。
 日本でも動き出している。2007年から硫黄分を減らすことになっていたのが、石原東京都知事の動きで2005年に前倒しとなった。現在のヨーロッパ並みの基準にするというのだけれど、どうせ石油精製装置を変えなくちゃならないなら10ppmとかにしたらどうだろうか? そしたら日本でもガソリン並みにクリーンなディーゼルが実現できるかもしれない

バイオマスエネルギー

2006年03月24日 09時05分07秒 | Weblog
米国が「石油依存症からの脱却」を宣言。エタノールの研究強化を表明。
GMとフォードはエタノール濃度85%の燃料(E85)対応車の生産を、65万台へとほぼ倍増させるとした。

この動きの背景には、政治的な思惑が見え隠れする。中東依存のエネルギー政策の転換を訴えるブッシュ大統領。ハイブリッドでの出遅れの挽回を狙うGMやフォード。環境対応という旗の下、米国が本格的に動き出した。

GMでは「フレックス車の価格は一般車とそう変わらない。需要が一気に拡大すれば、インフラ整備も進む」と強調する。ハイブリッド車ほど車両価格が高くないので、トヨタやホンダに対抗するうえでの切り札との期待が集まる。GMは石油メジャーと組み、今後2~3年でエタノール対応のスタンドを今の20倍の1万2000カ所に増やす計画のようです。

これから、まだまだ、石油業界は変わります。
バイオマスエネルギーに注目。