ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

④ 油外収益と「SS店頭油外収益」

2007年04月13日 08時44分19秒 | Weblog
前に述べたように、一概に油外収益とはいってもSS店頭販売オペレーションに限った「SS店頭油外収益」と石油流通業の全般での「油外収益」とは区別すべきだと感じています。

同じ石油業界でも、SS運営主体の石油業者と直売部門やホームライフ事業部門などを兼業する業者では同じ石油業界に生きてはいても経営者としての「目線」が大きく異なっているケースが多いようです。偏見だとお叱りを受けるかもしれませんが実際だと思います。

前者は実業家的な視点でビジネスフォームを見ますし、SS店頭販売オンリーの業者は店頭という限定された狭いフィールドで収益を確保する事しか頭になくてビジネスの視点が限定されているケースが多いようです。

中古車販売や保険などいくつかのフォームが派生していますが、それも所詮、創造性から生まれたものではなく業界としてはすでに普遍の業態となっています。

たとえば、「洗車」でしたら、手洗いの高額洗車から洗車機による簡単なシャンプー洗車までがありますが、最近では洗車チケットがいいとか会員制度の引き落としとか、洗車プリぺとかいろいろな手法があるようですが、消費者の立場に立ってよく考えれば、要するに「奇麗に、早く、安く洗車してほしい」のです。

高級車には高級洗車をファミリカーにはそれなりの洗車があるはずです。安売りでそれなりの客層しかないのに高級洗車を勧めるのはSS側の「油外収益向上」のための都合でしかありません。無理をする油外収益はその時だけの収益効果だけで継続できません。それが「SS経営者」が考える「油外収益」だとしたら刹那的で寂しいものがありますね。何度繰り返してもいろいろな油外収益手法がSS業界に定着できない理由がここにあります。

高級洗車を売るなら、それなりの客層や立地があります。自分の顔をよく鏡で観てから考える必要があります。

ですから、「樹を見て森を見ず」のようなもので、SS店頭の「油外収益」に関してはそのような論議はあまり関係ないような気がしています。

その事に気付かずに、洗車システムのFCなどに加盟してみても何ら意味はありません。加盟したら収益が上がるというものではないはずです。

経営者として独自の視点で独自性のあるビジネスフォームを工夫する努力よりもマネをして安心を買うというような安易な手法を選択する事で簡単に油外収益が上がると考えているとしたら結果は出せません。

その意味で、私たちは『「雪ん子」を導入したら、100の物が180になりました。』的な「ガマの油売り」のような宣伝は絶対にしない事に徹底しています。

石油業界(SS業界ではありません)の油外収益拡大の手法は、SS店頭という狭いフィールドを飛び出して、経営者自身が一人の「実業家」としての視点で、地域制や風土、マーケットの変化や環境、ご自分の会社の経営スタンスを再認識することで創造的なアイデアや企画が生まれてきます。

大規模ショッピングセンターができて併設にセルフSSができるとしましょう。洗車施設がなければ、近くに洗車サービスだけの「洗車センター」をつくり「コバンザメ商法」でヒットしている経営者もいるのです。安売りのセルフSSよりも大きな収益を上げています。

「SS経営者」のあなた、なぜ、あなたは自分のSS店頭フィールドの中でしか油外収益の手法を考える事ができないのでしょうか。経営者として反省すべきです。

その考え方自体が、あなたが批判している「元売」の施策に乗っているのだということにお気づきにならないのでしょうか。

元売りもその事に気づいていないのかも知れません。

私は、SSには既存顧客を媒体として大きなマーケットが内包されていると思います。経営者自らが、早くSSのフィールドを飛び出し、自社の経営資源として顧客データを活用することで、新たな視点が見えてきます。そして地域や消費者ニーズに合った新たなビジネスフォームが生まれます。そこには、必ずおおきな「油外収益」が約束されていると確信しています。

次回からは、SSビジネスを起点としての新たなビジネスフォームの具体的な事例を考えてみたいと思います。

多忙なため、打ちっぱなしの乱文ですがお許しください。