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iPS細胞って何かわかってきた!

2011-11-23 02:37:00 | 日記
 山中伸弥さんと益川敏英さんの対談本・「『大発見』の思考法」(文春新書)を読んだ。分かりやすく、とても面白い!

 お2人の生い立ちから、生活、人生観なども語られていて興味深いが、iPS細胞というものが何なのかが、この1冊でかなりわかった。

 これまで、ひと度分化した細胞は逆戻りはできないと思われてきたが、クローン羊の誕生で、分化した体細胞が時間をさかのぼり、未分化の状態に戻れることがわかった。
「では、既に皮膚や臓器等に分化した細胞を、未分化の状態にもどす鍵は何なのか?」
 研究して山中さんが見つけ出したのが、4つの遺伝子だった。
 その遺伝子によって、彼は既に分化した皮膚細胞からiPS細胞(induced Pluripotent Stem cell・人工多能性幹細胞)を作ることに成功したのだ。

 ひとの遺伝子は3万個ほどあると言われているが、60兆個といわれる細胞のすべてが、元にもどる能力をもっているということは、遺伝子の3万ページの設計図を忘れずに、分化した後も持ち続けているということだ。

 ただ、「この遺伝子を読め」というような栞がその本にはあって、栞のないページは色で塗りつぶされて、1度皮膚や臓器になれば、他のものになったりしないように隠されている状態なのだという。

 その塗りつぶしが一瞬で消える現象が、生命の誕生。精子と卵子の受精の瞬間なのだ。

  精子と卵子も高度に分化した細胞だから、塗りつぶしだらけなのに、受精した瞬間にものすごい力が働いて、塗りつぶしがすべて消え、隠れた文字(3万ページの情報)が現われる。まさに奇跡。細胞の「初期化」。

 「iPS細胞はタイムマシン」ともいわれ、クローン羊の成功から学んで、この「初期化」を研究・解明し、クローン羊で使った受精卵も使わずに、塗りつぶされる以前の初期の細胞に戻すことを可能にしたのだ。つまり、分化した細胞を、誕生した時までタイムマシンで戻してしまったようになるのだ。

 実は、先日、偶然にもこのiPS細胞の感動映像というのをテレビで見た。

 その時、山中さんは生憎仕事で海外にいて、現場におらず、「(iPS細胞から分化させた)心筋細胞が拍動しています」の助教の報告で「はよ、ビデオ送れ!」と言ってこれを見たという。
 iPS細胞から分化して脈打ちはじめた、「生命の誕生」を思わせる心筋細胞のその映像。
 皮膚細胞から作った細胞が、ドクドク
と心臓のように動き出した、まさに衝撃と感動の映像だった。

 ただ、山中さんは、母親のお腹の中では自然に行われていても、各臓器や機能を正しい位置に連動させながら作るなんて技はまだ到底できないし、生命を作り出す意図はない。患者の細胞を最初の状態に遡ることで、病気の解明や薬の開発をして、医者として果たせなかった病気の治療に役立てることを目指しているという。

 本を読んでいて、今の医学がここまで来ていたのかと驚嘆するとともに、まさに大人の分化して作り出した生殖細胞から、まったく新しい細胞が誕生するという自然の生命の不思議に、改めて目が醒めるような驚きを感じた。

 ところで、今日は、古川さんが宇宙ステーションから、ロシアのソユーズで帰還した。iPS細胞、宇宙開発などを見ると、人間の叡智は凄いな~と思う。 でも、自然や宇宙のことを思えば、人間の叡智は、星屑の小さな光。人間の及ばないものは、地球の中にも外にも満ち溢れているとも思えた。

 
コメント
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