活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

南蛮船と艀の話

2012-01-29 11:52:51 | 活版印刷のふるさと紀行
 
 この正月に読んだ本でいちばん興味深かったのは、安野眞幸著の『世
界史の中の長崎開港』(言視舎)でした。

 サブタイトルに「交易と世界宗教から日本史を見直す」とあるように
長崎に港が開かれるに至る背景にはキリスト教とイスラム教の勢力争い
もあったというようなことが主題になっております。

 しかし、私が興味を持ったのは、西九州の南蛮貿易港であった平戸・
横瀬浦・福田・長崎・口之津・志岐の各港は、「家船=エブネ}とよば
れる船を家代わりに水上生活をする漁民が水産物を採る以外に陸揚げす
る荷物の運搬や曳き船役や乗船客の搬送にも活躍していたらしいのです。
 
 家船が艀に使われていた。南蛮船が港に着いたり、出港したりすると
き、家船が艀(はしけ)がわりに活躍をしていたとすると、私が想像し
ていたのとは違います。

 私は1582年(天正10)に天正少年使節たちが長崎港を出るとき沖の
南蛮船まで彼らを運んだのは大村か有馬か彼らの応援領主が仕立てた艀だ
とばかり思ってました。住民の少なかった時代ですから、あるいは、使節
たちの出身地から顔見知りの漁民の家船が駆けつけたのかも知れません。

 としたら、彼らが帰国して長崎から加津佐へ活版印刷機を運ぶときも
家船が何艘か協力したのではないでしょうか。



コメント
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