活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

 山本隆太郎さんを偲ぶ会 報告

2012-05-20 15:35:01 | 活版印刷のふるさと紀行

 きょう、神楽坂の出版クラブで行われた『山本隆太郎さんを偲ぶ会』は私も発起人といいますか、世話人のひとりでしたので無事に終わったいま、特別な感慨をおぼえております。

 お忙しい中ご参加くださった皆様、実際に舞台裏で準備に力を尽くしてくださった印刷学会出版部や印刷博物館のみなさまに心から感謝しております。ありがとうございました。

 山本さんは千葉大で「印刷」を専攻され、長年、『印刷雑誌』を主宰して来られました。百科事典の「印刷」の項目を執筆されていることでもわかるように、印刷界きっての学識であられ著書も多く、叙勲や野間賞はじめ数々の栄誉にかがやいておられます。戦争末期には海軍で特攻機を整備、口惜しい思いで送り出す士官で、いわば戦中派の最後の年代でした。

 私は1978年、昭和53年から公私ともにお世話になりましたから30年以上のお付き合いでした。偲ぶ会で参会者のみなさんにご挨拶することになっていましたので、胸ポケットに30年前に山本さんから頂いた手紙をしのばせて出席しました。山本さんは天正遣欧少年使節とキリシタン版にふれて日本の活版印刷のはじまりについて書いておられました。

 ですから、後年、私がキリシタン版印刷の地、島原・天草の取材先から電話を入れましたらたいへん上機嫌で、「紀行文を書いたらすぐ『印刷雑誌』に載せる」とおっしゃって、2年にわたり連載してくださってのちに『活版印刷紀行』として単行本にもまとめてくださいました。

 博学で多趣味、人を応援することをいとわない人でした。きょうの会は印刷界関連の人ばかりですから、自然、話題は山本隆太郎さんにサポートされた思い出をこもごも語る文字通り偲ぶ会になって、ご親族も喜んでおられました。

 写真の女性のイラストは山本さんのスケッチからとって参加礼状に添えたものです。

 

 

 

 

 

 

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