活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

ペーパーレスという怪物

2013-01-21 12:20:20 | 活版印刷のふるさと紀行

 印刷図書館倶楽部例会での話。メンバーのひとり竹原 悟さんが「話題提供」といいながらバッグの中から書類をとり出されたのです。実はこのバッグは魔法のバッグらしくて、いつも最新の竹原情報が飛び出してくるのです。

 きょう飛び出したのはアメリカのPIA(PRINTING INDUSTRIES OF AMERICA)のCEOマイケル・メイキンのスペシャルアナウンスメントというメールでした。それは、グーグルが「2013年をペーパーレスに向かって邁進する年にしよう」と提案したことに対してアメリカ印刷産業をバックに「そんなことは許さない」と噛みついた痛快な内容でした。

 曰く「われわれはこの提案があまりにもばかばかしいばかりか、印刷産業で暮らしている百万人のアメリカ人に対する侮を辱であると言い切りたい。印刷が紙という主要な原材料を消費しているからだというが、紙の多くは再生資源であり、印刷は一回かぎりのカーボン・フットプリントを持っている唯一のメディアであり、デジタル媒体のように、見るためにいつも膨大なエネルギーを必要とするものと一緒にしてもらっては困る。むしろ、電子装置の方がよっぽど合成樹脂、炭化水素溶剤と非再生資源のおせわになり、くわえて採鉱と多数の鉱物と金属の精製を必要とするではありませんか。しかも、電子の廃棄物たるや膨大です。グーグルがペーパーレスを世界に訴えるなんて偽善者です」

 そして「もし、百万の印刷産業人がグーグルレス、グーグルに背を向けたらどうなるか」とグーグルのCEOラリーとチェアマンのエリックに抗議メールを突きつけています。「去年、東芝が同じようなペーパーレス、ノープリントデーを提唱して、PIAの講義に屈したように、グーグルも後退するか興味がありますね」とは竹原 悟さんのつぶやきでした。もちろん、それから私たちはペーパーレスと印刷について侃々諤々、討論しました。

 


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