活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

偽造紙幣のこと

2013-01-24 22:07:43 | 活版印刷のふるさと紀行

 私の所属している印刷懇話会神田川大曲塾では来月2月23日に明治大学平和教育登戸研究資料館に戦前この地で日本陸軍の研究所が偽札を印刷していたことからの企画展「キャンパスに残っていた偽札印刷工場」を見学させていただくことになっています。

 紙幣の印刷は印刷文化とのつながりが深く、旧大蔵省印刷局の歩みはもちろんのこと、一時期民間の大日本や凸版・共同などの印刷会社が紙幣印刷に苦労した話はたくさん耳にしてきました。しかし、この登戸の偽札印刷工場のことはまったく知りませんでしたので興味があります。日本陸軍が中国経済を混乱させるために、当時の金額で40億円分もどのようにして製造したのでしょうか。

 ところで最近は偽札事件はあまり発生していないようです。以前、偽造紙幣事件が頻発するころ、私は印刷会社の広報におりましたので、事件の発生を比較的早く知りました。といいますのは、事件が発生するとまず警察の方が現物を持って紙質や印刷方法、どれぐらいの人数で、どれぐらいのお金をかけて製造したものか研究所の人につないで調べてほしいという依頼があるからです。どうやら科捜研にも印刷のプロはいらっしゃらないのかも。

 その波がひくと、時間差があって、次はマスコミのみなさんのご来社です。もちろん、彼らは現物を手にしているわけではありませんからあてずっぽうでいろいろ聞きます。「さっき、警察の人が来られました」などとミジンも気取られてはいけませんから、広報も研究所員や工場の人も「それは初耳」とマスコミの前では精いっぱいの演技をする必要がありました。

 去年でしたかカナダでもポリマー紙幣が使われるようになりました。プラスチック紙幣ともいうようですが、こうなると「紙幣」という呼び名が正しいでしょうか。ポリマー紙幣はホログラムなどを効果的に使えるし、色彩も鮮やかでなかなかのものらしいです。それに偽造が困難だといいますし、カナダ以外にもシンガポール・クウェート・オーストラリア・インドネシアなど採用国がどんどん増えているのも興味深い話です。

 

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