活版印刷紀行

いまはほとんど姿を消した「活版印刷」ゆかりの地をゆっくり探訪したり、印刷がらみの話題を提供します。

「会津葵」のパッケージ・デザインに見る

2016-04-10 16:44:49 | 活版印刷のふるさと紀行

 

  時間があったので日本橋のデパートで全国から出品されている味百選的な即売会をゆっくり見て回りました。酒や菓子、乾物など、いわゆる名産,逸品ぞろいで見るだけでも楽しい催事です。

 会場を一巡しての印象はといえば、並んでいる産品のパッケージやラベル、あるいは包装紙などのデザインが一様に「いいもの」だったことでした。出品店それぞれが地方の老舗ということもあるのでしょうが、落ち着いた感じでいかにも“らしさ”を湛えているようで好印象が持てました。

 上の写真ではわかりにくいかも知れませんが、とくに私がこれはいいと思ったのは、福島県会津若松市の『会津葵』というお菓子屋さんのデザインでした。写真のバックの「葵」のマークがが半分見えるのが手さげ紙バックです。これが片面で、もう片面は蔵造りで上菓子司 会津葵 二字屋治郎左衛門 と肉太文字が染め抜かれた暖簾がさがっている店舗の正面写真でした。

 手提げの手前に写っているのは「唐人凧」をメインにあしらった蕎麦ぼーろの個装袋のデザイン。たしか対馬だったか、壹岐だったかに伝わる“べろくんだし”とよばれる凧のイラストに「会津の南蛮文化はキリシタン大名蒲生氏郷、また、会津の薬用人参貿易を一手に引受けていた長崎の豪商足立仁十郎によってもたらされました…」に始まる蕎麦ぼーろの由来コピーがやわらかい描き文字で書かれています。思わず手に取りたくなるった巧みな訴えぶりです。

 たまたま、手提げと蕎麦ぼーろの個装袋を取り上げましたが、同じコーナーのほかのお菓子のパッケージもデザインイメージが統一されていて親しみやすく高級感があります。思わず「どなたか専属デザイナーがおられるのですか」と訊ねた私に返ってきたことばは「いいえ、全部、ウチでやっております」とのこと。マサカのすばらしいトータル感です。求めてきた蕎麦ぼーろは会津産の玄蕎麦と琉球産の黒砂糖で仕上げたという昔懐かしく、ちょっぴり南蛮風で美味でした。

 とうとう見て回るだけでは終わらずにデザインでもひかれた伊勢の削り節や香川の和三盆、宮崎の焼酎などを求め、最後にお食事処で大垣のひつまぶしを食して帰ってきた次第です。 なんとなく最近、食品包装やラベル印刷が元気のいいのも納得できました。

 

 

 

 


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