私的図書館

本好き人の365日

伝説のスピーチ

2009-01-25 01:37:00 | 本と日常
1992年。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで「環境と開発に関する国連会議」、いわゆる環境サミットが開かれました。

その会議で、カナダから来た、セヴァン・スズキ(当時12歳)という少女が、世界の指導者たちが出席する中スピーチをしました。

以下はそのスピーチの一部抜粋です。



私の国でのむだ使いはたいへんなものです。
買っては捨て、また買っては捨てています。
それでも物を浪費しつづける北の国々は、南の国々と富を分かちあおうとはしません。
物がありあまっているのに、私たちは自分の富を、そのほんの少しでも手ばなすのがこわいんです。

カナダの私たちは十分な食物と水と住まいを持つめぐまれた生活をしています。
時計、自転車、コンピューター、テレビ、私たちの持っているものを数えあげたら何日もかかることでしょう。

2日前ここブラジルで、家のないストリートチルドレンと出会い、私たちはショックを受けました。
ひとりの子どもが私たちにこう言いました。

「ぼくが金持ちだったらなぁ。もしそうなら、家のない子すべてに、食べ物と、着る物と、薬と、住む場所と、やさしさと愛情をあげるのに」

家もなにもないひとりの子どもが、分かちあうことを考えているというのに、すべてを持っている私たちがこんなに欲が深いのは、いったいどうしてなんでしょう。

これらのめぐまれない子どもたちが、私と同じぐらいの年だということが、私の頭をはなれません。
どこに生れついたかによって、こんなにも人生が違ってしまう。

私がリオの貧民窟に住む子どものひとりだったかもしれないんです。
ソマリアの飢えた子どもだったかも、中東の戦争で犠牲になるか、インドでこじきをしてたかもしれないんです。

もし戦争のために使われているお金をぜんぶ、貧しさと環境問題を解決するために使えばこの地球はすばらしい星になるでしょう。
私はまだ子どもだけどこのことを知っています。

学校で、いや、幼稚園でさえ、あなたがた大人は私たちに、世のなかでどうふるまうかを教えてくれます。
たとえば、 

争いをしないこと。
話しあいで解決すること。
他人を尊重すること。
ちらかしたら自分でかたずけること。
ほかの生き物をむやみに傷つけないこと。
分かちあうこと 。
そして欲ばらないこと。

ならばなぜ、あなたがたは、私たちにするなということをしているんですか?




彼女は同年代の仲間たちと環境運動をしていて、この会議に参加したいと思い、カナダからブラジルまでの旅費を集めるために、働いたり募金活動をしたりしてやって来たのです。

どんな指導者のスピーチより、どんな大人の主張より、私はこの子のスピーチが好きです。