おにいちゃんがんばって。
別に「おとうさんがんばって」でも、「おかあさんがんばって」でもいいのだけれど。
自分を応援してくれる味方がいるというのは心強いですね。
太郎がんばれ。
花子がんばれ。
でもいい。
それは期待でも同情でもなくて、一心同体になっている瞬間。
おとうさんがんばって。
おかあさんがんばって。
(わたしは味方だからね)
木地雅映子さんの小説、『氷の海のガレオン』に、深夜庭の大きなナツメの木を裸の拳で殴り続けている兄をみつめる妹が登場します。
クラスから浮いていて、自分を天才だと信じて疑わない小学生の妹は、兄の姿を見てこう思うのです。
私の大好きなシーン。
兄貴は泣いていた。青春ってやつだ。彼はいま人生の岐路に立ったりなんかしているに違いない。おにいちゃんがんばって。
薄情な妹は、それからもう一寝入りしてしまった。
―木地雅映子「氷の海のガレオン」(ポプラ文庫ピュアフル)より―
この距離感がいいんですよね♪
誰もが生まれた時に、自分専用の小さな庭とナツメの木がもらえたらいいのに。
その庭は一人になりたい時は木陰が姿を隠してくれるけれど、完全に周りから切り離されてしまっているのではなくて、声や物音、人の横切る姿がチラッと見える、そんな気配が伝わってくる程度の広さ。
使い方は人それぞれ。
小さな畑を作ってもいいし、花を植えてもいい。木登りをしてもいいし、根元にもたれて読書をしてもいい。季節によってはナツメだって食べられるし☆
そして、深夜に泣きながら殴ったってナツメの木は受け止めてくれる…
そんな簡単なことじゃないのかも知れないけれど、少しはイジメや自殺や、生き苦しさから守ってくれないかな?
おにいちゃんがんばって。
きっと、誰もが何かと戦っているんでしょうね。
暴力じゃなくて、魂の戦い。
わたしはほんとうのことを隠さない。
それに耐えられる魂だけ、わたしのおなかにおいで。
(中略)
だから、戦える魂だけ、ここにおいで……
―木地雅映子「氷の海のガレオン」(ポプラ文庫ピュアフル)より―
ロンドンオリンピックも応援したし、高校野球も応援しています。
さぁ、今度は自分が頑張る番かな♪