堀辰雄『風立ちぬ』(新潮社)を読みました。
現在公開中の映画、スタジオジブリの新作「風立ちぬ」は、この物語とゼロ戦の設計者、堀越二郎の物語がもとになっています。
小説『風立ちぬ』が、作家堀辰雄の体験をもとにした私小説であると知って読むと、すごく切ない。
小説家の青年と許婚の女性。
カンバスを立てて絵を描く女性を見つめる青年のまなざし。
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新潮社
発売日 : 1951-01-29
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しかし女性は胸を病んでおり、高原のサナトリウムでの療養を必要とします。
かいがいしく看病する青年。
当時の男女のことです。歯の浮くようなセリフもドラマチックなラブロマンスもありません。
それなのに、この二人の周りに流れる空気のなんと濃厚なこと!
そして、内に秘めた意思のなんと強いこと!
流れ去る時間、迫り来る運命の足音、二人の中に流れるお互いを思うおもい。そして忍び寄る死という黒い影。
この物語を読んだあと、ぜひとも堀辰雄の年表も見て欲しい。
そしてこの物語を書かざるをえなかった一人の作家の気持ちに想いをはせて欲しい。
もう、最近の何とか文学賞の選考委員の連中に爪の垢でも飲ませてやりたい!
何でも赤裸々に書けばいいってもんじゃないんだよ!
私はこういう小説が好きなんだ!!
宮崎駿監督の「風立ちぬ」も近く観に行くつもりです。
映画をきっかけにして、この本に出会えたことを感謝します。
とってもいい本が読めました♪