私的図書館

本好き人の365日

閑話休題

2003-09-15 16:46:00 | 日々の出来事
田舎暮らしが見直されるようになったのは最近のことですけど、高校生の時は嫌でしたね。

小学生の時まで、うちの土間造りの台所には昔のかまどが残っていました。
さすがに使う機会は少なかったのですが、正月用の餅をつくために、モチ米を蒸かす時なんかには、火を入れていましたね。

水も井戸水を使っていたので、冬なんかには凍りついちゃって大変。

味噌も自分の家で作っていました。
昔の馬小屋が残っていて、そこに味噌桶がいくつも置いてあったんですが、においが強くて、子供の頃には近寄りもしなかった。

家のまわりには柿や栗、梅なんかの木が植えられていて、身が軽いからとよく登らされたものです。

猫の額ほどの竹林からはタケノコを。
裏山からは、自然薯やタラの芽を。
身内にもその場所は教えないといわれるキノコ採りにもよく連れられていきました。落ち葉の盛り上がった所を探すと見つかる”ぼうず”にぬめぬめとした”いくち”
珍しい”きいしめじ”や黒っぽい”しばもち”
採るのは好きだったけど、お弁当とかに入れられると恥ずかしいので、絶対に食べませんでした。
今思い返すと笑い話なんですが、当時はハンバーグやウィンナーのほうがお洒落に見えたんでしょうね。

お風呂も薪を燃やして沸かしていたんですが、改築した今でも「安いから」と薪を燃やして沸かせるようにしています。
本当、楽の出来ない性格の親なもので。

うちの祖父は父が若い頃に亡くなったそうで、下の三人の弟妹を学校に通わせるために、父は学生の時から、土方や炭焼きをして働いてきました。
祖母は再婚するために一度、父を養子に出したり、旅行に行くために借金したりと、あまり家庭的な人ではなかったので、苦労したそうです。

カミナリが落ちて母屋が全焼したりして、山や田畑もずいぶん手放したそうですが、自分は高校だけ卒業して、妹には大学まで出してあげたそうです。

これらの話は母から聞いたもので、父は自分ではこうした話はいっさいしません。

こういう親を持つ息子は苦労するんですよ~

何やってもとうてい父にはかなわないんですから(苦笑)

当時はTVに出てくる土のにおいのしない食卓に憧れていたものですが、『赤毛のアン』や『リンバロストの乙女』を読むようになって、逆に感謝するようになりました。
食べ物を育てる辛さや喜び。
動物達との暮らし。
田舎の重労働や隣人達の目。
継ぎはぎだらけのズボンにほどいた毛糸玉。
そんな思い出の中で、私の中に芽生えたであろう価値観と生き方。

高校生の頃は自分に自信がなくて、人の意見ばかり気にしていたのに、こうした本との出会いが私の中のこうしたものを奮い立たせてくれるんです。

自信を持て。
恥ずかしい育てられ方はされてこなかった。
あとは自分の問題だ。

もっとも、これが一番の問題なんですけどね(笑)



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