永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(323)

2009年03月12日 | Weblog
09.3/11   323回

三十帖【藤袴(ふじばかま)の巻】 その(1)

・源氏(太政大臣)    37歳 8月~9月
・紫の上         29歳
・玉鬘(対の姫君、尚侍の君)  内大臣と夕顔の娘、 23歳
・弁のおもと  玉鬘の侍女
・夕霧(宰相の中将)源氏と故葵の上の御子、祖母大宮に養育された 16歳
・内大臣(二条の大臣)  故左大臣の長子、前頭中将。母は大宮。源氏とは良き友良きライバル。娘は冷泉帝に入内した弘徽殿女御。もう一人の娘雲井の雁は按察使大納言北の方(妾腹)の子。
・柏木(頭中将、中将の君)  内大臣の長子、  21歳~22歳
・弁の少将  内大臣の二男
・兵部卿の宮(蛍兵部卿の宮) 桐壷帝を御父とした源氏の異母弟宮、
・髭黒の大将(ひげぐろのだいしょう)左兵衛督(さひょうえのかみ)で、役所では、柏木の長官にあたる。また、東宮の御母承香殿女御の兄として、勢力がある。32歳~33歳
・髭黒大将の北の方   髭黒大将より3.4歳年上。35~37歳
・式部卿の宮(紫の上の父宮)の正妻の長女。紫の上の母は式部卿宮の妾であった。従って紫の上は腹違いの妹にあたる。


 玉鬘はしみじみとお考えになります。

「宮仕えのことを、誰も誰もそそのかし給ふも、いかならむ、親と思ひ聞こゆる人の御心だに、うちとくまじき世なりければ、ましてさやうの交らひにつけて、心より外に便なきこともあらば、中宮も女御も、方々につけて心おき給はば、はしたなからむに、(……)」
――尚侍という宮仕をと誰も誰もお勧めになりますが、どんなものでしょう。親とお頼みしている源氏の御心さえ、うっかり出来ぬ男女の仲ですもの、まして宮中の生活では、意外に困ることも生じて、秋好中宮や弘徽殿女御が私に遠慮なさるようなことがおきましたならば、心苦しい思いをおさせすることになりましょう。(自分は、はかない身の上で、源氏にも内大臣にも特に大切にされている身でもなく、世人は何とか物笑いの種でも見つけようと呪詛する人までいるそうで、あれこれ不快なことばかりおこりそうですし――

「さりとて、かかる有様のあしき事はなけれど、この大臣の御心ばへの、むつかしく心づきなきも、いかなるついでにかは、もて離れて人のおし量るべかめる筋を、心清くもありはつべき」
――そうかといって、今の生活もそれなりに悪くはないものの、源氏の恋心が煩わしく、鬱陶しくて、何時、どのような時に離れて、人が邪推しているような源氏との関係を、きっぱり清算できるものか―― 

◆写真:藤袴は、ここでは蘭(らに・と発音)の花と訳されています。
  キク科の多年草。関東から東アジアの暖帯の川岸の土手などに生える。高さ1~1.5メートル。淡紅紫色の秋の七草の一つ。8月~9月に咲く。

ではまた。