おととい、1通のはがきが届き、目にした途端、どん底に落とされた。
病気療養中の友人が亡くなられた。
3年前に白血病の宣告で長い入院生活に入った。
白血病の種類でも珍しい病名で、輸血、抗がん剤の繰り返しで一旦退院した。
そして、昨秋、再入院した。
今年の桜の季節に俳句集が送られてきて、胸騒ぎがして思わず電話した。
4月3日のことだった。
桜を見に1時退院が許されたの…としゃがれた声で久しぶりに話が出来た。
14年前に知り合い、水彩画の作家で、ヨーロッパのスケッチ旅行の絵に魅かれて買い求め
それ以来毎年絵を買い求めた。
ところが、今年の春送られて来た俳句集は絵とともに長年作り溜めたものという。
今回も絶対に治療の効果で夏ごろには自宅へ帰れると信じ、そろそろまた電話してみようと
思っていた矢先のことだった。
いきなり深い奈落の底へ落され、2日間気持ちは悲しさが大きすぎて浮遊していた。
何をしていても次々と思い出が蘇り、無情な感情に入り込む。
彼女の死とともに残されたものは8点の絵画と俳句集であるため、直ぐに目に留まり
ぼーっと見入って考えてしまう。
この9月の連休中の期間、故人の遺志で遺作展を開くというので
あきる野市まで会いに行くつもりである。
多分泣いてしまうであろう。
思えば自分にはこの年齢まで続いてきた友人が5人おり、一人が1昨年の暮れ脳腫瘍で長期療養の末
亡くなった。
そして、白血病に続き、非結核性肺炎、悪性リンパ腫、転倒しての肘関節の骨折で手術、
と重症で残りの3人とも病院に通院中である。
自分は、というと飼い犬が細胞診の結果、悪性黒色腫と診断され先月から抗がん剤の治療に入った。
これは犬が身代わりとなってくれたのかと思うほどのタイミングであった。
平均寿命、健康寿命までまだ手が届かない年齢なのに、これまで明るく健康でいつも羨ましいと
思う生活環境で暮らしていた友人達だ。
少なくとも50代後半までは、命取りと思うほどの大病に襲われるような考えは一切なかった。
自分を含め周囲の友人にも及ぶことはなく、60代になり秘かにじわじわと健康障害は侵入し始めたと思う。
何が起きるか明日はわからない、闇の世界との言葉が身に染みるこの頃となった。
この季節、秋が深まる長い秋雨の毎日、もの悲しい日々となった。