2012年、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞。
1970年代初頭にアメリカでデビューしアルバム2枚を発表したが、売れずに消えたミュージシャン「ロドリゲス」。
1970代末、どういうわけか南アフリカで反アパルトヘイト闘争のシンボルソングとして彼の《シュガーマン》が大ヒット! 今も南アフリカでは、「大物」なのに、いったい「ロドリゲス」って誰なんだ? 生きているのか? 探して見よう!という映画だった。
ロドリゲスは、乱暴な言い方だがボブ・ディアンぽい感じ。(さすがに、ボブ・ディランは私の年代じゃないからあまり知らないが・・・)。
ステージ上で自殺したという伝説まで生まれたが、しっかり、本当にしっかりと人生を歩んでいて、地味で誠実で信念の人と言う感じで、立派な奴だぜ。ロドリゲス! 現在、御歳71歳。
ロドリゲスの人柄にただただ感心。日本で60年代・70年代から活躍してるミュージシャン達、売れなかった彼みたいな人生を歩んでいただろうか・・・。
本人は、南アフリカで大物ミュージシャンになっている事は何も知らず、印税も入らず、地道に生きてきた。再発見された後は、南アフリカに4回行って、コンサートもしているらしい。
メデタシ、メデタシで、見た後に爽やかな気持ちになる。
が、これって、本当にドキュメンタリー映画?
なぜか、スウェーデンとイギリス製作。どうも、スウェーデンでも彼のアルバムはヒットしたらしいが。
原題のSEARCHING FOR SUGAR MANが行われたのは、1998年の話。今から15年前の話をなぜ今頃?
ドキュメンタリーの題材としては、15年前の出来事で、ハッピーエンドも分かっていて、写真も映像もいっぱい残っている。編集と付け足しの撮影で、映画できちゃうじゃん。音楽もロドリゲスの、説得力のある歌詞が流れれば、言葉なんかいらないし・・・。印税をガメてた、元レコード会社の社長が亡くなったら、公開する気になったのかあ?
とにかく「ロドリゲス」本人の魅力だけでもってる映画だった。
他にも気になった点が2点。
一つは、ロドリゲスの娘3人は父親のコンサートに同行するほど仲がいいのに、奥さんについての言及はない事。
もう一つは、南アフリカでのコンサートで、反アパルトヘイトのアイコンで、本人も白人ではないのに、観客に黒人がいないのは、何でだろう? と思った。まだ、いろいろあるんだろう。
ケープタウンの街が映るたびに、空に円盤がいないか探してしまう私。「第9地区」の舞台ですから。