観た人に聞いたら分かり難いとかつまらないとか言っていたので、観ないでいいやと思ってたら、友人に誘われた。
結果、観て良かった。分かり難い点もないし、退屈でもない。ストーリーは3回繰り返す。「羅生門」形式(例えが古いなあ。今なら「カメラを止めるな!」形式か?)で、子供の母親(安藤サクラ)目線でストーリーをザックリ解説、子供の教師・保利先生(永山瑛太)目線で驚きの展開、最後に当事者の子供2人の視線から丁寧に描かれていてラストまで。
どうなるか、先がさっぱり読めないので、飽きずに観られる。上諏訪の景色もきれいだ。結構ツッコミが入って良い展開なのに、そこはサラッと流されるのでファンタジー映画っぽい。
ネタバレ
「怪物」は、登場人物全員で、悪意がなくてもあっても、人を平気で傷つけるという、面倒で残酷な人間関係。いい加減な噂話を流す近所の人も、子供の母親も悪意はない。
悪意があるのは、校長をはじめとする保利先生を貶める教師たち。さらに悪意があるのは、保利先生のクラスの子供。で、最も「怪物」は、麦野湊君だと私は思うのだが。小学5年生だったら、自分の嘘で、保利先生の人生がメチャメチャになったのは分かっているだろうに。小学5年生だからこそのイライラ感は分かるけど。湊もクラスの子も、保利先生の新聞記事を見てもケロッといきていくんだろうか?
それなのに、台風の日、湊君に謝りに来る保利先生って凄く偉くないか?
趣味が本の誤植を見つけて出版社に報告するだったりするけど、出版社の方もクレーマーとまでは思ってないだろうし。「笑った顔が気持ち悪い」という保利先生の恋人(高畑充希)は、別れようと前から思っていたんだろうけど。
この映画を観たら、教師になろうと思う人間がいなくなくるのではないかと心配になる。自分の子供が教師になると言ったら、止める大人が続出しそうだ。
トロンボーンとホルンを吹いたからって、罪は消えないぞ、二人とも!
キーとなる星川依里君。若くしてしっかり自覚症状のあるLGBT。彼だけ淡々としてたね。
最後は、行き止まりだった鉄格子が開いていたので、あの二人はその先に旅立ったのだろうな。やっぱファンタージー映画だ。