折角マーゴット・ロビー主演で、ピンク色のポップなファンタジー映画なのに、いろいろケチが付いてしまって・・・。気の毒だ。
「バーベンハイマー」は誰がどう仕掛けたのか?とか、クリストファー・ノーランを巡ってのユニバーサルとワーナーの確執とか、でもSNSに投稿するのは現場の人間だしなあ・・・とか。
純粋に映画「バービー」を楽しもう!
面白かったよ。マーゴット・ロビーは溌剌としてたし(やっぱり年相応に見えるけど)、衣装も素敵だし。バービーランドのセットも可愛らしい。
ただ、バービー人形自体には何の思い入れがないリカちゃん世代の私。とは言え会社員時代に、バービーとマテル社には若干関わっていたので他の日本人観客よりは笑えたかも。でも、外国人の観客はもっと笑ってた。比喩や小ネタが分からん!フェミニズムやらLGBT云々のくだりも正直良く分からない。ただ、ヘンテコバービーを演じてたケイト・マッキノンは確か同性愛者と言ってたから、バービーを演じていた他の役者さんもそうなのかなあ?と。
ナレーションはヘレン・ミレンなので(オープニングにクレジットあり)、最後に出て来るかと思ったら違う小さい女優さん(なんとダニー・デヴィートの奥さん!)だった。バービーが「私は醜い」と言うとナレーションで「マーゴット・ロビーがそんなわけはない」と突っ込んでた。
で、ケン役のライアン・ゴズリング。実年齢42歳だ。最初に配役を聞いた時はミスキャストだと思った。もっと若くて(せめて30代中頃までで)、体が良くて、金髪が似合って、歌って踊れる男優はいっぱいいるだろうに。最初はやっぱり違和感いっぱいで。
でも、だんだん慣れてきたら、この映画に描かれる“女性”よりも、ケンの方に感情移入してしまって。「シャン・チー/テン・リングスの伝説」の主役をしてたシム・リウ(相変わらず地味だ)となかなかのダンスもしてた。
バービーランドでは、完全に女性のための世界。政治も仕事も全て女性が握ってて。遊びも女性中心で、男性は頭がからっぽでただいるだけ。ケンはそれでもバービーを愛してるのに、バービーは何とも思ってない、どころか利用するだけ。そんなケンが人間界(アメリカ)に行って、真逆の世界を知って“男性”社会を作ろうとするんだが・・・。結局、また元の世界に・・・。おまけにバービーは、何もさせてくれず(ツルツルでも1回位してあげればいいのに。せめてキスだけでも)、去っていく。え~、気の毒すぎるじゃん、男(ケン)たち! マテル社の重役たちも気の毒な描き方だし。逆にこれでOKしたマテル社の懐の深さも感じるが。
そして、ラスト、バービーは就職の面接に行ったのかと思ったら、産婦人科を受診する所で終わるのだが・・・。人間になったから、ツルツルではなくなったという事なのか? やっぱり女性としては子供を産まないといけないと言う事なのか? 政治も仕事も頑張って子供も育てて頑張る女性が偉い!という映画なのかなあ。なんか、男性が気の毒だなあ。女だって見てくれで男性を評価するのになあ。
なんか、ラストがなあ。未婚で子なしの生産性のない私としては、ちょっと辛かった。まあ、だから私はこの映画を観て、男性に同情するのかもね。