アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

当ブログへようこそ

 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

 これが、当ブログの主張です。
 詳しくは→こちらを参照の事。
 「プレカリアート」という言葉の意味は→こちらを参照。
 コメント・TB(トラックバック)については→こちらを参照。
 読んだ記事の中で気に入ったものがあれば→こちらをクリック。

今こそ教育委員会を公選制に戻せ!

2006年11月12日 23時44分24秒 | 教育基本法やらせ改悪
 今までも言われていた学級崩壊や不登校などに加え、必修科目未履修や虐め自殺などの教育現場の混乱ぶりについて、教育基本法にさも原因があるかのような意見が、国や一部政治家の方から盛んに言われています。

・「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」(教育基本法・前文)
・「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」(同・第1条)
・「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によつて、教育上差別されない。」(同・第3条)
・「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」(同・第10条)
 http://www.kyokiren.net/_misc/kihonhou

 以上、現行の教育基本法の条文から代表的な条項をいくつか抜粋しましたが、これらの条項の一体何処が問題なのでしょうか?
 虐め自殺も不登校も学級崩壊も、『人格の完成』などそっちのけで受験学力ばかり重視され、「正直者がバカを見る」(例:西宮冷蔵の倒産)「出る釘は打たれる」(例:ヤミカルテル告発で解雇されたトナミ運輸社員)社会風潮の中で『平和的な国家及び社会の形成者として真理と正義を愛』する人間が疎まれ、「勝ち組・負け組」競争の中で『個人の価値』が散々踏みにじられてきた事の、当然の報いではないですか。踏みにじってきたのは一体誰? 教育基本法ですか? そうではないでしょう。当のお役人・政府・文部官僚・財界などでしょう。

 親や子供は「学級崩壊や不登校や虐めの原因を取り除いてくれ」「我々は機械や部品ではない、みんな人間として尊重してくれ、そういう社会であってくれ」と言っているのであって、「教育基本法を変えろ」などと言った覚えは全然ありません。「教育基本法を変えろ」というのは、常に国や一部政治家の方が一方的に言い出した事です。

 いつも何か問題が起こるたびに、常に国の方から「時代遅れの教育基本法を変えなければいけない」と声が上がります。しかし、「では、その教育基本法の何処が時代遅れなのか?」と具体的に問うと、国は全然答えられません。
 答えられないのも当然です。「時代遅れ」の具体的根拠など何も無いのですから。しかし、道理があろうが無かろうが、そんな事などお構い無しに、とにかく教育基本法は変えたい。そこで出てきたのが、内閣府主催のタウンミーティングでの、国が裏に手を回して"サクラ"を使っての"やらせ"質問。教育基本法を変える道理が無いから、こんな事をするしか能が無いのです。

 やれ「"やらせ"質問はあくまで現場が勝手に暴走した事であって、国は一切関与していない」だの、果ては「"やらせ"の有無と法改正論議は別だ、法律は予定通り変える」と居直り居士まで現われる始末で(事は民主主義の根幹に関わる内容であるにも関わらず)。その裏で、国と世論の板ばさみになった校長があちこちで自殺しています。それに対して、国は涼しい顔して「トカゲの尻尾きり」で済ませています。そもそも、『平和的な国家及び社会の形成者として真理と正義を愛』す教育が今まで本当に行われてきたのなら、こんな自殺者など一人も出ない筈です。これだけをとっても、「実際には、如何に憲法・教育基本法の理念に反する政治や教育が行われてきたか」という事の、立派な証です。

・タウンミーティングやらせ質問案、文科省元室長が作成(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061111i101.htm
・やらせ質問:政府の説明は前提が崩れた 伊吹文科相(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061110k0000e010062000c.html
・やらせ質問「教育基本法とは別問題」 首相(朝日新聞)
 http://www.asahi.com/politics/update/1111/002.html
・社説:やらせ質問 政府説明会と名を変えろ(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/shasetsu/news/20061110ddm005070093000c.html
・「やらせ」質問 甘く見られている国民(中国新聞:社説)
 http://www.chugoku-np.co.jp/Syasetu/Sh200611040161.html

 それでも、読売新聞の世論調査によると「教育基本法改正賛成が66%」との事。この読売の世論調査に対しては、沖縄タイムスや豊島耕一氏が異論を呈しています。曰く「この世論調査結果は、教育基本法の条文や歴史的背景もロクスッポ読みこなしもせずに、教育の現状に対する危機感だけを煽られた事によるものだ」と。また、読売新聞とは全然異なる世論調査結果も既に出ています。

・教育基本法改正案「賛成」66%…読売世論調査(読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe6100/news/20060516it16.htm
・教育全国世論調査 基本法の実現こそ急務 現状の危機感が改正に(沖縄タイムス)
 http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20040927.html
・[AcNet Letter 187] 豊島耕一氏「26日の教育基本法改正世論調査について」
>教基法改正についての賛否を問うのが主な目的ですから,その前提,つまり教基法について回答者がどの程度の認識があるのかというのが,最小限必要な質問項目であるはずです.ところがその質問項目はありません.では,調査者は教基法全文を用意していたのかと聞いたところ,これも持たず,回答者に提示可能だったのは簡単な要約(“とは物”と表現されました)だけとのことです.<
 http://letter.ac-net.org/04/09/29-187.php
・教育基本法 変える?変えない?全国意見投票
 教育基本法を変えるほうがいい 1437票 28%
 変えないほうがいい      2811票 54%
 わからない           969票 19%
 http://kyokihou.exblog.jp/i0

 ただ私が思うのは、「如何に煽られたからにせよ、これだけボロが次から次へと出てきているのに、よくもまあ何も分らずにイメージだけで安易に賛成出来るものだなあ」と、もう半ば呆れ返っているのですが。もうまるで「詐欺とペテンの小泉劇場が、そのまま安倍劇場に摩り替わっただけ」というか。

 あるいは、教育基本法改悪賛成派の中には、ひょっとしたらこういう事を思っている人もいるのかも知れません。「お前ら先公は、口先では平和だとか民主主義だとか建前ばかり言っていたが、実際には受験競争を煽る側にいるじゃないか」「教育基本法の言っている事は単なる奇麗事であって、実際にはこんなモノでは虐めも学級崩壊も無くならない。戸塚ヨットスクールみたいに、道徳と強制力で有無を言わさず無くすしかないんだよ!」と。
 これは私の脚色も多分に入っていますが、特に前段の「口先では」云々部分などはかなり当っているのでは。実際、私の中学生・高校生時分には、こういう形での「ニヒリズム」「三無主義」というのが結構流行りで、実は私もその口でしたから。

 しかし、これは今になって学生時代を振り返ってこそ初めて言える事なのですが、《いくらそれが建前だけの平和や民主主義であったとしても、だからと言って、戦前の特攻隊、お国の為に死ぬ為だけの教育が良いという事には、絶対にならないじゃないか》という事です。その理念がまだまだ建前だけに終わっているというのなら、それを少しでも現実のものに近づけていくのが本来の姿です。それを一切せずに只の天邪鬼気取りのまま、その「ニヒリズムの空虚さ」を埋める為に、紛い物の「癒し」に引き寄せられて、自ら東尋坊から身投げするかの様な、自分で自分の首を絞めるかの様な愚だけは、まかり間違えても犯してはならない―という事です。
 
 実際には学校や家庭でこれだけ問題が多発しているにも関わらず、教育基本法や戦前・戦後の教育の事について、余りにも知らな過ぎ、知らなされ過ぎの感を強く感じます。知っていたら、読売新聞の世論調査の様な結果などは出てきようがありません。

 以下は共産党も含めてどこの野党も未だこの国会では取り上げていない主張ですが、今回の一連の教育問題を機に、教育委員会を公選制に戻すべきではないでしょうか。
 戦後、教育基本法が施行されてから1956年までは、市町村・都道府県教育委員会も、今の農業委員会や海区漁業調整委員会などの他の行政委員会と同様に、住民による直接選挙で選ばれていました。これは戦後の民主改革の一環を為すものでしたが、それがその後の、愛国心教育復活への地均しや教育に対する国家統制・差別選別教育強化を目論む逆コース路線(池田・ロバートソン会談、教育二法、勤評・学テ強行など)の中で、公選制から市町村長・都道府県知事による任命制に変えられて、教育委員会法も廃止されて現行の地教行法(地方教育行政法:正式名称は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」)に改悪されたのです。その後、東京都中野区などで準公選の試みも行われましたが、自民党などの反対によって潰されました。
 
・映画「世なおし準公選」(映画配給会社シグロのHP)
 http://www.cine.co.jp/php/detail.php?siglo_info_seq=39
・教育委員会制度 高まる見直し論(神戸新聞「アクセス 地方から」)
 http://www.kobe-np.co.jp/rensai/access/43.html

 今こそ、教育委員会の公選制を復活させるべきです。そして、文部科学省役人の出向・天下りや国家権力からの介入を排して、そこで虐めや未履修の問題を討議すべきです。そこで議論するのは勿論、今の様な「道理も何も無いのに先に教育基本法廃止在りき」の"やらせ"・ウソで固めた密室議論などではなく、「今の現実・社会を教育基本法の理念にどう近づけていくか」という事を、もっとオープンに議論すべきです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「教育基本法改悪・改憲手続・共謀罪」法案粉砕!11.8「ヒューマンチェーン」関連情報

2006年11月01日 10時23分55秒 | 教育基本法やらせ改悪
(転載開始)
■緊急行動のお知らせ■
★「ヒューマンチェーン」(人間の鎖)★
教育基本法改悪反対!
―少年法改悪反対、改憲手続き法と共謀罪の新設反対―
http://kyokiren.seesaa.net/article/26438675.html

 ●実施日程 11月8日(水)午後4時
 ●場所 衆議院議員面会所 集合(地下鉄丸の内線国会前下車)

 教育基本法改悪は、少年法改悪、憲法改悪や共謀罪新設などと一体のものであり、平和と民主主義を踏みにじり、「戦争国家」に突き進むものです。

 これらの法案を廃案に追い込むために、今こそ、さまざまな分野、 立場を超えたすべての力を、全国各地から結集して世論に訴え、国会にぶつける時ではないでしょうか。

 共通の思いを持ちながらそれぞれの場で取り組んで来た私たちは、 国会の重要な時期に集まり、午後の一定時間を共有して国会を包囲し、私たちの思いをアピールしたいと考えます。

 ぜひ、この行動の呼びかけ人になってください。さらに呼びかけ人を広め、行動の参加者をひろげてください。

 ・教育基本法「改正」反対市民連絡会
 ・子どもと教科書全国ネット21
 ・子どもの育ちと法制度を考える21世紀市民の会
 (「子どもと法・21」)
 ・「子どもたちを大切に…今こそ生かそう教育基本法」全国ネットワーク
 ・許すな!憲法改悪・市民連絡会
 ・共謀罪の新設に反対する市民と表現者の集い実行委員会

 ◎問い合わせ先
  高田(tel:03-3221-4668 fax:03-3221-2558) 
  東本(tel:090-1859ー6656)
  日本消費者連盟(tel:03-5155-4765 fax:03-5155-4767) 

★<私もヒューマンチェーンの呼びかけ人になります>

 危険な安倍内閣をみんなでとりかこむ「ヒューマンチェーン」の呼びかけ人になってください。
 あなたも、あなたも、呼びかけ人になって たくさんの人に呼びかけましょう。そして、たくさんの人で国会を包囲しよう!

 呼びかけ人としてお名前を出していただける方は下記aaaaaaから zzzzzの行を含めてコピーし、記入して下記アドレスへ返信ください。機械的に読み取りますので、もし他の連絡事項を書かれる場合はzzzzzz行以降にお書きください。(11・8日当日、ご参加できない方も、多くの人が「改悪反対」であることを伝えるために、ぜひ呼びかけ人になってください。よろしくお願いします。)

aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
1氏名;
2ふりがな;
3地域名(例、杉並区);
4所属、肩書き(無しでも可);
zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz

送信先アドレス
konokuni_no_asu2 at yahoogroups.jp

※「ヒューマン・チェーン」当日の資料にお名前と地域名を掲載します。
※個人情報は、「ヒューマンチェーン」の全ての活動が終わり次第消去いたします。
(転載終了)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2006-October/009857.html
 http://kyokiren.seesaa.net/article/26438675.html
 http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/087c8ca8ae4a5f0be5a7e846e6bfb195

 教育基本法改悪法案が衆院特別委員会に上程され本格的な審議に入りました。政府与党は、「今何故、教育基本法改正が必要なのか?」という肝心の問いには何ら答えないまま、教育再生会議メンバーの国会招致も拒否して、「臭いものに蓋」の態度で11月上旬の委員会強行採決を狙っています。

 「いじめ自殺」「架空履修」防止の為にも教育基本法「改正」を―だって?!「いじめ自殺」も「架空履修」も、歴代政府が、「個人の尊重」「人格の完成」という教育基本法の精神をずっと踏みにじり続け、その反対の「国や企業の言いなりになる人材づくり」「競争と格差を煽るだけの教育」を散々進めてきた事の、成れの果て・行き着く先ではないか。こんなマッチポンプなふざけた詭弁を世間に蔓延らせてはならない。
 
・あんころブログ(「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」のブログです)
 http://kyokiren.seesaa.net/
・教育基本法「改正」情報センター
 http://www.stop-ner.jp/
・ヤフー政治ニュース
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?c=pol&t=l
・保坂展人さん(衆院議員、社民党)の「どこどこ日記」
 http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/
・衆議院TV(インターネット中継&ビデオライブラリー)
 http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.cfm
・高橋哲哉『教育と国家』(講談社現代新書、2004年)
 http://www.amazon.co.jp/e59%C2%80b2068Vfd-b6-%E9%AB%98%E6%A9%8B-%E5%93%B2%E5%93%89/dp/4061497421/ref=sr_11_1/250-7857659-7969865
・日本教育再生機構(理事長は八木秀次氏)
 http://www.kyoiku-saisei.jp/index.html
 http://www.kyoiku-saisei.jp/kiko/kiko.html#k03

【教育基本法・改定への意義申し立て】

・教育再生会議へ
 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/hotlineform-kojin.html
・与党、野党議員(衆議院教育基本法特別委員会)へ
 http://www.jca.apc.org/stopUSwar/actions/kyokiho_yoto_form.htm
 http://www.jca.apc.org/stopUSwar/actions/kyokiho_yato_form.htm
 
 以上、[AML 10266]から転載の参考情報。
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2006-October/009857.html

【その他関連情報】

・教育基本法 やはり改正すべきでない(信濃毎日新聞)
 http://www.shinmai.co.jp/news/20061029/KT061028ETI090003000022.htm
・[教育基本法改正案] 国民の疑問に応えよ(沖縄タイムス)
 http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20060430.html
・伊藤美好・池田香代子著「11の約束 えほん 教育基本法」(ほるぷ出版)
 http://smile.hippy.jp/ehon11/
・教育基本法説明資料(首相官邸)
 http://www.kantei.go.jp/jp/kyouiku/1bunkakai/dai5/1-5siryou1.html
・中央教育審議会(文部科学省)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/index.htm
・日本国教育基本法案(Yahoo!みんなの政治)
 http://seiji.yahoo.co.jp/gian/0165016401028/index.html
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

高校単位架空履修問題―そんなに言うなら「櫂より始めよ」

2006年10月28日 23時47分34秒 | 教育基本法やらせ改悪
・補習授業350回も 伊吹文科相「配慮は難しい」(毎日新聞)
>伊吹文科相は「卒業証書を出すまでの間に学習指導要領に決めた通りの授業は受けていただく。特別な配慮は難しい。みんなが決めたルールを守るところから社会の秩序は成り立っている」と述べた。さらに責任の所在について「所管をしている教育委員会そのものに責任があるんじゃないか」と言及した。<
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/tanni/news/20061028ddm041040171000c.html

 「高校の必修科目の一部を、表向きは履修したことにしておいて、実際は全然違う大学受験科目の授業に振り替えていた」という、高校卒業必修単位の架空履修問題が全国各地の高校で、特に進学校と呼ばれる学校を中心にして、次々に表面化しています。特に社会科の地歴分野で、必修の「世界史」を全然履修させずに大学受験科目選択者の多い「日本史」の授業に振り替えていたケースが、次々に明るみに出てきてます。

 その手口も「教育委員会にはウソの報告を上げていた」「時間割には「地理・世界史・日本史」の科目名で公表するなどの偽装工作」「世界史的に地理を教えていたなどと言い訳」などなど、もう「何でもあり」の様相で。以前問題になった社会保険庁の年金不正免除事件と同じ事が、またもや繰り返されたという気がします。あの事件も社会保険制度の歪みを放置したまま徴収率アップの数字だけを追求した為に起こったものでした。

 私の高校時代はもう××年前ですが、幾ら何でもここまで酷くはありませんでした。そりゃあ当時も大学受験科目以外の授業では内職したり早弁したり気の弱い教師を虐めまくったりというのはありましたし、高校三年は文系志望のクラスでしかも進学校でもなかったので生徒は「数Ⅲ」の教科書なんてチンプンカンプンでしたから、数学の授業は「数Ⅲ」は一学期で打ち切って後は「数Ⅰ・数Ⅱ」の復習みたいな事をやったりとか、そういうのはありましたけれど。社会科の科目も一通り全部履修しました。確か高一で「地理」、高二で「世界史・倫理社会」、高三で「日本史・政治経済」を履修したのだったっけ。但し、日本史も世界史も19世紀までしか教科書を消化し切れなかった様に覚えています(日本史は明治維新、世界史は第一次大戦前ぐらいまで、だったかな)。

 「世界史」より「日本史」優先になるのは受験準備との絡みで、高校三年で履修する日本史を大学受験科目に選択する生徒が多いからそうなるのでしょうが、「日本史」の教科書なんてやたら細かい事がごちゃごちゃ書いてあって、寧ろ「世界史」の教科書の方が読んでて面白かったけれど(ちなみに私は社会科は世界史で大学を受験)。いずれにしても、系統的にカリキュラムを組んで学習しておれば、ここまで酷い事にはならない筈でしょう。

 この高校卒業単位の架空履修問題がここまで顕在化してきたのは、確か90年代以降の事でしょう。70年代までの「詰め込み教育」「新幹線授業」で、いきなり小学校の算数に方程式が登場したり中学一年で集合論や論理式紛いの単元が出てきたりして、大量の落ちこぼれが発生してそれで世論の批判を浴び、80年代は一転して「新学力観」「ゆとり教育」という、如何にも「詰め込み教育」を是正するかの様なポーズを取りながら、その実「バカはもうバカのままで良いから、バカなりに盲目的な愛国心だけ持ってくれればそれで良い」「これからはバカには手をかけずにエリート教育重視で行く」という方向に走り出して、それに習熟度別(という名の格差)教育や、2002年度からの完全週5日制で更に事態が悪化した。

・高等学校学習指導要領 総則(文部科学省)
>第3款 各教科・科目の履修等<
>1 必履修教科・科目<
>(2) 地理歴史のうち「世界史A」及び「世界史B」のうちから1科目並びに「日本史A」,「日本史B」,「地理A」及び「地理B」のうちから1科目<
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/990301/03122603/001.htm
・学習指導要領(Wikipedia)
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%A6%E7%BF%92%E6%8C%87%E5%B0%8E%E8%A6%81%E9%A0%98

 学習指導要領の目先はコロコロ変わるけれども、生徒を「減点法(相対評価)で評価する」という根本的な悪弊をずっと放置・拡大し続けてきたから、こんな事になったのでしょうが。長所を評価して人間性を伸ばす「加点法(絶対評価)」でなく、ひたすらランク付し「勝ち組・負け組」を選別する為のアラ探しに終始する「減点法(相対評価)」による評価、富士通など大企業でモラルハザードを引き起こしている成果主義賃金制度の「学校版」とも言うべき評価の仕方をしてきた事の、長年のツケが一挙に出てきているのでしょうが。下記の日高教の声明にもある様に。そして、安倍教育改革とやらでそれを更に酷くしようとしているんでしょうが。 

・過熱する大学受験競争を今こそ見直そう-高校必修「世界史」未履修問題について-(日高教)
>今回の事態の背景には、大学受験競争の過熱化があります。大学受験にシフトした「中高一貫高」、「スーパーサイエンス・ハイスクール」や大学進学を売りにする特区での株式会社立「中高一貫高」など政府・文科省による高校「多様化」再編、通学区の撤廃など高校入試選抜制度の多様化・多元化による高校の格差づくりが進行することで大学受験競争を一層深刻にしています。このような教育政策の下で、受験準備のための土曜補習、土曜「授業」、ゼロ時間・7時間授業の蔓延が問題になってきました。その上、学校評価の導入とともに「有名国立大学に○○名現役合格」というような数値目標が設定され、そのために教職員は身をすり減らすような状況がつくられてきています。生徒もまた個人の希望とは異なる数値目標に合わせた進路が強いられ、入学してもすぐ退学するということも起こっています。<
 http://www.nikkokyo.org/undo/seimei/2006/pdf/061027.pdf

 しかも、それで言うに事欠いて「みんなが決めたルールを守れ」「教育委員会の責任だ」「救済措置は取らない」(伊吹文科相)てか。「この人、何言ってんの?」と思わず言いたくなります。「受験を前にした今から、年間70時間からの世界史の授業を土・日返上でやれ」てか。ここまで来るともう「自分の言っている事がどういう事か、本当に分って言っているの?」という感じで。これでは生徒が余りにも可哀相過ぎます。

 確かに「見て見ぬ振りをしてきた」教師や学校にも責任はあります。しかし最大の責任は「見て見ぬ振りをせざるを得ない所まで追い詰めてきた方」にこそあります。それを「自分は悪くない、悪いのはあくまで現場だ」と言ってのける神経が、まず信じられません。この発言にはさすがに与党内からも批判が出始めているようですが。

 今回の事態についても「マッチポンプ」よろしく「白を黒と言いくるめる」かの様に、「更に学習指導要領で縛りを」とか「だから教育基本法改正が必要だ」とか言う発言をこれらの政治家がしないかどうか、注意していく必要があります。早速、「日の丸・君が代」強制でも有名な東京都教育庁などが「私の所では学習指導要領からの逸脱は皆無である」と自慢し始めています。今まで散々「進学指導重点校」なんか作って公然と格差教育を煽っている所が「何をか況や」ですが。
 http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/pickup/p_gakko/gide.htm

提案:そんなに「信賞必罰」「自己責任」を強調するのなら、その最大の責任者たる、安倍や伊吹やナンチャラ補佐官や教育再生ナンチャラとかいう取り巻き連を始めとした政治家・文部官僚たちに、これから三学期終了までに、その年間70時間からの世界史その他の架空履修科目の再履修をしてもらって、中間考査・期末考査・全国一斉学力テスト・大学入試センター試験を受験させて、赤点取ったら合格するまで補習・追試を受けさせて、その試験結果・点数・偏差値も逐一ランク付した上で情報公開すべし! 自分たちが今まで現場に対して散々してきた事について、そんなに言うなら「櫂より始めよ」。そうすれば多少は人の気持ちも分るようになるでしょう。
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍政府や産経新聞に、福岡の虐め教師を非難する資格は無い!

2006年10月18日 07時31分52秒 | 教育基本法やらせ改悪
・「担任がいじめ誘発」 福岡の中2自殺で学校謝罪(産経新聞)
 http://www.sankei.co.jp/news/061016/sha000.htm
・中2自殺、元担任の言動がいじめ誘発か(TBS:ニュース動画有り)
 http://news.tbs.co.jp/part_news/part_news3403526.html

 福岡県筑前町立三輪中学校2年男子生徒の自殺事件が、世間の耳目を集めています。背景には、担任教師による虐め言動や、それを隠蔽しようとした学校側の体質があった、との事。以下は、産経新聞の上記記事からの引用です。

>父親(40)によると、1年生の時に男子生徒が自宅で見ていたインターネットの内容を両親が担任に相談したところ、担任は後日、相談内容を同級生に暴露し、クラスで男子生徒に不本意なあだ名が付けられた。担任は級友の前で男子生徒を「偽善者」「うそつき」とからかったりもした。<
>また担任は、学業成績をイチゴの品種に例え「(高価な)あまおう」「出荷できない」などとランク分けして生徒を呼んでいた。男子生徒は成績上位で「あまおう」と呼ばれたが、父親は「親としては、こうした教師の格差意識が、いじめを助長したと受け止めている」という。<

 そして、この「教師による虐め主導・誘発」という事態に遭遇して、文部科学省の方でも、係官を現地に派遣して事実調査に乗り出す、との事。

 その他の新聞・TVでもこの事件を大きく取り上げていますが、その殆どが、この問題教諭叩きや、精々が学校の隠蔽体質を指弾する所まででお茶を濁しているような気がしてなりません。

 確かに、まず指弾されるべきなのは、当該の問題担任です。実は私自身も中学生時代の一時期に虐めにあった経験があるので、自殺に至った生徒の心中も痛いほど分るし、当該問題教師に対しても、憎しみと哀れみが内混ざった様な、ある種言い知れぬ複雑な感情を抱いています。しかしその一方で「そういう”個人叩き”だけで終わらせて良いのかな」という気持ちもあります。
 この問題教師は、その「歯に衣着せぬ物言い」で他の生徒ともトラブルを抱えていた一方で、その言動が生徒の人気を呼んでいた部分もあり、また統率力もあったので学年主任も兼任していた、との事。私などは「何でこんな教師が学年主任に収まる事が出来たのか」と思うのですが。

 そして一番肝心な事を、どのマスコミも「あまり追及していない」というか、「意図的に言及を避けている」という気がして仕方が無いのが、「こうした教師の格差意識が、いじめを助長したと受け止めている」(同上の新聞記事より)という自殺生徒の親の指摘。この指摘が問題の全てを物語っています。

 「虐め」事象と言うのは、その事だけが単独で発生する事は余りありません。大抵の場合は、その陰に隠れてまた別の「虐め」事象が存在するものです。それも生徒間や生徒・教師間の虐めだけでなく、教師間の虐めも伴って。例えば下記記事の様に。

・中学教諭自殺:校長行き過ぎ指導の可能性 千葉市教委調査(毎日新聞)
>校長は昨年4月に、教諭は今年4月に同校に赴任した。関係者によると、今年の夏休み前から、教諭は仕事上の報告をする際、校長から大声で叱責されることが多くなった。また校長は、他の教諭にも声を荒らげることがあったという。<
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20061017k0000e040024000c.html

 何の事は無い。そこに見られるのは、正に企業内でのパワー・ハラスメントと全く同じ構図です。ヨドバシカメラやニコン熊谷工場で起こった会社側による派遣・請負労働者虐めにも相通じる様な。そして、それを促してきたのが、小泉・安倍ネオリベコンにまで続く歴代自民党政府の教育政策ではなかったのか。

 安倍政権の教育政策は、飛び級や中高一貫教育・学区制廃止などの「学校選択制」、成果主義賃金や教育免許更新性などの「学校評価制」、アメとムチの教育予算配分で学校間格差を拡大する「バウチャー制度」が、その3本柱だと言われています。
 「全体的に底上げを図る」という事を曲がりなりにも建前としてきた戦後教育の思想を単に「悪平等」と切って捨て、その逆に「出来る子供、国家に貢献出来る子供」の拾い出し・能力開花・伸長ばかりに力を入れ(先の「3本柱」や全国一斉学力テストの実施もそれが狙い)、その他大勢の「凡人、落ちこぼれ」については「もう勉強は程々で言い、お国もあんた達などにはカネを掛けていられない」「ただ、お国に歯向かうような事だけはするなよ」と言わんばかりの様な。そこにあるのは典型的なサッチャーリズムであり、それはある種の社会ダーウィニズムにも通じる様な思想です。
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/38cc0eb1daf59a898b6c16c2a0b94191
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-09-29/2006092903_01_0.html
 http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/08/29/20060829000036.html

 だから、学校間競争が義務教育まで蝕んだ結果、生徒が集まらなくて新入生ゼロの公立小中学校が続出したり、経済格差によって給食費や修学旅行の学費も払えない家庭が激増しても、平気でいられるのでしょうし、「底辺の底上げ」にしかならずに「英才教育に重点配備すべき予算を食い物にしている」ような低学力校・定時制高校や、教育基本法の理想である「個人の人格の完成、民主的・平和的社会の形成者・主権者」育成を目指した教育実践が行われている学校などを、軒並み狙い撃ちして統廃合の対象にしているのです。
 http://www.nakajima-msi.com/mzbox/mz0135.html
 http://www.hcn.zaq.ne.jp/cabhk402/gide.html
 http://ins.jp.org/takanan/1015.pdf#search='%E9%AB%98%E6%A7%BB%E5%8D%97%E9%AB%98%E6%A0%A1%20%E7%B5%B1%E5%BB%83%E5%90%88'

 そして忘れてはならないのは、この様な格差・差別・選別教育の犠牲者は何も定時制や低学力校の生徒ばかりではなく、「優等生も、ある意味ではこの教育の犠牲者なのだ」という事です。長年の優等生生活の中で人格を歪められ鼻持ちならない人間に育て上げられてきて、いざ社会に放り出されてから初めてその事に気付かされ、それまで散々身につけてきた「受験学力」も、実生活上の問題解決には全然役立たない代物だった事を、嫌という程思い知らされる。私が昔読んだ(今はもう絶版か?)「開成・東大十四年」(伊藤悟・著、一光社)という本には、その優等生が「その後どうやって人間らしさを取り戻していくか」という苦闘の軌跡が書かれています。

 そういう教育をやってきた(今もやっている)側や、それを散々持ち上げてきた(今も盛んに持ち上げている)御用マスコミが、今頃さも他人事であるかの様に「係官を現地に派遣して事実調査に乗り出す」とか「元担任の言動がいじめ誘発か」とか言うに至っては、もう「何をか況や」「盗人猛々しい」としか言い様がありません。安倍政府や産経新聞ごときに、福岡の虐め教師を非難する資格は無い!   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする