11月1日に迫った大阪市廃止・特別区設置住民投票(いわゆる「都構想」住民投票)に向けて、様々な市民団体が反対運動を展開しています。そのうちの一つで、元・大阪市長の平松邦夫氏らが立ち上げた大阪市民交流会では、ビラ配りやポスター張りのボランティアを募集しています。それを聞きつけて、私も自分の住むマンションにビラを配ろうと、地下鉄谷町四丁目駅近くにある同会の事務所に、ビラを取りに行きました。そして、ビラを受け取ったついでに、「大阪問題 資料編」というパンフレット(左上写真)をもらいました。
このパンフレットは、市民交流会とはまた別の市民団体が、2017年(平成29年)に内部資料として発行したものです。もう数年前の資料ですが、「都構想」の問題点について詳しく書かれています。私が疑問に思っていた住吉市民病院(右上写真)の統廃合問題についても詳しく書かれているので、いただいて帰る事にしました。そして、マンションにビラを配った後で、統廃合問題について読ませてもらいました。
住吉市民病院の統廃合問題とは、老朽化した同病院を建て替えようとした時に、当時の橋下徹・大阪市長が、「赤字の市民病院なぞ建て替えずにつぶして、近くの大阪急性期・総合医療センター(旧府立病院)に統合してしまおう。建て替えには57億円かかるが統廃合なら30億円で済む。そして母子医療センターを後者に併設するようにすれば良い。そうすれば同じような施設を2つも抱えずに済むし、機能強化にもなる。これこそ『二重行政解消』のモデルケースだ」と言い出した事がきっかけです。
しかし、上の地図を観れば分かるように、この2つの病院は、いくら隣接していると言っても、カバーしている地域が全然違います。地下鉄玉出駅近くにあった住吉市民病院(今は住之江診療所に規模縮小)がカバーしていたのは、住之江区や西成区などの大阪市南西部です。それに対し、帝塚山にある旧府立病院がカバーしているのは、住吉区や阿倍野区、平野区などの市内南東部です。今まで住吉市民病院に地下鉄や市バスで通っていた人が、旧府立病院に行くには、南港通(府道5号線、図上のR5)を通る市バスに乗り、途中であべの筋(府道30号線、図上のR30)を通るまた別路線の市バスに乗り換えて行くしか方法がありません。何故なら、大阪市南部の公共交通機関は、その大半が南北方向に走る路線しかないからです。地下鉄四つ橋線、南海本線、南海高野線…皆、南北方向にしか走っていません。東西の往来については、ムチャクチャ不便なのです。
しかも、この2つの病院については、それぞれ機能が全然違います。旧府立病院は、現在の「急性期・総合医療センター」の正式名称が示すように、どちらかというと急性期の患者に高度な医療を施す為に存在していました。そして、受け入れる患者も、市内南東部だけに限らず、他の地域からも多数受け入れてきていました。それに対し、住吉市民病院は、あくまでも地元密着で、小児・周産期医療を中心に、他の病院ではなかなか受け入れてもらえない障害児の短期入所や、障害児を持つ家族のレスパイト(休息)入院にも対応して来ました。
カバーしている地域も、果たしている役割も全然違うのに、単に近くにあるからと言う理由だけで、病院を統廃合しても上手くいくはずありません。実際に、住吉市民病院がつぶされると明らかになると、4万を超える反対署名が集まりました。しかし、橋下徹・前市長は、「旧府立病院に母子医療センターを併設すれば、すべて問題が解決する」として、2018年3月に住吉市民病院をつぶしてしまったのです。
その結果、どうなったか?確かに、大阪急性期・総合医療センターには母子医療センターも併設され、病床数も増えました。ところが、この病院は、前述したように急性期患者の治療に特化した総合病院の為に、受診するには医師の紹介状が必要です。紹介状のない患者も診てもらう事はできますが、5千円以上もの紹介料を余分に払わなければなりません。
これでは住吉市民病院の代わりにはなりません。だから、住吉市民病院の統廃合条例が府議会で可決された時も、「代わりに民間病院を誘致する」という付帯決議が付けられました。ところが、いくら民間病院を誘致しようとしても、なかなか条件に見合う病院が見つかりません。当たり前です。元々、小児科や産婦人科は、診療報酬が安く抑えられている為に、儲からないのです。住吉市民病院の経営赤字も、元はと言えば、この診療報酬の安さに原因があります。決して「二重行政」のせいなんかではありません。
「住吉市民病院は赤字だ」と言いますが、需要は有り余るほどあるのです。例えば、2017年6月23日の府議会健康福祉常任委員会でも、共産党の宮原たけし議員が、その事を追及しています。その質疑の中で、「医療施設取扱分娩件数と出生数との比率」が、大阪府平均が94.1%なのに対して、住吉市民病院を管轄する大阪市南部医療圏では73.7%しかない事が明らかになりました。分娩需要の7割余りしか充足できていないのです。残りの3割弱は全て「たらい回し」です。この医療圏でも、2011年から2017年にかけて、分娩できる医療機関が16から13に、ベッド数に至っては273から239に34も減らされました。病院の経営赤字は「病院に患者が来ないから」ではなく、「来れないように」国が仕向け、府や市がその尻馬に乗ってきたのが原因です。(上記の図表参照)
市民病院の赤字の原因は、医療費を出来るだけ抑えようとする国の政策によるものなのに、それを「看護師の給料が他の民間病院よりも高いから」とか「公立病院だから」と、現場の労働者を悪者に仕立て上げ、「同じものが2つあってもムダなだけだ」と、立地条件や役割の違いも無視して、無理やり統廃合。そんなに給料が高いなら、何故、看護師の人手不足がこれだけ問題になっているのか?長時間労働で人の命を預かり責任も大きい割には、給料が余りにも安すぎるからでしょう。それを「民間よりも給与が高いから」と引き下げたら、一体どうなりますか?ますます人手不足に拍車がかかるだけではないですか。
結局、代わりの民間病院は見つからず。大阪市大病院や南港病院にも打診しましたが全て断られ、代わりに大阪市が住之江診療所を作る事で決着しました。ところが、この診療所は小児科と産婦人科の外来診療しかやっていません。他の診療科目もないし入院もできません。統廃合の費用も、当初は30億円で済むと言っていたのに、ふたを開ければ80億円もかかる事が明らかになりました。何のことは無い。「同じものは2つも要らない」と、時間ばかり費やして、わざわざ高い金かけて一つの市民病院をつぶしておきながら、代わりに作ったのは外来診療だけの診療所。この「市民病院」を「廃止される大阪市」に、安っぽい診療所を「代わりに設置される特別区」に置き換えて考えれば、今度の「大阪市廃止・特別区設置住民投票」は、もう「反対」一択しか無い事が分かると思います。
大阪市廃止賛成派は、大阪府に権限と財源を集約して、大阪市の代わりに4つの特別区を置く事で、「行政が身近になる」「ニア・イズ・ベターになる」と言います。しかし、それまで大阪市に払っていた法人市民税も固定資産税も大阪府に取り上げられ、自主財源が4分の1に減らされ、後は府の財政調整交付金(府からもらう「おこづかい」)頼みとなってしまうのに、どうやって「身近な行政」が実現できるでしょうか?大阪府にむしられた金は全てカジノや万博誘致、夢洲の埋め立て、地下鉄延伸工事に使われ、医療や福祉には全然回されません。得するのは一部の外国資本や、そのおこぼれにあやかろうとする日本の大企業だけです。
そのカジノも、コロナによる集客減で、従業員のリストラが進んでいます。あてにしていた観光客も、コロナ以降は激減してしまいました。結局、外需頼みではダメなのです。肝心の内需が冷え込んでいるのに、その内需を切り捨てて、外需にばかり頼るのは邪道です。「カジノは競馬や宝くじとは違い、控除率が低いからボッタクリではない」と、今度は「新手の宣伝」にいそしむ人まで出てきました。しかし、たとえ控除率が数パーセントでも損する事には変わりません。経済なんて成長してこそナンボなのに。その成長も、他人の不幸の上にあぐらをかく「丁半ばくち」頼みでは、人心がすさむばかりです。自分達さえ儲かればそれで良いのか。皆の幸福を願う人は、今度の住民投票で是非「反対」に投票して下さい。
↑住民投票まるわかりパンフ1ページ(表紙) 11.1都構想STOPで始めよう 希望ある大阪の未来 大阪市がなくなれば二度と戻せません。迷ったら、棄権や白票でなく「反対」しましょう。
↑同パンフ2〜3ページ 「都構想」よりコロナ対策
↑同パンフ4〜5ページ 最大の問題は「くらしが壊されること」です
↑同パンフ6〜7ページ 「都構想」をやめてこそ大阪市はよくなります
↑同パンフ8ページ(裏表紙) 大阪市をなくさず、その力を未来へ ごいっしょに「大阪市廃止は反対」の声を広げてください
遂に都構想反対派のパンフレットが出ました。それが上の「住民投票まるわかりパンフ」です。
今まで維新は大阪府・市政を私物化し、金に物を言わせて賛成派のビラやパンフを洪水のように撒いて来ました。維新は4億円もの金を宣伝費につぎ込んでいます。それに対し、自民党大阪府連が東京の党本部から貰った宣伝費はわずか5千万円。党本部も本音ではカジノ誘致の都構想に賛成なのでしょう。
今まで散々、大阪府・市政を牛耳り、住民説明会でも都構想賛成の宣伝ばかり垂れ流し、「疑問点は市役所職員に聞け」と、まるで大阪市役所を自分たちの下請け扱いするようなビラを撒いておきながら、「既得権益打破」とか「しがらみを断ち切る」とか「身を切る改革」とか、よくも言えたものです。今や維新こそが最大の「既得権益」です。
私は今まで、都構想反対派の宣伝が余りにも低調だったので、「もうやる気あるんかいな?」と思っていました。ところが、この維新の金に物を言わせた物量作戦を前に、俄然闘志が湧いてきました。「そっちが物量作戦で来るなら、こちらはそれを上回る草の根の宣伝戦で、相手を圧倒してやろう」と思うようになりました。
でも、一個人に出来る事には限りがあります。そこで、まずはこの見開き8ページの「住民投票まるわかりパンフ」の紙面を、ブログに丸ごと掲載するようにしました。維新の都構想賛成ビラと読み比べてみて下さい。どちらが本当の事を書いているのか?どちらが「まともなビラ」か?もう一目瞭然です。
維新のビラは、「疑問点は市役所職員に聞け」の「行政私物化」宣伝以外にも、もう突っ込みどころ満載です。つい最近も「住民サービス、グーンとアップ!」と、まるでスーパー玉出の1円セールみたいなビラをまき散らすありさまです。後は「二重行政削減効果」の数字を、何の根拠も示さず適当に列挙するのみ。印象操作で逃げ切ろうとしているのでしょうが、余りにも有権者をバカにしています。
先日、「オフィシャル・シークレット」という映画を観て来ました。この映画は、女性の英国諜報部員が、国連イラク攻撃決議を上げる為に、国連で多数派工作のメール盗聴を指示してきた米国政府のメールをマスコミにリークし、情報漏洩罪に問われた実話を基に描かれています。
確かに情報漏洩は犯罪ですが、本当に悪いのは違法な盗聴を命じた政府です。「確かに公務員は政府の指示に従わなければなりません。しかし、その政府に税金を払っているのは国民です。だから、たとえ政府の命令であっても、国民の利益に反する指示には従いません」と言う女性諜報部員の言葉に、私は心を打たれました。
ところが我が国の政府はどうか?我が大阪府知事や大阪市長はどうか?「選挙で選ばれた総理や知事、市長の命令には従わなければならない」と、まるで「俺様が中心」みたいな事を言っているではありませんか。公務員は、別に総理や知事・市長の為に仕事をしている訳ではありません。国民の為に仕事をしているのです。だから「公僕」「全体の奉仕者」と呼ばれるのです。
それが分かっていたら、「俺様は選挙で選ばれたのだから、皆、俺様の言う事を聞くべきだ」なんて、絶対に言えないはずです。行政の私物化なんて絶対にあり得ないはずです。これ以上、維新による行政私物化を許して良いのか?これ以上の「大阪市破壊」を許して良いのか?それを阻止する最後のチャンスが、11月1日の住民投票です。
「家族を想うとき」という英国映画があります。今年12月には日本でも公開される予定です。
この映画は、失業して宅配業者との「ゼロ時間契約」で働かざるを得なくなった家族の悲哀と抵抗の物語です。「ゼロ時間契約」とは出来高払い契約の事です。今はやりのウーバーイーツの様な働き方です。労働者が宅配業者と結ぶのは雇用契約ではなく請負契約です。従業員は労働者ではなく「一人親方」として働かされます。実態は配達ノルマもある労働者なのに、荷物が無くなればいつでもお払い箱。逆に繁忙期にはとても運べないような量の荷物でも一人で運ばなければなりません。運びきらないと給料もらえないので24時間仕事に追われる羽目になります。車両事故を起こしても労災が適用されず全て自己責任。場合によっては宅配業者から損害賠償を請求される事もあります。
そんな働き方をはびこらせたのが英国のサッチャーであり、日本の中曽根です。サッチャーは労働組合を目の敵にし、英国の福祉制度を木っ端みじんに打ち砕きました。日本でも、中曽根が80年代に国鉄分割民営化で、国鉄職員の大量解雇を行い、国鉄の労働組合を潰しました。その結果、国鉄の後に誕生したJRでは、安全無視、儲け最優先の経営が横行し、信楽高原鉄道事故や福知山線事故を引き起こすようになってしまいました。だから、英国の左派は今でもサッチャーを目の敵にしています。「家族を想うとき」を製作した映画監督のケン・ローチも、「サッチャーの葬儀なんて、民営化による競争入札で、最低価格でやれば良い。民営化を主導したサッチャーもそれが本望だろう」と述べています。
ところが、この日本ではどうか。サッチャーと並んで民営化を推進した中曽根康弘の葬儀を自民党と内閣の合同葬で行い、国から9600万円も「公助」(公費)で出そうとしています。国民には「自助」という名で散々「自己責任」を強要しておきながら。その上、官庁や国立大学に事実上の弔意強制を呼びかけるような真似までする始末です。国は「強制ではない」と言いますが、従わなければ後で何をされるか分からないので、皆従わざるを得ません。そのやり方は、事実上の強制でありながら、あくまで「自粛要請」だと言い張り、コロナ休業補償の支払いを免れようとした手口と同じです。
ところが日本では、「民営化による最低価格でやれば良い」なんて言う人はほとんどいません。逆に、自分から進んで忖度(そんたく:迎合)し、国と一緒になって弔意を表さない大学を叩く始末です。橋下徹なんてその典型じゃないですか。学術会議の任命拒否問題でも、国による「学問の自由」侵害については何も言わず、まるで学術会議の方に非があるかの様に、「白を黒と」言い繕っています。「虐められるのは虐められる方にも非がある」という詭弁です。たとえ、どんなに虐められる方に非があったとしても、「虐めは100%虐める方が悪い」のに。
何故このような「奴隷根性」がはびこるのでしょうか?明治以降、家族が国家機構に完全に組み込まれ、まるで「国家の下請け」みたいになってしまっているからです。世界のどんな国でも、家族の誰かが虐められたら、他の家族は一丸となってその誰かを庇おうとします。もし虐めるのが国家権力であったとしても。たとえ国家権力に渋々従わざるを得ない場合でも、面従腹背を貫き、あくまで家族の一員を守ろうとします。だから、上がどんな独裁国家であっても、国民にはそれに対する抵抗力が一定備わっているのです。
ところが日本では、橋下みたいな奴がのさばり、国と一緒になって弱い者虐めに加担します。「自粛警察」なんて正にその典型です。だから、毎年3万人もの人間が自殺に追い込まれ、虐めや引きこもりの問題も全然解決しないのです。そして、上にはペコペコして何も言えず、その鬱憤を下に八つ当たりするしか能のない「毒親オヤジ」が大量生産される事となるのです。実際、私の親父も、私が会社の労災もみ消しに遭った時に、最初は会社の非をなじっていたくせに、いざ私が会社と徹底的に闘う姿勢を見せると、いきなり手のひらを返すように「会社に逆らうな」と言い出しました。
そんな事だから、いつまで経っても中曽根や安倍、麻生の様な人物が大手を振って首相に居座ってしまうのです。パソナ会長の竹中平蔵が政府の審議会に居座り、派遣労働の規制緩和や労働基準法の改悪を企んでも、誰もそれをおかしいと思わなくなってしまったのです。
もう、そんな「奴隷根性」に、いつまでも縛られるのは止めにしませんか?「死者に鞭打つな」と言いながら、実際は相手が中曽根だから何も言えないだけで、その鬱憤を弱者叩きで晴らすしかない。そんな内弁慶で小心者の「スネ夫」や「毒親オヤジ」みたいな惨めな生き方は、もう止めにしませんか?それでも、どうしても中曽根康弘の葬儀をやりたいと言うのであれば、民営化による一番安い葬儀で行うのが筋です。中曽根自身が「民営化」を推進したのですから、文句は言えないはずです。国民には「自助」を強いながら、自分の葬儀だけ盛大に「公助」で行うとするのは、余りにも身勝手です。以下転載。
昨日10月13日に、天下茶屋駅前で配っていた維新のビラ。「公平な立場で都構想の疑問に答えます」「大阪市の職員が丁寧にお答えします」と。いつから大阪市は維新の下請け機関に成り下がったのか?もうモリカケ以上の行政私物化ではないか。こんな北朝鮮みたいな事しておいて「公平」もクソもあるか!




それに対して、副首都推進局から、10月12日に局長名で回答がメールで寄せられました(回答日付は10月9日)。下記がその回答文です。
*****
平素は、大阪市政にご理解、ご協力を賜り誠にありがとうございます。
早速ですが、お寄せいただきました「特別区設置協定書に関する質問」についてお答えいたします。
ご質問いただきました「二重行政が悪だというなら他の政令指定都市はどうなる?」「他の政令指定都市でこんなに大騒ぎになっているところはどこにもない。」「なぜ大阪だけこんな騒ぎになるのか?」につきましては、都道府県と政令指定都市との間の二重行政を解消し、調整するための協議の場として、平成28年度に地方自治法が改正され、指定都市都道府県調整会議がすべての都道府県と指定都市の間で設置されています。また、政令指定都市において、さまざまな検討が行われています。
それぞれの大都市の状況に応じて、それぞれにふさわしい大都市制度を検討するものであり、大阪においては、大阪の成長のスピードアップを図るとともに、住民に身近な行政の充実を図るためには、大阪府市を再編することで、広域行政は府に一元化し、大阪市をなくして基礎自治体として4つの特別区を設置する特別区制度(いわゆる大阪都構想)が必要と考えています。
次に、「そもそも二重行政の一体何が悪いのか?」「最初の住民投票で都構想否決の民意が示されたにもかかわらず、「僅差だったからもう一度やる」というのは、単なるワガママ、ゴネ得でしかない。」につきましては、東京一極集中や生産年齢人口の減少、超高齢社会の到来などの大阪の課題の解決に向け、大阪府と大阪市では、大阪の成長・発展に向けて取り組んできましたが、かつては相乗効果が発揮できず、二重行政が発生するなど、大阪の強みを十分に活かしきれていませんでした。
現在は、知事・市長の方針を一致させ、連携・協力することで、万博開催準備やインフラ整備など、大阪の成長への流れをつくってきました。
今後、この成長の流れを止めることなく、また、広域機能の一元化により生み出される成長の果実を住民の皆さんに還元していくため、大阪の成長をより強力かつスピーディーに進める体制づくりと、身近なことは身近で決めることができる仕組みづくりが必要です。
このため、広域行政の司令塔を大阪府に一本化し、二重行政を将来にわたり制度的に解消させるとともに、住民に身近なことは、住民に選ばれた区長・区議会が決定する特別区制度(いわゆる「大阪都構想」)の実現が必要と考えています。
そして、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に基づき、大阪府議会及び大阪市会の両議会の議決を得たうえで、大都市制度(特別区設置)協議会が設置され、特別区設置協定書が作成されました。その後、同協定書について、府市両議会で審議され、承認の議決がなされました。これを受け、大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づき、住民投票が実施されるものです。
次に、「「大学の統合」について、歴史も学部構成も異なる市立大学と府立大学を何故無理やり統合するのか?学問研究を単なるコストとしか考えていないからではないか?学生の声も聞かずに、市長と知事だけで、そんな勝手な事して良いと思っているのか?数ある施設統合策の中でもこれが一番納得出来ません。」につきましては、大学の統合については、2012(平成24)年に「新大学構想会議」を府市で共同設置して以降、府・市・両大学で協議を重ねてきました。府市両議会で新設合併が議決され(府:2017(平成29)年11月、市:2018(平成30)年2月)、2019(平成31)年4月法人統合されました。
市立大学と府立大学の統合によって、文系から理系・医学・獣医学まで幅広い分野をカバーし、学生数でも東京都立大学を抜いて、公立大学ではわが国最大の公立総合大学となります。両大学の統合の狙いは、このポテンシャルを最大限に活かすことで、教育力、研究力及び地域貢献力の向上が図られることにあります。これにより、大阪の発展を牽引することが期待されます。また、大学の基本的な機能である「教育」「研究」「社会貢献」の3つの機能に加え、「都市シンクタンク」「技術インキュベーション」の2つの機能を備えた大学として、大阪の発展を牽引する「知の拠点」をめざします。
次に、「西成あいりん地区の特別清掃事業はどうなるのか。」につきましては、あいりん地域は、全国各地から労働者が流入し労働施策など社会全体の課題がこの地域に集中してきた経過があり、個別の取組みや一基礎自治体での取組みを超えた広域的な課題であるため、あいりん地域の諸課題が解決するまで地域の実情に精通した特別区と連携しながら大阪府が、「あいりん日雇労働者等自立支援事業」などの事業を実施することとしています。
貴重なご質問ありがとうございました。(以下略)
*****
私、これを読んでホトホト呆れました。私の質問に全然答えていないからです。
まず質問①に対する回答について。「他の政令指定都市も、都道府県との間で指定都市都道府県調整会議を設置して、さまざまな検討が行われるようになった」と。「別に大阪だけが大騒ぎしているんじゃないよ」と言う訳です。私は、大阪の大騒ぎに他の政令指定都市も巻き込まれて、仕方なく設置せざるを得なくなったと思っています。だから、大阪市を一旦廃止してしまったら、もう二度とやり直しが出来ない大都市法(大都市地域特別区設置法)のような欠陥法令が、付け焼き刃で決まってしまったのです。でも、これは大阪以外にも早晩起こり得る事なので、取り敢えずこの回答で了承しておきます。
問題は次の質問②に対する回答です。ここで局長は次のように回答しています。「東京一極集中や生産年齢人口の減少、超高齢社会の到来などの大阪の課題の解決に向け、大阪府と大阪市では、大阪の成長・発展に向けて取り組んできましたが、かつては相乗効果が発揮できず、二重行政が発生するなど、大阪の強みを十分に活かしきれていませんでした。現在は、知事・市長の方針を一致させ、連携・協力することで、万博開催準備やインフラ整備など、大阪の成長への流れをつくってきました。」と(画像の赤枠部分)。
ここには二重の誤りがあります。その一つは、「政策の誤り」を「制度の誤り」にすり替えてしまっている点です。東京一極集中も少子高齢化(生産年齢人口の減少)も、国の政策の誤りによるものです。例えば最低賃金。東京都の時給1013円に対して沖縄県や青森県はわずか790円。こんな事やっていて東京一極集中が止まる訳がないでしょう。少子高齢化も、企業が正社員を非正規雇用に置き換え、国がそれを後押ししたから、若者が結婚もマイカー・マイホーム購入も諦めざるを得なくなったのが根本原因です。幾ら二重行政を無くして広域行政を大阪府に一本化した所で、大阪府が誤った国策の後追いをしている限り、誤りは無くせません。
もう一つの誤りは、それを数の大小の問題にすり替えてしまっている点です。間違った政策は、たとえ「二重」であろうと「一重」であろうと是正しなければなりません。都構想推進派は、WTCとりんくうタワーの二つを槍玉に上げて、「二重行政さえ無くせば、こんな無駄なビル建設競争なぞせずに済んだ」と言いますが、無駄なビルは本来一棟でもあったらダメなのです。ところが大阪府の松井知事も、大阪市の吉村市長も、万博やカジノに入れあげるばかり。これでは、WTCやりんくうタワーが、万博やカジノに化けるだけです。本当に大阪の景気を良くしようとするなら、こんな「打ち上げ花火」頼みのやり方ではなく、中小企業の経営やサラリーマンの生活をもっと支援し、景気の底上げを図るしかありません。
この二重の誤りが、次の質問③に対する回答にも如実に現れています。ここでは「府立大学と市立大学を統合して、我が国最大の公立大学にする事で、文系から理系まで幅広い分野をカバーし、学問研究や大阪の発展に貢献出来る」とあります。でも、大学なんて数が多ければ多いほど、受験機会も増えて、学問研究の選択肢も広がるのではないですか?勿論、粗製乱造はいけません。質の充実が前提条件です。質さえ保障されるなら、大学なんて幾つあっても良いじゃないですか。逆に、数を幾ら減らしても三流大学では意味がない。そう考えると、府大も市大も、決して三流大学では無かったのに、何故、無理やり統合してしまったのか?これでは「経費削減まず先にありき」だと言われても仕方ありません。
そして質問④に対する回答がありませんでしたが、これにも同じ事が言えます。幾ら数を減らした所で、それに見合うだけの質の充実が無ければ無意味です。ところが、府立病院でカバー出来ない患者を住吉市民病院でカバーしていたのに、後者を無理やり潰して、前者も紹介状持参患者しか診ない金持ち専門病院に変えてしまったら、一般患者は一体どうなるのか?ちゃんと質問に答えて下さい。
質問⑤に対する回答も、私の疑問に応える物ではありませんでした。「あいりん地区の課題解決は、特別区だけで担える業務ではないので、大阪府が地元の特別区と連携しながら行う」という回答でした。ところが、大阪市廃止後に設置される地元の新・中央特別区は、今の中央・浪速・西区から、大正・西成・住之江区まで抱え込む事になります。残すとされる「区役所」も、実際は「特別区の下に設置される地域自治区の事務所」に過ぎません。「地域自治区」には「区長」も「区議会」もありません。諮問機関で決定権のない「地域協議会」が置かれるだけです。これでは単なる「下請け」です。
その中で、新・中央特別区の財政を支えるのは、あくまでもミナミなどの繁華街を抱える中央・浪速区や、高額納税者のタワマン住民が住む西区です。それらの区民が、西成の日雇い労働者や大正下町の商店主の事をどれだけ知っているでしょうか?はっきり言って「お荷物」ぐらいにしか思っていないのではないでしょうか?大企業や金持ち連中から選ばれた区長や区議会議員が支配する特別区で、果たしてどれだけ「ニア・イズ・ベター」な区政が実現されるでしょうか?そんな事なら、まだ今の西成区や住之江区が機能する大阪市のままの方が、よっぽどマシです。
「二重」であろうが「一重」であろうが、ダメな物はダメです。大阪市が無くなり、中途半端な特別区に置き換えられるぐらいなら、まだ今の大阪市のままの方が良いです。


香港に再び栄光を!(願栄光帰香港・日本語版)《Glory to Hong Kong》《香港に栄光あれ》【動画版】
日本学術会議が推薦した学者のうち、一部の方の任命を政府が拒否しており、政府による人事介入だと問題になっています。学術会議による推薦は、学問の進歩に業績のあった学者に対して、学術会議が自主的に行うものです。それに対して、政府が正当な理由もないのに横やりを入れるのは、許される事ではありません。

