アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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路面電車の良さを何故もっとアピールしないのか?

2015年02月27日 21時53分49秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ

 先日の休みに「堺トラム」に乗って来ました。「堺トラム」(正式名称:1001型)と言うのは、大阪の阪堺電気軌道(阪堺電車)を走る低床式の路面電車です。地元の堺市と国からの補助金によって2013年に導入されました。乗降口に段差がないので車椅子の方でも介添えなしに乗り降り出来ます。3車体連接の固定編成で、メタリック仕様の車体に緑色カラーが入った「茶々」(左上写真)、同じく紫色カラー入りの「紫おん(しおん)」の2編成が現在走っています。今年はそれに加え、青色カラー入りの「青らん(せいらん)」もデビューする予定です。それぞれの色は千利休(茶々)、与謝野晶子(紫色を好んだ)、かつて賑わった海水浴場(青)をイメージしたものです。



 堺トラムは上町線の天王寺駅前から阪堺線の終点・浜寺駅前まで、平日上下合わせて20便、土・休日は同じく17便で運行されています。どの電車が堺トラムなのかは、駅や会社HPの時刻表で確認できます。住吉以北の阪堺線と上町線のみの区間には走っていません。私が乗ったのは平日の午前10時半・浜寺駅前発の天王寺駅前行きです。
 座席は従来のロングシートだけでなくクロスシートもあります。運賃の支払いも、今までの現金を運賃投入箱に入れるやり方だけでなく、IC乗車券での支払いにも対応できるようになっています。 


石津北停留所の上り(天王寺駅前・恵美須町方面行き)ホーム


同じく下り(浜寺駅前方面行き)ホーム


石津北停留所開設のポスターと停留所の位置

 阪堺電車では、この「堺トラム」以外にも、様々な利用促進策が講じられてます。この2月に新たに開業した停留所「石津北」もその一つです。阪堺線の石津と東湊の間は約1.3キロもあり、地元からも新駅設置の要望が出されていました。今回新設された石津北停留所は、前述両駅間の丁度中間ぐらいにあり、幹線道路(泉北1号線)の踏切を挟んで斜め向かいに上下ホームが相対する形となっています。どちらのホームにも、阪堺電車の停留所では初めて身障者用のスロープが設けられるようになりました。



 その一方で、上町線と分岐する住吉停留所から終点・恵美須町までの阪堺線の区間は、昨年3月のダイヤ改正で大幅に便数が削減されました。それまでラッシュ時に残っていた浜寺駅前発・恵美須町行きのダイヤもなくなり、全て我孫子道発着になってしまいました。堺市内から恵美須町に出るには、全て途中の我孫子道で乗り換えなければなりません。運転間隔も、それまでの12分間隔から、ラッシュ時でも1時間に4本(12~20分間隔)、日中は同じく3本(12~24分間隔)に、更に21時以降は1時間に1本しかない(40~50分間隔)時間帯も発生するまでになりました。
 40~50分間隔となると、もはや地方ローカル線並みの運行ダイヤです。大都市の路面電車がこんなダイヤで走っていたら、更に客離れが加速するのではないでしょうか。折角、JR環状線との乗換駅の停留場名を、旧町名由来の南霞町(みなみかすみちょう)から「新今宮駅前」に変更して、名実ともに乗換駅である事をアピールしようとしても、肝心のダイヤが大幅削減では何の意味もありません。



 しかも、上町線終点の住吉公園停留所に至っては、朝のラッシュ時だけしか使用されなくなってしまいました。この停留所には1日5本しか電車がやって来ません。午前8時24分(土・休日は8時32分)に「終電」が出た後はロープを張って閉鎖されてしまうようになりました。
 この停留所は南海本線住吉大社駅とも繋がっており、正月三が日の初詣期間中はどちらも大混雑するのですが、それ以外のオフシーズンは閑散としているので、この様な思い切ったリストラ策に打って出たのでしょう。
 しかし、輸送量や電車のスピードではJRや大手私鉄とは勝負にならない路面電車が、唯一優位に立てるのが「いつでも気軽に待たずに乗れる」点なのに、その唯一の利点をみすみす放棄してしまう様な事をして、一体どうするのでしょうか。この停留所は、阪堺線・上町線分岐点の住吉停留所の直ぐ横にあり、回送車両の待避線として使う事も出来るのに。

 阪堺電車は、元々は新世界や住吉大社と郊外の大浜・浜寺海水浴場を結ぶ目的で敷設されたものですが、今はもう全線通しで乗る客なんてほとんどいません。私の様な物好きな鉄道ファンぐらいです。だって、郊外の浜寺から大阪市内の難波・日本橋や天王寺に出るだけなら、わざわざこんな路面電車になぞ乗らなくても、ほとんど並行して走る南海本線を利用した方がはるかに便利です。たとえ、運賃が倍近くかかり、新今宮でわざわざJR環状線に乗り換えなければならないとしても。移動時間も倍近くかかるのですから。

 ちなみに、阪堺電車・南海・JRのHPで所要時間と運賃を割り出して比較してみたら、下記の結果になりました。所要時間は平日午前7時台での比較です。

(浜寺・天王寺間での運賃・時間比較)
・使用経路:阪堺は浜寺駅前―天王寺駅前、南海+JRは浜寺公園―新今宮―天王寺。
・所要時間:阪堺45分、南海+JR20~30分で、阪堺電車の方が15~25分遅い
 例:浜寺公園7:01発(普通電車)堺7:09着7:12発(空港急行)新今宮7:19着(JR乗換)7:26発(環状線内回り普通電車)天王寺7:28着
・大人普通運賃:全区間均一210円、南海+JR450円(南海330円、JR120円)で、阪堺電車の方が240円安い
・一ヶ月通勤定期運賃:阪堺9890円、南海+JR16630円(南海12740円、JR3890円)で、阪堺電車の方が6740円安い

 確かに、運賃ベースで比較すると、阪堺電車の方が他社線への乗り換えが無い分、メチャクチャお得です。通勤定期なぞ、阪堺電車を利用した方が月6千円以上も安くなるのですから。私も思わず阪堺電車に乗り換えようかと一瞬思いました。
 でも、南海とJRでは20分少々しかかからないのに、阪堺電車では45分もかかるとなると、果たしてどうでしょうか。寝坊した時や、いつもより早く出勤しなければならない時や、逆に残業や職場の飲み会で遅くなった時の事も考えると・・・ちょっと微妙ですね。阪堺電車は、20時を過ぎるとローカル線並みのダイヤになっちゃうんですから。そもそも、私の今の勤め先は朝7時から仕事なので、阪堺電車のダイヤでは始発に乗っても間に合いません。


阪堺電気軌道(全線)輸送人員の推移 1981年年度24900千人→2008年度7571千人(27年間で約7割減少)


輸送密度(1日当たりの区間内平均輸送人員)の推移 1985年→2009年
堺市内 4486人→1627人(約65%減) 大阪市内 10707人→5291人(約50%減)

 阪堺電車の運賃が安いのも、堺市等からの補助金のおかげです。利用者にとっては大助かりですが、毎年2億円からの赤字を出しているのに、いつまでも安売りだけに頼る訳にはいかないでしょう。かと言って、南海やJRとスピードで勝負するのも、元は路面電車なので到底無理な話です。
 以前、阪堺電車について取り上げた時にも言及した事ですが、阪堺電車の利用の落ち込みは、堺市内でより顕著に出ています。大阪市内から遠い分、所要時間の長さがネックとなって、並行路線の南海本線やJR阪和線に利用が流れてしまうのです。(上図参照、出典元は2010年の阪堺電車資料
 その一方で、上町線は今でも黒字です。今でも6分間隔で運行し、天王寺付近では車内は大混雑となります。それは、上町線は阪堺線とは違い、他に競合する路線も無いし、市街地の空洞化もそんなに進んでいないからです。沿線は高級住宅街の帝塚山(てづかやま)や文教地区の北畠です。沿線が下町で、商店街も寂れる一方の阪堺線とは正に対照的です。

 阪堺線も、昔は今の上町線の様に賑わっていました。それが長年の不景気や少子高齢化の進展によって、ここまで寂れてしまったのですが、だからと言って、手をこまねいている訳にもいきません。今更、南海やJRと張り合っても、スピードでは勝負にならないのですから、他の分野で勝負する他ありません。
 南海やJRには無くて阪堺電車にだけ在る物は何か。それが「乗りやすさ」ではないでしょうか。「いつでも気軽に待たずに乗れる」という、路面電車ならではの良さをアピールする事こそが、もっとも重要な点ではないでしょうか。

 そういう意味では、運賃を安く抑え、低床式車両「堺トラム」の導入や「石津北」停留所の新設に踏み切り、旧町名由来の「南霞町」から「新今宮駅前」への停留所名変更で乗換の利便性をアピールした事については、高く評価出来ます。しかし、折角の「堺トラム」も一部の運用に限られ、バイアフリー仕様も新設の停留所一ヶ所のみでは、まだまだ「乗りやすい」とは言えないでしょう。安全地帯にスロープを付けるだけなら、そんなに難しい話ではないはずです。他の停留所についても早急にバイアフリー化を推進してもらいたいと思います。

 その一方で、阪堺線住吉以北のダイヤ大幅削減や、住吉公園停留所の日中閉鎖については、「乗りやすさ」を放棄するものでしかないと思います。住吉以北も赤字基調なのは堺市内と同じですが、むしろ赤字幅は堺市内よりも少なかったはずです。大阪市内への所要時間については、堺市内ほど南海やJRに水をあけられていた訳ではありません。だから、阪堺線一部廃止の話が出た時も、その対象はあくまで堺市内区間だけでした。それが、堺市が阪堺電車の存続支援に乗り出してきた途端に、そのしわ寄せを一転して住吉以北の利用者になすりつけるのでは、企業エゴ以外の何物でもないと思います。堺市とタイアップして、地元に企業や学校を積極的に誘致し、それを住吉以北の利用者にも還元するぐらいでないと、乗客減少に歯止めをかける事は出来ないのではないでしょうか。
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美ら沖縄をこわすな!ヒロジを返せ!大阪アクション

2015年02月23日 21時56分08秒 | 沖縄の犠牲の上に胡坐をかくな


 2月22日(日)は、沖縄・辺野古(へのこ)での県民集会に呼応して、東京・大阪などの全国主要都市でも新基地建設反対の集会とデモが取り組まれました。その大阪の取り組みに私も飛び入りで参加して来たので簡単に報告しておきます。
 大阪ではまず14時から中之島公園の水上ステージで集会が持たれました。主催したのは「辺野古に基地を絶対作らせない大阪行動」など11団体です。いずれもターミナル駅前でのビラ撒きや市民会館での学習会・講演会開催など地道に活動してきた団体です。私はこれらの団体の会員ではありませんが、今までも沖縄の基地問題を自分のブログで取り上げたりする中で、そのご縁で過去には当該団体のビラ撒きを手伝ったりした事もあったので、今回も飛び入りで参加する事にしたのです。



 ここで改めて沖縄の基地問題について簡単に振り返っておきます。未だに沖縄にはあの狭い島の中に全国の米軍基地の75%が集中しています。米軍が墜落事故や強盗・殺人・強姦事件を起こしても、治外法権の壁に阻まれ、住民は泣き寝入りをずっと強いられて来ました。
 ところが、1995年の米兵による少女強姦事件を機に、基地撤去の県民世論が高まる中で、とりわけ住宅地のど真ん中にある普天間(ふてんま)基地の撤去問題が浮上します。沖縄の米軍基地はいずれも「銃剣とブルドーザー」で住民を無理やり追い出して作られた物ばかりです。普通なら沖縄に無条件で返還するのが筋です。ところが政府は、それを基地移設問題にすり替え、普天間基地を同じ県内の辺野古に移設しようとしているのです。
 しかもただの移設ではありません。住宅地に囲まれ老朽化した基地の代わりに、海沿いに港付きの最新鋭基地を作ろうとしているのです。天然記念物のジュゴンが泳ぎ回り珊瑚が生い茂る宝の海を埋め立てて。これではただの「焼け太り」でしかありません。それで、県民の大多数が辺野古移設に反対し、もう10年以上も建設現場のゲート前にテントを設営して座り込みを続けてきたのです。昨年も、沖縄県知事選・県議選・衆院選のいずれの選挙においても、移設反対派が圧勝しています。
 焦った政府は、今まで以上に辺野古の基地建設を強行しようとしています。沖縄県知事との対話も拒否し、海上では海上保安庁が抗議のカヌー船にまで乗り込んで来て乗組員に暴行を加え、陸上では県警や機動隊が座り込みの人々を腕ずくで排除し続けています。そして、ついに立ち入り制限区域外の海にまで、ブイ固定用の巨大アンカーを投下し始めました。小型バスほどもある最大45トンものコンクリート塊を珊瑚の海に投げ入れているのです。それに抗議する22日の集会に結集しようと、沖縄では「美ら沖縄をこわすな」のスローガンの下、県内各地からバスを仕立てて参加する動きが広がります。「美ら」と書いて「ちゅら」と読みます。沖縄の言葉で「美しい」という意味です。
 ところが、本土のマスコミは安倍政権に遠慮して、この動きをなかなか報道しようとしません。精力的に取り上げる番組や新聞もまだある事はありますが、それでも昔と比べたら大分少なくなって来ています。それどころか、中には政府・自民党の「太鼓持ち」に成り下がり、政府の主張を(あたかも自社独自の視点であるかのように装いながら)そのまま垂れ流すだけの番組や新聞も少なくありません。どこのメディアとは言いませんが。そこで、本土でも各地で沖縄の動きに呼応して、今回の集会・デモを行う事になったのです。



 集会は14時きっかりに始まり、3名の方が挨拶されました。その中で沖縄平和運動センター議長の山城博治(やましろ・ひろじ)さんが不当逮捕されたニュースが入って来ました。辺野古ゲート前での小競り合いを止めようとして(注)、日本人警備員や米兵によって、新基地建設工事が行われているキャンプ・シュワブの米軍基地内に無理やり引きずり込まれ、それを口実に「刑事特別法違反(不法侵入)容疑」で逮捕されたのです。実際は、警備員や米兵によって無理やり引きずり込まれたのに。証拠の写真もちゃんとあります。正にでっち上げの不当逮捕です。
 集会では、「イスラム国」に殺された後藤さん・湯川さんを追悼するプラカードや、山城さん不当逮捕を糾弾するプラカードも目にしました。最後に米国の黒人公民権運動でも歌われたウィ・シャル・オーヴァーカム(We shall overcome)の歌で締めくくった後、いよいよデモ行進に出発です。

(注)これはあくまで集会参加時点での私の認識です。後ほど地元紙・沖縄タイムスの当該記事で確認したら、「小競り合い」もない中で、山城さんはゲート前に引かれた黄色の線の中に入らないよう、集会参加者に注意・誘導していたようです。集会が平和的に行われるよう尽力していた当人に、米軍の警備員が後ろから突如襲い掛かり、無理やり基地内に連行したのです。完全な「でっち上げ」事件です。その後、山城さんは名護署に移送された後に、嫌疑不十分で釈放されましたが、米軍も県警も未だに山城さんに謝罪すらしていません。(以上2月24日追記)



 デモは14時45分に中之島公園を出て御堂筋を北上し、米国総領事館の横をかすめた後、西に曲がり、出入橋の交差点から西梅田公園までの約1時間のコースを歩きました。公園を出て堂島川を渡ればすぐ米国領事館の前に出ます。そこでは皆が一斉に怒りを込めて「米軍出ていけ!(山城)ヒロジを返せ!集団的自衛権絶対反対!殺人鉄板今すぐ撤去!オスプレイ帰れ!戦争反対!」とシュプレヒコールを繰り返しました。
 「殺人鉄板」と言うのは、基地当局が座り込み排除の為に辺野古ゲート前に敷いた、山型のギザギザが付いた鉄板です。夏には表面温度は火傷するほど高温になります。この上で、機動隊は抗議の市民を取り押さえねじ伏せたのです。一歩間違えれば大事故を誘発しかねないこの鉄板は、正に凶器そのものです。(参考記事
 大阪のデモには主催者発表で約250名が参加。途中から参加する人もいたので、実際はもう少し多かったかも知れません。ところが、それを警備する警官も4~50名はいたのではないでしょうか。当日は雨模様の日曜日で、車の通行量もそんなに多くなく、平和的なデモであったにも関わらず、警官が「歩道に寄れ」とか「四列縦隊を保て」とか、やたらうるさかったように感じました。

 米国総領事館を離れると、デモのシュプレヒコールも先程の「怒り」バージョンから「ゆるゆる」バージョンに変わりました。「辺野古に新基地作るって、それホンマに言うてんの?珊瑚の海を埋め立てる、それホンマに言うてんの?高江の森にヘリパッド、それホンマに言うてんの?市民の声は聞きません、それホンマに言うてんの?」 という感じで、楽しく掛け合い漫才風にコールしました。
 この中に出てくる「高江」というのは、沖縄本島の「辺野古」より更に北にある集落です。山原(やんばる)という熱帯雨林に囲まれた豊かな自然がある一方で、米軍占領下ではベトナム戦争の対ゲリラ戦訓練の舞台にされ、村民も訓練に協力させられました。その高江集落を取り囲む形で、民家のすぐ横に米軍のヘリパッド(ヘリコプター駐機場)が作られようとしているのです。そこでも村民が反対運動に立ち上がり、座り込みが続けられています。(参考記事






 16時にはゴールの西梅田公園に到着。そこで当日の参加者数と、カンパも5万円余り集まった事が報告されました。そして最後にまた皆で「We shall overcome」を歌い、「最後まで闘うぞ!」のシュプレヒコールを叫んで終わりました。なお、当日の沖縄での集会の様子については、下記の新聞記事と動画を参考にして下さい。
 本土から遠く離れ、島内の移動手段は自動車やバス・タクシーしかない沖縄でも2800人も集まったのに、本土では大都会の大阪でも22日の集会には2~300人しか集まらなかったという所にも、本土の人間の沖縄県民に対する「冷淡さ」が感じられます。どちらも同じ日本国民、同じ人間なのに。ブラック企業の問題も、沖縄の基地問題や福島原発事故の問題も、その元凶は人権無視の自民党政治にあり、政治を変える為には皆が団結しなければならないのに。「大阪でも数千人、数万人規模の集会やデモが出来るようにならないといけない」と、22日の行動に参加して痛切に感じました。

・県民集会、政府に2800人抗議 辺野古作業中止を要求(琉球新報・2月23日付)

 米軍普天間飛行場の移設に向けた名護市辺野古への新基地建設に反対する「止めよう辺野古新基地建設! 国の横暴・工事強行に抗議する県民集会」が22日、辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で開かれ、県内外から2800人(主催者発表)が参加した。
県選出・出身野党国会議員や県議会与党5会派などが組織する実行委員会が主催した。沖縄防衛局が進める海底ボーリング調査に伴う環境破壊、海上保安庁や県警の過剰警備に抗議し、新基地建設阻止を訴えた。
 集会で登壇予定だったが同日朝、米軍当局に拘束された沖縄平和運動センターの山城博治議長ら2人の即時解放を求め、参加者らの「仲間を返せ」「不当拘束許さんぞ」とのシュプレヒコールで集会は幕開けした。
 共同代表の喜納昌春県議会議長や仲里利信衆院議員らがあいさつした。辺野古新基地建設断念を求める県議会決議を可決した喜納氏は「県議団は今後とも粘り強く、県民と共に辺野古撤回に向けて頑張る決意だ」とあいさつした。
 昨年末の衆院選で初当選した仲里氏は「銃剣とブルドーザーで歴史をつくられた沖縄が、自らの手で米軍基地を造ることが許されるのか」と問い、知事選や衆院選で団結したオール沖縄の力の新たな結集を求めた。
 稲嶺進名護市長は連帯あいさつで「ここには道路の右にも左にも鉄条網があって、今の沖縄の現実を象徴する光景だ。70年間もこのような生活を強いられてきたのに、100年以上使える飛行場を造るなどがってぃんならん(合点がいかない)」と訴え、建設反対への団結を求めた。
 現場からの闘いの報告では安次富浩ヘリ基地反対協議会共同代表が「米軍の不当逮捕がまかり通っている。米軍は勝手に沖縄を占拠し、畑や家屋から住民を追い出して基地を造った。新しい基地を提供する筋合いはない」と基地建設阻止の思いを新たにした。
 住民報告で名護高校2年の渡具知武龍(たけりゅう)君(17)は、ゲート周辺に反対住民が設置するテントの撤去を防衛局や沖縄総合事務局が求めたことに触れ、「撤去されるべきはテントではなく、米軍基地ではないか」と力強く訴えた。
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-239309-storytopic-271.html

「止めよう辺野古新基地建設! 国の横暴・工事強行に抗議する県民集会」
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SHINGO★西成と西成特区構想

2015年02月18日 12時46分43秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を


 今年も「SHINGO★西成」たちのライブ「元気です!西成!!」に参加して来ました。今年で4回目だそうです。昨年と同じ2月中旬に、会場も同じ西成区民ホールでありました。出演者も「SHINGO★西成」を始め、「ベリーグッドマン」や「まちゅこけ」、沖縄県人会「でいごの会」等、ほとんど昨年と同じでした。残念ながら、今年は主催者から「動画等をネットに流すのは遠慮してほしい」旨の依頼がありましたので、今回はブログ掲載用の写真もほとんど撮っていません。その代わりに、ライブで謳われた曲と同じ物をYouTubeから拾い出して下記に貼り付けておきますので、それでライブの雰囲気を堪能して下さい。

SHINGO☆西成 アメ村三角公園02

2012年10月26日に大阪のアメリカ村・三角公園で行われた路上ライブ。以下はその歌詞。

♪歌いたい 叫びたい 会いたいやつには会いたい
 My Life 伝えたい 冴えないこともあるけど
 逃げない 諦めない 負けない自分に負けない
 上手くいかないこともあるけど ええことあるよきっと見つかるよ

 心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ 心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ

 行けるならGo!! 見えるならGo!!
 見てるだけNo!! 逃げるのはもう
 やめにしよう 素直にいよう
 今できることからやってみよう 俺は下町焦げたアンパンマン
 もう満タンや準備万端や 暗いとこから這い上がった
 音楽の力を見せてやろう 音楽が俺の翼になった
 だからどこまでも飛んでいける いける Fry今なら言える
 出来る出来る俺らは出来る

 心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ 心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ

 負けない一心でやってきた でも上には上がいるんやね
 でも続けることから始めよう 気付いてくれる人いるんやね
 要らないもんは捨てましょう 軽くなったらまた会いましょう
 やるべきことをやってたらな なるようになるいつか春になる
 欲しいもん自分で手に入れる 覚悟してるならほな試そうや
 ほんま長い旅になりそうやな いつか会えるかなトムソーヤ
 毎度! 元気? バイバイ ほなな 言葉少なくていい
 気持ち伝わればいい Every Thing Gonna
 Be All Light Every Thing Gonna
 Be All Light

 今日も学校仕事に向かう 自分を抑えて時間を使う
 1円に泣き1円に笑う また請求書 また金払う
 金かねカネの世の中で 金だけにこだわっていたら負け
 金が人を狂わせている 仲間も手を震わせている
 泣いてばかりじゃ音がズレる 死は平等に訪れるから
 死ぬのは怖くは無いねん でも生きていくのが怖い日がある
 生活の安定を求めて 気持ちが不安定もあるって
 1回きりの人生やもん かけてみよ自分の可能性!

 心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ 心とフトコロが寒いときこそ胸をはれ♪(以上)

 しかし、その「元気です!西成!!」ライブの冒頭で、いきなりあの橋下徹・大阪市長の顔がモニターに映し出され、公務員コンビの「安定志向」を使っての西成プロモーションビデオが流されたのにはびっくり!これが昨年との大きな違いです。ビデオの内容も、「”西成は怖い”などの”風評被害”を無くす為に、西成が”人情の街”である事をアピールしていこう!」というものでした。これで一気に興ざめ。実際に、観客の一部からもブーイングの声が上がっていました。

 でも、それでもライブの内容そのものは最高でした。「文房具のコンパスを逆さにすればピースマークに、一人一人がコンパスになろう」との「ベリーグッドマン」からの呼びかけや、その後の「SHINGO★西成」による「心と懐(ふところ)が寒い時ほど胸を張れ」「心の中の段差なんて俺らが平らにしていこう」との言葉には、今も胸にジンと来るものがあります。最後の、障害者も参加する「チーム・バイアフリー」との「明日があるさ」の大合唱の場面では、観客も全員総立ちになって歌っていました。

 だからこそ余計に、その合間に入る行政サイドの「人権啓発」ビデオが、ライブの雰囲気と全然マッチせず、シラケムードが会場全体に漂っていたのが非常に残念でした。しかも、その内容たるや、ことごとく「お説教」調のものばかり。
 人権の大切さをアピールするなら、「親が子供のメールをのぞき見するな」などの「お説教」よりも、もっと取り上げるべき事が一杯あるはずです。ブラック企業による人権侵害とか、秘密保護法(表現の自由・知る権利)、集団的自衛権(平和に生きる権利)の問題とか。特に西成では、生活保護や貧困ビジネスの問題なぞ、真っ先に取り上げるべきではないでしょうか。もっとも、お役所の手によるPRビデオなので、余りそういう「自分たちの汚点」については触れたくないのでしょうが。それでも「食うに困ったらどこに救いを求めたら良いか」とか、「生活保護の権利や意義、その申請の仕方」や「労働基準法の内容や違反告発の仕方」程度の内容ぐらいは、今のお役所でもやる気さえあれば直ぐ作れるはずです。

・橋下市長 女性公務員コンビPVに起用(デイリースポーツ)
 http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2013/02/07/0005725962.shtml
 この新聞記事で取り上げられているのが女性公務員二人組のお笑いユニット「安定志向」。

 これなら、ライブ会場隣の会議室で同じ時間に開催されていた「にしなり写真展・人権パネル展」の方が、まだよっぽどマシです。この写真・パネル展も「風評被害防止」が目的のようですが、それでも監視カメラによる住民監視や、散水栓設置や公園封鎖によるホームレス排除の実態が、それなりによく分かる形で展示されていましたから。
 しかし、ただそれだけで「西成区役所よう頑張っとる」と評価する訳にはいきません。西成区は生活保護世帯が区全体の4分の1を占め、最近は国からの締め付けも厳しいので、何とか生活保護を削減しようと躍起となっています。でも、本当に削減しようとするなら、それに代わる教育・福祉支援策が不可欠のはずですが、実際はそれもせずに、ひたすら削減だけに走っている様です。これでは、折角のこの写真展も、「ただのガス抜きだ」と言われても仕方ないでしょう。






 その写真・パネルの中でも、上記「西成区で起こった差別事象」の展示にはさすがにびっくり。ここに掲げられているのは、昨年の「元気です!西成!!」ライブの後に回収されたアンケート用紙ですが、ライブとは何の関係もない「在日朝鮮人の通名」を貶める書き殴りで埋め尽くされています。これには、さすがにお役所としても見過ごす事は出来なかったのでしょう。通名(創氏改名)が、植民地時代に日本によって強制され、それが今も尾を引いている事や、それをあたかも朝鮮人の責任であるかのように誤認し、「犯罪の温床」だと言い募る事が、いかに差別を助長するか。その簡単な説明書きが、横に掲げられたパネルに書かれていました。 



 写真・パネル展示の中には上記の「にしなりアートプロジェクト」に関するものもありました。このプロジェクトは、何かと暗いイメージの西成・あいりん地区を、明るい色の塗装を建物の壁やシャッターなどに施す事で変えていこうというものです。それも住民や地域のNPOが参加する形で。既に南海電鉄の高架下や萩之茶屋商店街の一角には、暴走族のスプレー落書きとも違う、その様な塗装が施された箇所が見られます。

 この写真展や「元気です!西成!!」ライブ、「にしなりアートプロジェクト」も、橋下市長が進める「大阪都構想」と連動した「西成特区構想」の一環として行われているものです。それで「元気です!西成!!」の入場料も無料だったのですね。
 「西成特区構想」については、まだその全体像が明らかになっていません。大阪市の計画によると、子育て世代の転入や外国人観光客の誘致を進める事で、西成のイメージアップを図るもののようです。
 でも、実際には、今現に住んでいる高齢者・日雇い労務者・生活保護受給者を脇において、いくらそんな事をしても住民には何のメリットもない。住民にとってはイメージ戦略よりも今日明日の生活の方が大事だ。今のままでは住民切捨てにもなりかねない…。そういう反対意見も多いようです。

・西成特区構想のシンポジウムで「意味ないやろ」とヤジ怒号飛ぶ(NEWSポストセブン)
 http://www.news-postseven.com/archives/20120904_140824.html
・西成特区シンポ:週刊ポストのねつ造記事を批判する(鈴木亘のブログ)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/36778057.html
・週刊ポストは捏造記事か? ─ 動画で確認できる事実もありますよ(ニュースの社会科学的な裏側)
 http://www.anlyznews.com/2012/09/blog-post_2740.html
・西成特区構想と「アートプロジェクト」批判(人民新聞)
 http://www.jimmin.com/htmldoc/152902.htm
・【松ゼミWalker vol.149】SHINGO☆西成さんらと西成アート回廊プロジェクトを!(阪南大学)
 http://www.hannan-u.ac.jp/doctor/tourism/matsumura/mrrf43000001lbbh.html

 実は私も、この「西成特区構想」の中身については、まだよく分かっていません。だから、当該構想に対する評価はここでは差し控えますが、折角「SHINGO★西成」のライブを楽しもうとやって来たのに、取って付けた様な「人権啓発」ビデオや、橋下徹の宣伝を一方的にされたのでは堪ったものではありません。私は、あくまで音楽を楽しみに来たのであって、橋下の応援に来たのではありません。
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沖縄を安倍政権のテロから守れ!

2015年02月15日 22時29分50秒 | 沖縄の犠牲の上に胡坐をかくな
辺野古の闘い 1.14-15 (報ステ,NEWS23,NHK,FNN,NNN,QAB)


 昨年の沖縄県知事選挙の記事を最後に、沖縄の基地問題について等閑(なおざり)にしてしまっていました。その後も沖縄の情勢が決して基地問題解消に向かっている訳ではないのに。むしろ逆に、県知事選での基地反対派勝利以降も、安倍政権はますます嵩(かさ)にかかって、反対運動の暴力的鎮圧を強めていると言うのに。
 勿論、その事については私にも言い分があります。ブログにアップした沖縄以外の記事も、決してどうでも良い物は一つもありません。一見、職場や身辺雑記の愚痴にしか見えない話題も、労働条件改善や将来の労働組合結成への展望、貧困・格差問題や右傾化への抵抗・克服を意図した物が大半です。しかし、たとえそうであっても、結果的には沖縄問題を等閑にしてしまっていた事には変わりありませんでした。
 その一方で、やはり沖縄は遠いです。そう簡単に大阪から行ける場所ではありません。時間的にも金銭的にも。そう逡巡(しゅんじゅん)している中で、この間、週刊プレイボーイに沖縄の基地問題が連載されている事を知りました。今までの遅れを少しでも取戻し、沖縄問題を再認識する為にも、その連載記事を「まとめサイト」の形にしてリンクを貼っていただいているブログ・渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ~ 日記」から、当該記事をそのまま転載させてもらいます。

(以下転載)

【拡散希望】「週刊プレイボーイ」に書いた辺野古ルポ。全8ページ分を、まとめてスムーズに読んでいただけるようにしました。

県内の友人・知人から、「週刊プレイボーイ、買いそびれた」とか、「コンビニ何軒も探したけど見当たらなかったよ」と言われることが続いた。
念のためジュンク堂書店那覇店で先週木曜に発売になっているはずの第2弾掲載号の在庫を、昨日月曜、店員さんに訊ねたら、「すみません、売り切れです」との答えだった。
(まさか沖縄防衛局が買い占めたわけではあるまいが…苦笑)

というわけで、WEB上で「辺野古ルポ」の全文を読んでいただくために、ここにアドレスをまとめておこう。

幸いというべきか、沖縄で売り切れになったと思われる昨日には、ちょうど第2弾のPART3まで、すべてがwebサイト「週プレNEWS」にアップされた。

「サイトを見てもどこから順番に読んだらよいか、ちょっとわかりにくい」という声も寄せられていたので、説明しましょう。

「週刊プレイボーイ」の6号と7号の2回にわたって、4ページずつ計8ページ掲載された記事が、「週プレNEWS」のサイトでは、それぞれ3回に分けて、つまり「全部で6回」に分けられて掲載されているのです。

自分の記事ばかり力を入れて宣伝するようで恐縮ではあるけれど、このようなまとまった文字量の「辺野古リポート」あるいは「沖縄の基地問題リポート」を掲載してくれるいわゆる商業週刊誌は、今のところ「週プレ」ぐらいしかないのだから、思いっきり宣伝してちょうどよいと思うわけなのでもある。

この順番通りに第1弾の最初から読んで下されば幸いである。

◆第1弾・週刊プレイボーイ6号(2015.2.9.号) 取材・文◇渡瀬夏彦  撮影◇森住卓、冨田きよむ(写真略) 

◇新基地建設強行で市民にケガ人続出! 直視すべき日本の民主主義の実態 辺野古レポート 【PART1】
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/01/31/42668/

◇あからさまな沖縄蔑視に県民の怒り! 民主主義を否定する安倍政権の実態 辺野古レポート 【PART2】
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/01/42671/

◇国の暴力的な排除はエスカレート! 新基地建設強行でケガ人続出の実態 辺野古レポート【PART3】
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/02/42673/

◆第2弾・週刊プレイボーイ7号(2015.2.16.号) 取材・文◇渡瀬夏彦  撮影◇森住卓(写真略)

◇民意を圧殺する「闇討ち」の暴挙! 新基地建設作業がついに強行された 続・辺野古レポート【PART1】
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/07/43109/

◇安倍政権の“武力による沖縄制圧”に「県民を無視した見せしめ」と立ち向かう稲嶺進・名護市長の覚悟 続・辺野古レポート【PART2】
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/08/43124/

◇アメリカ政府に公開質問状も! 今の日本は民主主義国家といえるのか? 続・辺野古レポート【PART3】
http://wpb.shueisha.co.jp/2015/02/09/43127/

     * * *

そして「週プレ」は現在発売中(沖縄では木曜)の最新号(2015.2.23.号)でも(つまり3週連続で)、辺野古ルポを掲載。すなわち巻頭カラーのNEWSページで、フォトジャーナリスト森住卓さんの写真と文による、大浦湾の悲惨な現状を伝えているのだ。

今後も、「週刊プレイボーイ」誌における「沖縄発」のルポにご注目を!
それから、当方は今も毎日、Facebookで「辺野古からのリポート」や関連情報を発信、シェアなどしているので、まめにチェックしてくだされば幸いである。→https://www.facebook.com/natsuhiko.watase

地元紙の報道にも、もちろん常に注目を。くどいようだが、電子新聞の購読がお勧めである。

◇琉球新報→http://ryukyushimpo.jp/
◇沖縄タイムス→http://www.okinawatimes.co.jp/
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瓢箪から駒が出る

2015年02月11日 21時25分37秒 | 都構想・IRカジノ反対!


瓢箪から駒が出る
【読み】 ひょうたんからこまがでる
【意味】 瓢箪から駒が出るとは、思いもかけないことや道理上ありえないことが起こること。また、冗談半分で言ったことが現実になること。
【注釈】 ここでの「駒」は馬のことで、瓢箪のような小さい口から、馬のように大きいものが飛び出す意味から。(以上「故事ことわざ辞典」より)

 私の勤務先に磯野(仮名)というバイトがいます。その磯野君が、先週だったか、始業前のロッカールームでこんな事を言っていました。「井高野(いたかの)では市バスの運転を南海バスのドライバーがやっている」と。井高野と言うのは大阪市東淀川区にある地名です。彼は以前、そこにあるレストランでバイトしていた事があり、「市バスマニア」でもあるので、そんな事も知っているのです。
 その場には磯野君以外にも、私も含め、数人のバイトも一緒に作業服に着替え中でしたが、最初は誰も彼の言う事を真に受けませんでした。だってそうでしょう。南海バスの営業エリアは基本的に南大阪の南海電鉄沿線に限られています。一方で、大阪市バスの井高野営業所は、大阪市内でも北東部のはずれにあります。そんな所で南海バスのドライバーが市バスの運転なぞやっている訳がないと、普通は誰でも思うでしょう。
 それでなくても磯野君は、普段からアホみたいな事ばかり言って、皆からバカにされているので、「どうせお前の事だから、大方、南海堺駅西口と地下鉄住之江公園の間みたいに、南海と大阪市のバスが並行して走っている区間で、自分が市バスと間違えて南海バスに乗ってしまったのに気付かず、そんな事を言っているのだろう」と、最初は誰も取り合おうとはしませんでした。



 しかし、「前述の堺の例ならいざ知らず、南海の営業エリアから遠く離れた東淀川の井高野で、なぜ南海バスの乗務員が市バスの運転なぞしているのだろう?」と気になった私は、休憩時間にネットでその訳を調べてみました。そうしたら、彼の言っている事は本当でした。実際に南海バスが井高野営業所管内の市バス運行を担っていました。しかも、井高野だけでなく、その他の鶴町・守口・酉島(とりしま)の3営業所管内についても、市バスの運行は大阪市交通局ではなく、「大阪シティバス」という大阪市100%出資の子会社が担っていました。
 確かに、運輸業界ではこういう例がよくあります。「庸車(傭車=ようしゃ)」と言って、人件費減らしや人手不足をカバーする為に、運転手を他の会社から雇入れるのです。「実際にそのトラックを運転しているのは、トラックの社名とは全然違う会社のドライバーだった」なんて事は、今までもごく普通にありました。

 まあ、それだけなら、よくある業務委託にしか過ぎません。しかし、それはあくまで民間に限った事だと今まで思っていました。まさか市バスなどの公共交通部門にまで、その波が及んでいるとは思いませんでした。しかも、色々調べていく中で、「井高野管内の市バスの運転が下手くそ」との下記ブログ記事まで目にする事に。

・大阪市営バスとくに井高野車庫所属(長谷川哲の言いたい放題
 なんであんなに運転が下手なんやろ(^_^;)揃いも揃って。今日もあまりのひどさに『ヘタクソ』と怒鳴りつけてしまった(^_^;)実は井高野車庫の運転手を怒鳴りつけたのは2回目である。できれば言いたくないのだ。しかし事はお客様の生命と安全に関わることなので看過できないのだ。降り際に『古川橋(大阪で運転免許試験場があるところ。東京なら鮫洲、名古屋なら平針、岐阜なら三田洞)でもういっぺん試験受けてこい』と言ってしまったわい。
 業界(どんな業界やねん)以外では殆ど知られていないが、大阪市バスの井高野車庫の運行は南海バスが下請けしている。だいたい民間のほうが運転は上手なんだけど、井高野は唯一の例外やわ。南海バスってこんなヘタクソに運転させてるんやろか?とマジに思う。(以下引用略)

 私、上記の記事を読んで、真っ先に思い浮かんだのが「官製ワーキングプア」の例です。公務員リストラの一環で、今や役所やハローワークの窓口業務も、正規職員ではなく派遣や委託のパート・アルバイトが担うようになりました。その結果、休むに休めなくなったり、ベテランがいなくなった為に、ちょっとしたトラブルにも対応できなくなっているそうです。しかも、契約時間削減で、1日5時間とかの細切れ雇用ばかりとなり、社会保険にも入れなくなっている。ハローワークの職員自身が失業や生活苦の心配をしなければならなくなっているのは、もう皮肉と言う他ありません。

 それはバスの運転手も同じです。格安ツアーバス運転手の過労運転による事故のニュースをよく耳にするようになりましたが、市バスなどの公営交通路線バスにもその影響は及んでいるようです。

・路線バス運転手 悲鳴/毎日だれか残業 待遇はアルバイト並み/人手不足 都市部にも(しんぶん赤旗
 「手取り月20万円前後。健康保険があるだけで、待遇はコンビニのアルバイトと変わらない。それで事故の危険を冒すのは割にあわない」と話すのは、都内の中堅バス会社に勤める30代運転手。「バスに遅れが出ると、折り返し地点で休憩時間も取れない。到着とともに出発する『着発』が続き、トイレにも行けず4、5時間、運転しっぱなしになる」といいます。(以上抜粋)

・路線バスの運転手不足が深刻 バス会社「募集しても人が全然来ない…」 : すぱいらる速報(元ネタはNHKニュース)
 川崎市に本社があるバス会社は、およそ350台のバスを保有し、川崎市と隣の横浜市の主に大都市で路線バスを運行しているほか、羽田空港との間にもリムジンバスを運行しています。
 およそ720人の運転手が適性ですが、工夫を凝らしても40人ほど足りない状況が続いています。
 川崎市川崎区の営業所では、深夜早朝の時間帯や、渋滞などで変更が出た場合、当初の勤務表ではシフトが回らないケースがたびたびあるということで、担当者が、乗務を終えた運転手に残業や休日出勤を頼むなどしてやりくりしています。(同上)

 しかも、大阪の場合は、あの悪名高い維新の橋下市長が、「大阪都構想」の一環として、市営地下鉄・バスの民営化を推し進めて来ました。選挙前は「廃止しない」と言っていた敬老バスや赤バスを選挙が終われば平気で廃止し、カジノ誘致の為に黒字の地下鉄まで京阪などの私鉄に叩き売ろうとしている。
 南海の営業エリアから離れた井高野管内の市バス運行を南海バスに委託しているのも、大阪府が自分たちの都合だけで、第三セクターの大阪府都市開発(泉北高速鉄道)を地元の南海電鉄にではなく、ローンスターという米国の投資ファンドに叩き売ろうとしたのと同じ発想ではないか?
 その後、「市営地下鉄・バスの民営化」法案は大阪市議会で否決されてしまいましたが、それでも油断は禁物です。あの「大阪都構想」ですら、一旦は市議会で否決されたにも関わらず、官邸と創価学会との裏取引で、公明党が寝返り「住民投票」が行われるようになった事で、全く予断を許さなくなりましたから。

 そう思った私は、まずは前記「長谷川哲の言いたい放題」ブログ当該記事の記述が真実かどうか調べる為に、エンジョイエコカード(1日フリー乗車券)を買って井高野管内のバスに乗ってみる事にしました。ちなみに、このエンジョイエコカードは、たった800円(土日祝日は600円)で市営地下鉄・バスが1日乗り放題な上、スパワールドなどの観光施設利用料も割引になる優れものです。今後も何かの折りに使う事にします。
 正に「瓢箪から駒が出る」。たった一人のホンの冗談から、ここまで話が広がってしまいました。
 ところが、現地調査に赴こうとした所、出発地点の大阪駅前広場ではちょうど「くまモン」の物産展が開催されていて、私もそちらに目移りしてしまい暫し足止め。そして、ようやく調査を再開したものの、今度は駅前広場が整備工事の影響ですっかり様変わりしていて、バス停を探すのに30分ほどもウロウロ。



 ようやくJR大阪駅前の井高野車庫行きバス乗場にたどり着き(上図紫色①地点)、37系統の天六経由の路線(上図では緑色で表示)で井高野車庫に向かいました。扇町通りから堺筋と、その大半が幹線道路だった事もあり、運転は申し分なかったです。車内の案内アナウンスも特に問題なし。むしろ丁寧な感じすら受けました。
 井高野車庫前の停留所(同じく赤色②地点)は、車庫の正門をくぐった構内にありました。市バス営業所の建物の前が降り場で、その向かい側が各方面行きの乗場です。周囲は全部住宅地で、商業施設は降り場の前に小さなコンビニがあるだけです。地図ではスーパーもすぐ近くにあるはずですが、当日は日曜日で休みだったのか、見つける事が出来ませんでした。
 そこから50系統の阪急上新庄駅前行きのバスに乗り、今度は生活道路の狭い道を進んで行きました。ここでは確かに、先程の幹線道路の時よりも揺れを多く感じました。また、先に進んでいたバスが、交差点の停止線よりも少し前にオーバーランして停止している場面にも出くわしました。しかし、これも「運転が下手」という程でもなかったように思います。狭い生活道路を進まなければならない為に、一定仕方ない部分もあるのではないでしょうか。ただ、私が乗ったのはあくまで日曜の午後。これが平日のラッシュアワーとなると、また違った感想を持ったかも知れません。
 上新庄駅前のバス停(青色③地点)は、狭い駅前広場の雑居ビルの前にありました。そこから86系統の近鉄布施駅前まで、1時間弱もバスに揺られて行く事に。但し、こちらもその大半が幹線道路で、運転もスムーズそのものでした。後で調べたら、この路線は他に鉄道やバスの並行路線がないせいか、平日のラッシュアワーでは積み残しも出るほどのドル箱路線らしいですね。
 布施駅前のバス停(緑色④地点)は駅前の広いロータリーの中にありました。その同じバスの折り返しで、元来た道を再び上新庄から井高野車庫経由で、大阪駅前まで戻るルートをたどりました。帰りの井高野車庫前バス停では、営業所内のトイレまでお借りする事が出来ました。営業所の中には定期券売り場もあり、すっかり地域の中に溶け込んでいる事が分かりました。
 以上、乗ってみた感じでは、そんなに問題は感じませんでした。井高野管内の運行が、近場の阪急や京阪ではなく南海に委託されている理由も、結局分からず終いでした。



 しかし、同時に南海バスや大阪シティバスの委託労働の待遇などを、ネットの求人広告で調べてみたら、こちらは余り良いとは言えないものでした。
 南海バスの方は1年単位の契約社員で更新の有無は不明。時給は1300円ですが、半年間の見習い期間や65歳以上の高齢者は1070~1200円に下がります。その中でもフルタイムと1日7時間未満のパートに分かれ、社会保険に加入できるのはフルタイムのみです。(参考資料
 大阪シティバスの方は嘱託職員と臨時社員の2本立てで募集していました。嘱託職員がフルタイムで主に市バス路線便を担当し、基本給月18万円+諸手当。臨時社員は週30時間程度のパートで、市バスとはまた別の路線を走るようです(詳細不明)。臨時社員は時給制で1200円。どちらも「月30万以上、年間420万円以上稼ぐ事も可能」とありますが、「成果主義賃金制度」の下で「走行距離や経験に応じて」とありますから、休日出勤や超過勤務と引き換えに、ひょっとしたら可能かもしれないという程度のものでしょう。実際には、月35時間以上の残業に加え、2日程度の休日出勤も常態化しているようです。(参考資料
 両社とも大型2種免許所持が応募の必須条件です。南海バスの方は入社後でも4ヶ月以内に取得できれば良いそうですが、教習費や検定料はあくまで自腹です。しかも、どちらも正社員登用制度の対象外で、大阪シティバスの嘱託職員でも「技能次第によっては契約更新も可」という程度。
 確かに、路線バス運転手の待遇は、過労死続出の格安ツアーバスと比べれば多少マシかも知れませんが、フルタイムでも契約社員の私たちとそんなに変わりません。せいぜい多少ともマシという程度で。パートの臨時社員に至っては、私たちよりも更に低い。それで正社員登用はおろか契約更新もなし。
 それで事故と隣り合わせでは、バス運転手の成り手がなかなか確保できないのも当たり前ではないでしょうか。そういう意味では、最初に上げた運送会社の「庸車」も本当は問題なのです。でも、「庸車」が運んでいるのは基本的に荷物だけです。歩行者を傷つけない限り、事故を起こしてもまだ物損で済みます。しかし、バスの運転手ともなると、もはや物損だけでは済まないでしょう。

 しかし、その事をツイッターにつぶやいた途端に、20名ほどのオタクから総攻撃に遭いました(笑)。いわく「業務委託なぞどこにでもある話だ、別に違法でも何でもない、委託の一体どこが悪いのか、公務員による税金の無駄使いを認めるのか・・・」云々と。
 もうアホかと思いますね。委託がなぜいけないのか。「派遣切り」や「官製ワーキングプア」の温床になるからですよ。委託や派遣、私の様な契約社員も含め、それらは全て間接雇用の下請け、孫請けにしか過ぎません。大阪市バスの運行を担いながら、大阪市とは直接雇用関係にない為に、大阪市に対して賃上げや労働条件の改善を要求する事も出来ない。大阪市の公務員労組にも入る事が出来ない。1年単位の有期雇用でいつ首を切られるか分からないから、今日明日の食い扶持や自分の身を守る事で精一杯となる。これでは労働者が団結しようにも出来ない。そのくせ、給与は委託業者同士の競争やピンハネで低く抑えられる。
 それを「合法」の一言だけで済ますとは。そんな事を言いだせば、戦前の「蟹工船」や「女工哀史」も当時は「合法」でしたよ。当時は労働基準法や労働組合法なんてありませんでしたから。「税金の無駄使い」云々も、それを問題にするなら、リニアやカジノなどの無駄な公共事業や、米軍の思いやり予算や、政党助成金や、原発再稼働や、「イスラム国」テロを誘発した安倍の「人道援助」バラマキやイスラエルへの武器輸出の方が、よっぽど「無駄」ではないですか。そんな「無駄」を放置したままでは、そりゃあ、いくら消費税を増税してもキリがないです。

 私に難癖つけてきたオタクの人たちは、そういう本当の「巨悪」には何も言えず、自分にも叩けそうな「小物」ばかりを、「巨悪」や御用マスコミに踊らされて叩く事で、日頃の自分たちのウップンを晴らしているだけです。それでは、いくら雑学やトリビア的や知識は豊富でも、社会的に物を見る事は出来ないし、人間としての資質を疑われても仕方ないと思います。
 「上から目線」のご高説も結構ですが、そういう人たちは、自分が南海バスや大阪シティバスのバス運転手と同じ立場になっても、果たして同じ事が言えるのでしょうか。
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これではたま駅長が余りにも可哀想だ

2015年02月08日 05時42分20秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ

 2月4日、5日と休みを取って和歌山に小旅行に行って来ました。今までほとんど有休を使わなかったので、年度末を前に少しでも消化したかったのと、単純に日頃の疲れを取りたかったので。取りあえず休みを先にとって、後で旅程を組むつもりでしたが、もう組むのも面倒くさくなって、「超近場」の和歌山市周辺に行く事にしました。もう少し遠出をしても良かったのですが、とにかく身体の疲れをほぐしたかったし、1泊2日では日帰りともそう変わらないので、それならむしろ、日帰りでは1ヶ所しか回れない所を泊まってゆっくり数ヶ所回った方が良いかと思いまして。ちょうど、地元の南海電鉄が「加太さかな線」のキャンペーンをやっていたので、それに託(かこつ)けて加太のひなびた漁師町を散策し、その日は休暇村で新鮮な魚を食べて温泉につかって泊まり、翌日は、私はしょうゆ味のラーメンが好きなので、和歌山ラーメンでも食べて、猫の「たま駅長」で有名な和歌山電鉄貴志川線に乗って来ようかと。和歌山電鉄は以前にも乗った事がありましたが、その頃はまだ貴志駅もリニューアルされておらず、「たまカフェ」も無かったので。
 旅行ではそれなりに骨休みも出来ましたが、最後に貴志駅で少し嫌な思いをしました。「超近場」とは言え、それでも一応は旅行記なので、本当は回った所を全部記事にするのがベストなのでしょうが、ここでは問題提起の意味も込めて、その貴志駅での「嫌な思い」を中心に書いていく事にします。その他の、人形供養で有名な淡嶋(あわしま)神社や、休暇村近くにある戦時中の弾薬庫・砲台跡の探訪記や、しらす丼・和歌山ラーメンなどのグルメ報告については、また別に書く機会があれば。



 貴志川線始発駅のJR和歌山には旅行2日目の5日昼過ぎに着きました。そこで1日フリー乗車券を購入。通常の往復切符よりもこちらを買う方が40円もお得。今までこの鉄道の存続運動を支えてきた住民団体「貴志川線の未来をつくる会」の結成から今年でちょうど10年という事で、この2月22日には地元でシンポジュウムも開催されるようです。
 貴志川線は、かつては南海電鉄の支線の一つでした。大手私鉄の南海傘下にありながらも、ずっと赤字続きで一時は廃線の噂も浮上する中で、和歌山県や地元市町村、地域住民が一体となった存続運動の結果、岡山電気軌道(岡山市内の路面電車)を経営する両備グループの支援も得て、2006年に今の和歌山電鉄による運行にこぎつける事が出来たのです。私がこの鉄道を最初に訪れたのもちょうどその頃でした。当時はまだ沿線のそこかしこに「乗って残そう貴志川線」の幟(のぼり)がはためき、ワンマンカーで駅に停車するたびに運転手が運賃収受に追われていて、悲壮感すらただよっていたように思います。

 その危機を救ったのが猫の「たま」でした。終着駅・貴志駅横の売店に飼われていた三毛猫の「たま」に和歌山電鉄の社長が目をつけ、元祖「猫の駅長」として売り出すようになったのです。それがきっかけで、今まで落ち込む一方だった乗客数も上昇に転じ、経費削減策と相まって、黒字転換にはまだ至らないものの、年間の赤字額もそれまでの10分の1にまで圧縮されました。その功績で「たま」は全駅を統括する「スーパー駅長」並びに取締役に就任し、後に別の三毛猫「二タマ」も途中駅で本社・車庫もある伊太祈曽(いだきそ)駅の駅長に就任。貴志駅も猫を形どった駅舎に全面改装し、カフェと販促グッズ・ショップも併設されるようになりました。まさに「たま」様々です。
 私が5日に行った時は、ちょうど「あと4回多く乗って年間利用者数を250万人の大台に乗せよう」キャンペーンの真っ最中で、4枚つづりの特別切符も売られていました。


 和歌山電鉄では色々な電車を走らせています。左から右に、和歌山国体をアピールする「きいちゃん」電車、販促グッズ宣伝に一役買う「おもちゃ」電車、そして猫の顔にラッピングされた「たま」電車。この他に、春のイチゴ狩りをイメージした「いちご」電車もあります。時刻表にも、これらの電車の種別が●〇▲▽などの記号で表示されています。


 「たま」電車の車体デザインと車内風景。座席の座布団にも猫のイラストが施され、警笛音も「ファーン」ではなく「にゃーん」と猫の鳴き声に。


 外から見た貴志駅の駅舎。猫の目・鼻・耳を形どった屋根と天窓に、屋上中央部に「TAMA」の文字も。その「TAMA」下の向かって左側が販促グッズの店で、向かって右側が喫茶店の「たまカフェ」です。


 左から右へ順に、貴志駅の「たま」写真入りの時刻・料金表、タマ・オフィス(駅長室)で仮眠中の「たま」、その「たま」を祀った駅ホーム片隅の「ねこ」神社。神社にはこの他にも「いちご」「おもちゃ」バージョンの物がありました。この貴志川線自体も、大正時代に、沿線にある日前宮(にちぜんぐう)・竈山(かまやま)神社・伊太祁曽(いだきそ)神社への西国三社参りの為に敷設されたので、それにあやかって作られたのかも。なお、伊太祈曽駅長の「二タマ」は残念ながら「公休」で会えませんでした。


 「たまカフェ」の看板と、カフェ店内の様子。カフェではコーヒー・紅茶などのソフト・ドリンクの他に、ハンバーグやアイスも売っていました。


 私はそこで三毛猫を形どった三色のジェラートを食べました。右の写真は和歌山県知事から「たま」に贈られた表彰状。

 最後に、貴志駅で遭遇した「嫌な思い」について書きます。それは中国・韓国人観光客のマナーの悪さです。私が行った2月5日(木)は、平日という事もあってか、日本人観光客はほとんどおらず、中国や韓国からの観光客ばかりでしたが、そのマナーの悪い事。もう15歳にもなる(人間で言えば80歳ぐらいか)老人猫の「たま」が寝ているオフィスのガラスを、外から興味本位に「ニャーニャー」と大声で鳴き真似し、外からガラスをドンドン叩いていたのです。
 確かに、待合室側のガラスには、「叩かないで下さい」と日本語の注意書きのみで、中国語や韓国語の注意書きはありませんでした。販促グッズ・ショップの側には英語・中国・韓国語での注意書きの表示もありましたが。でも、わざわざこの貴志駅まで来る以上は、彼の国のガイドブックにも「たま」が高齢である事は書かれているはずでしょうし、もし書かれていなくとも、叩いて良いかどうか、考えたら分かるでしょうに。いくら会社のマスコットで、見られるのが仕事とは言えども、これでは「たま」が余りにも可哀想です。

 私、よっぽどその中国・韓国人のカップルやツアー客に注意してやろうかと思いました。でも、観光客に日本語が通じるかどうか不安だったので、グッズ・ショップの店員に、ショップ側だけでなく待合室側にも外国語で注意表示を掲示するようにアドバイスしました。でも、店員も諦めムードで、完全に匙を投げてしまっているような状態でした。
 この中国・韓国人観光客のマナーの悪さが、注意書きの不備によるものか、はたまた、彼の国の国民性から来るものなのか、今の私には判断がつきません。でも、「たま」の事を考えたら、最低限、待合室側にも外国語での注意書きが必要ではないでしょうか。和歌山電鉄も、ここまで「たま」を宣伝に使うのであれば、もう少しその辺の配慮も必要だったのではないかと思います。今のままではブラック企業に酷使される「名ばかり駅長」だと言われても仕方ないでしょう。

 その一方で、中国・韓国人のマナーの悪さを指摘する日本人も、「一昔前の自分たちの事を考えたら、そんなに偉そうには言えないのではないか」という気持ちも、私の中にはあります。今でこそ、中国・韓国人を始め、経済力をつけたアジア諸国の観光客が大挙して日本にやって来るようになりましたが、今から20年ほど前までは、むしろ日本人の方が、韓国やフィリピンへのキーセン(妓生)遊び(買春観光)などの形で、私が貴志駅で味わったような嫌な思いを当時のアジア諸国の国民にさせていたかも知れないのですから。そのようなモラル低下を放置したまま、経済のグローバル化や市場開放で、来日外国人観光客の呼び込みだけをいたずらに追い求めても、真の相互理解なぞ出来ないのではないでしょうか。

 そもそも、日本の観光地なのに、なぜ外国人ばかりで、日本人の観光客が減ってしまったのでしょうか。日本人も外国人も、観光客が一杯いてこその観光地なのに。外国人観光客を呼び込むだけでなく、日本人観光客も増やさなくてはならないはずです。ところが、安倍内閣の進めるアベノミクスも、賃上げや長時間労働規制は掛け声ばかりで、実際にやっているのは法人税減税や派遣法改悪、「残業代ゼロ法案」などの大企業優遇策ばかり。
 政府は市場開放を推進し、「おもてなしの心」で外国人をもてなせと言いますが、これも実際にやっている事はと言えば、例えば、介護報酬を低く抑えたまま、日本人の成り手がいないからと、安易に安上がりな外国人家政婦に置き換えて、その外国人も安くこき使うばかりで、労働条件の改善には一向に取り組もうとしません。これでは「おもてなし」どころか、単に外国人を「金づる」としか見ていないだけではないですか・・・。そういう事についても色々考えさせられた「超近場」の小旅行でした。
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イスラム国人質事件でも露呈した日本人の知性劣化

2015年02月02日 22時50分12秒 | 戦争法ではなく平和保障法を


 イスラム国人質事件が最悪の結末を迎えてしまった。湯川遥奈さんに続き後藤健二さんもイスラム国に殺害されてしまった事が、2月1日早朝に配信された動画で明らかになった。もう、この後は、ヨルダン空軍パイロットのモアーズ・カサスベさんを始め、まだイスラム国に囚われているかも知れない残りの人質の無事を祈るばかりだ。

 今回の人質事件で更に鮮明になった事が二つある。一つは政府の無策、もう一つは我々日本人の知性劣化だ。前者の「政府の無策」については、今までも折に触れて書いてきたし、まだまだ書き足らない事も一杯ある。しかし、この点については、ひとまず脇に置いておき、ここでは後者の「日本人の知性劣化」に絞って書く事とする。「知性劣化」と言うと何やら難しく聞こえるが、簡単に言えば「日本人が以前よりもバカになった」と言う事だ。
 その一例として、最初に池内ツイート削除事件を取り上げる。この前の衆院選で初当選した池内沙織という女性の共産党議員が、25日につぶやいたツイート(ツイッターの書き込み)の内容が不穏当だと、自党の志位委員長にとがめられて、「自主削除」に追い込まれた事件だ。



 左上の写真が削除された問題のツイートで、右上の写真が昨年の「赤旗まつり」でドラムを叩いていた池内さんの姿だ。「学生時代からロックバンドで活動していた」とウィキペディアの資料にもある。いかにも今風の若者と言った感じの、今までの共産党議員には余り見られなかったタイプの人の様だ。

―こんなにも許せないと心の底から思った政権はない。「ゴンゴドウダン」などと、壊れたテープレコーダーの様に繰り返し、国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権。安倍政権の存続こそ、言語道断。本当に悲しく、やりきれない夜。眠れない。―

 その問題のツイートを改めて上記に書き出してみたが、全くその通りじゃないか!これの一体どこが「過激」で「不穏当」なのか?少なくとも、「安倍が後藤さんの身代わりになれ」という私の感情的なブログ記事やツイートと比べたら、よっぽど冷静で「穏当」ではないか。
 このツイートに対してすら、ネトウヨ(ネット右翼)のアホどもは、やれ「政府批判ばかりでイスラム国を全然批判していない」とか、「今は政府批判なぞしている時ではない」とか、「遺族への同情の気持ちはないのか」とか、揚げ足取りとしか取れない批判ばかりして、騒ぎになって、上司の志位委員長からも叱られた挙句に、ツイート削除に追い込まれたのだ。

・「イスラム国」非難せず「安倍批判」ばかり 共産党・池内議員ツイッター炎上でおわび(J-CASTニュース)
 http://www.j-cast.com/2015/01/26226134.html?p=all

 「イスラム国批判」や「遺族への同情心」なぞ、普通の日本人なら誰しも持っている。私も池内議員も。その上に立って、遺族を悲しめ、イスラム国に付け入る隙を与えた安倍政権の無能、無為無策を批判しているのじゃないか。
 その時々の中で一番心に浮かんだ「つぶやき」を、140字以内に書くのがツイートだ。最大でもたった140字しか書けないのだから、「その瞬間に一番心に浮かんだ事」しか書けなくて当然じゃないか。たとえ、その他に「イスラム国批判」や「遺族への思い」もあったとしても、安倍の顔や「壊れたテープレコーダーの様な」魂の全然こもっていない発言を聞いていたら、それに対し「この野郎!」と思う人がいても、全然不思議じゃない。それは「イスラム国批判」や「遺族への思い」とは全然矛盾しない。むしろ、そんな思いがあればこそ、余計に腹が立って、あのようなツイートになったのではないか。

 その程度のツイートによる政府批判も出来ない様では、もはや日本は民主主義国であるとは言えない。まるで、何も言えなかった戦時中の日本と同じだ。
 それに対し、ネトウヨだけでなく、あろうことか、共産党の志位委員長までもが、世間の風当たりを警戒して、自民党ですらまだ何も言っていないにも関わらず、先回りしてネトウヨと一緒になって言論統制に走ったのだ。
 恐らく志位委員長も、私人として個人でつぶやいている段には、何の問題もないツイートだと思っただろう。その上で、但し公人(政治家、国会議員)としてのツイートとなると、「ひょっとしたら共産党の顔に傷がつくかも」と、恐れたのではないだろうか。
 そりゃあ、今の共産党の支持者には、昔みたいに私の様なひねくれ者だけでなく、今まで自民党を支持してきた様な人も一杯いる。せっかく、そういう保守的な人からも支持されるようになりつつあるのに、それを「たかがツイート一つ」で棒に振る様な真似はしたくないと思ったのだろう。
 これは、良く言えば「大人の対応」とも取れるが、私からすれば「党利党略」以外の何物でもない。こんな事をしていたら、仮にそれで一時的に支持票の目減りを防げたとしても、それと引き換えに、言論・表現の自由そのものが狭められていくだろう。そして、最後には何も言えなくなり、共産党の活動自体も弾圧されてしまうだろう。

 前記右上写真の池内沙織が安倍の顔を貼ったドラムを叩いている姿についても、色々と批判の声がある事は知っている。いわく「人権侵害」とか「品が無い」とか言う声だ。でも、私からすると、それも「安倍が叩かれるような事をしたからだ」。
 2008年にイラクを電撃訪問した当時のブッシュ米国大統領がイラク人記者から靴を投げつけられる事件があったが、この事件も、確かに靴を投げつけるという行為だけ見れば、イラク人記者による暴力であり、ブッシュに対する人権侵害だ。しかし、その背景には、ブッシュによるイラク戦争で殺された多くのイラク人の憎しみがある。これをイラク人記者の暴力・人権侵害としか見ない人は、ブッシュの暴力によって殺されたイラク人の人権については、何も考えないのか。もしそうだとしたら、それは差別以外の何物でもない。
 安倍がドラムで叩かれるのも、それと同じだろう。安倍は、二言目には「かつて日本が行った戦争は侵略じゃない、自衛の為の正義の戦争だった」「その犠牲になった従軍慰安婦も、ただの売春婦だった」という事を、今まで何度も口にしてきた。その安倍によって貶(おとし)められた被侵略国の人々や、騙され慰安所に送り込まれた女性や、使い捨てにされた日本軍兵士に対する人権蹂躙(じゅうりん)を、安倍ドラム批判者は考えた事があるのか。そして、何よりもまず、安倍によって殺されたも同然の、湯川さんや後藤さんの命について考えた事があるのか。
 もちろん、批判される政治家の人権にも配慮しなければならないし、「品が無い」批判よりも「品のある」批判の方が世論の受けが良い事も確かだ。でも、時には「品の無い」批判を敢えてしなければならない場合もあるのだ。
 そんな事も分からない様では、共産党の議員や委員長をやる資格はないと思う。池内議員が言えないなら、私が代りに言ってやる。
 


 次に、「知性劣化」のもう一つの例として、「次世代の党」の田母神俊雄がつぶやいた下記のツイートを取り上げる。こちらは、前述の池内のツイートは違い、まだ削除もされずにネットに配信されたままなので、そのままブログに貼り付けておく事にする。



 こちらは前述の池内ツイート削除事件よりも更に「知性劣化」の度合いが酷い。前述の事件は、世論に迎合しツイートを削除しただけで、ツイートの内容そのものはしごく真っ当だった。それに引き換え、こちらはツイートの内容自体も酷い。

 だいたい、姓が違ったら何だと言うのか。過去に離婚や養子縁組などすれば、いくらでも姓なんて変わるだろう。しかも、それで取って付けた様な在日攻撃までやって。離婚したら犠牲者を見捨てて良いのか。他国の人間なら助けなくて良いのか。被害者の離婚の有無や国籍なんて、今回の事件とは何の関係もないだろう。もし仮に後藤さんが在日外国人だったとしても、後藤さんが税金を払っていようがいまいが、そんな事とは無関係に、国家には彼を助ける義務がある。でないと、目の前の川で人がおぼれかけていても、その人が離婚していたり外国人だったら、助けなくて良いという事になってしまう。
 ここまで来たら、もはや国籍がどうこう以前に、「人間としてどうなのか」が問われるレベルだろう。東京の新大久保駅でホームから転落した人を助けようとして電車に轢かれた韓国人留学生や、大阪の淀川でおぼれかけた子供を救助した中国人留学生もいるというのに。こんなツイートを垂れ流して、政治家として恥ずかしくないのか。そんな事ばかりつぶやいていたら、最後には、どの国の国民も、日本人を助けてくれなくなるぞ。

・この状況で“後藤さんは在日”攻撃!田母神はやっぱりただのネトウヨだった(LITERA/リテラ)
 http://lite-ra.com/2015/01/post-827.html 
・家族への謝罪要求、経歴暴露…イスラム国事件で後藤さんを攻撃する“クズ”たち(同上)
 http://lite-ra.com/2015/01/post-831.html

 田母神は、殺されたもう一人の人質である湯川遥奈さんについても、「どこの馬の骨か分からない」なぞと述べている。ところが実際は、田母神が都知事選挙に出馬した時も、湯川さんは、毎日選挙事務所に応援に駆けつけていたほどの熱心な支持者だった。湯川さんが立ち上げた警備会社(実際は外国の戦争に介入する傭兵会社)にも、田母神とも親交のある自民党の水戸支部長や党内最右派の国会議員が、支援者として名を連ねている。これから見ても、彼らにとっては、湯川さんは「単なる一介の支持者」以上の存在であった事は間違いない。
 それにも関わらず、湯川さんがイスラム国に拘束された事が分かった途端に、田母神は「知らぬ存ぜぬ」と白ばっくれるのみ。それでよく「愛国」だの「日本人の絆」がどうのと、言ってられるなと思う。そんな物はもはや「愛国」でも何でもない。ただのエゴでしかない。

 日本人は、いつからこんなにバカになってしまったのか。田母神には次のツイートをお見舞いする事にする。



 政府は今回のイスラム国による人質殺害事件を受けて、さっそくテロ対策や海外邦人救出作戦への自衛隊派遣の検討に入った。己の不用意な発言やこれまで自民党政府が行ってきたイラク戦争参加によって、本来は平和国家であるはずの日本もテロの標的にされてしまったというのに、その反省や総括もなく、ただひたすらアメリカのポチに成り下がって。自分で放火しておきながら後になって火事だ火事だと騒ぎ立て、いかにも消火に勤めているかのようなフリをする。それを俗に「マッチポンプ」と言うが、政府が今やっている事が正にそれではないか。
 そんな政府の宣伝を鵜呑みにして、加害者政府をかばい立て、逆に被害者の人質やその遺族を自己責任の名で叩くとは。戦時中の「非国民」叩きと同じではないか。もう、その様な歴史は二度と繰り返さないと、戦後、平和憲法を制定し、原水爆禁止運動や安保闘争、ベトナム反戦運動に立ち上がった、かつての日本人は一体どこに行ってしまったのか。その平和運動も、「軍部に騙された」という被害者意識だけで、侵略戦争に国民も加担した事実と向き合わない「内向きで独りよがりの運動」だという批判は当時からあった。しかし、今や多くの日本人は、もはや「独りよがり」どころか、アメリカのポチとして、原発も武器も輸出する、自国エゴ丸出しの「死の商人」に成り下がってしまった。このままでは、また同じ歴史を繰り返す事になる。
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