遅くなりましたが有馬記念の総括を載せておきます。
有馬記念は菊花賞2着の◎タスティエーラを本命にしました。当初は天皇賞・秋2着の〇ジャスティンパレスの方を本命にしていたのですが、当日の馬体重の数値を見て◎〇を入れ替えました。そして、有馬と同じ舞台の日経賞をトップハンデ59キロで圧勝した▲タイトルホルダーにも、今回斤量も1キロ減で、得意な中山コースの内枠に入った事で、前2頭に次ぐ厚い印を打ちました。その次には皐月賞馬の★ソールオリエンス。後は△ドゥデュース、スルーセブンシーズ、スターズオンアースに、現況あまりパッとしないものの、2年前にはこのレースで2着に入った先行馬のディープボンドも穴馬のヒモに加えて。◎-〇▲★-〇▲★△の三連複フォーメーションで馬券を買いました。
しかし、結果は△ドゥデュース1着、△スターズオンアース2着、▲タイトルホルダー3着。何らかの印を打った馬が全て3着内に入ったものの、肝心の◎が6着に終わり不的中。◎はパドックの段階から発汗が著しく、体力を消耗しているような感じでしたが、もう馬券を買ってしまった後だったので後の祭り。おまけに最後の直線で斜行して来た〇ジャスティンパレスに前をふさがれ、行き場を失い6着に敗退。〇も3着のタイトルホルダーにアタマ差で届かず4着止まり。
それとは対照的だったのが、最外8枠16番の不利をルメールの好騎乗で見事克服した△スターズオンアースと、得意コースの利を生かし3着に逃げ粘った▲タイトルホルダーでした。特に後者については、いくら得意コースで絶好枠と言えども、もう6歳でこのレースがラストラン、昔ほど勢いのないタイトルホルダーが有馬記念で3着内に踏ん張れるかどうか?私は半信半疑だったので、どうしても▲以上の厚い印を打つ事が出来ませんでした。
私が印を打った馬は、ディープボンド以外はいずれも単勝オッズが10倍以下。その中では比較的安定株と目されていた◎〇も、決して安泰ではありませんでした。だったら、ダメ元でもタイトルホルダーを信用して、◎に抜擢しても良かったのではないかと思います。確かに、今のタイトルホルダーには◎〇ほどの勢いはありませんが、内枠に入れば今までも無類の逃げでファンを魅了して来た事は、私も知っていたはずなのに。
この「用心し過ぎて逆にチャンスを逃がす」傾向がある事は、今年1年間の私の競馬収支の集計表からもうかがえます(上記参照。今日苦労してようやく集計出来ましたw)。集計してみたら何と回収率が5割を切る有様。私は余り変な馬は買わないので、そこそこ印の付いた馬が1~3着には来ているのですが、タテ目で外す事が多かったように思います。そのくせ色気を出して、広く薄く三連複で流すものだから、せっかく的中しても利益はほとんど出ず。トリガミで損する事も多かった。
日曜日の重賞レースに数千円買うだけで、あくまで遊びの範囲で楽しむだけなのだから、たまには冒険して、もっと買い目を減らしてメリハリのある買い方を来年はしようと思います。昔は有馬記念でその年の競馬は終わりでしたが、今はまだホープフルSと東京大賞典が控えています。しかし、私は仕事でどちらも馬券を買う事が出来ません。年末はもう競馬どころではないので。それでは良いお年を。
「モリカケ」「桜を見る会」に「統一教会」。「裁量労働制データ改ざん」に「報道番組への圧力」。「消えた年金問題」に「生活保護切り下げ」。「拉致問題」の政治利用で「教育基本法改悪」「安保法制強行可決」。「アベノミクスで時給アップ」のはずが「実質賃金はずっと目減り」。安倍晋三の罪状を上げればキリがない。それでもまだ安倍を崇拝するネトウヨ信者や、それに媚びる御用マスコミがまだまだ幅を利かす。
12月13日付夕刊フジ一面に「岩田明子リポート」と題して「裏金は細田派時代の悪習、安倍はそれに激怒し、会計責任者にただちに直せと叱責」という趣旨の記事が掲載された。当該記事によると、安倍晋三は2021年11月に安倍派(清和政策研究会)の会長に就任するまで裏金の存在には気付かず、翌22年2月になって初めてその存在を知る。怒った安倍は会計責任者を呼んで叱責。その為に政治資金収支報告書の記載が一時的に是正されるも、安倍が統一教会信者の息子の凶弾に倒れて以降はまた元の木阿弥になってしまったそうだ。
岩田明子は安倍番記者として有名なジャーナリストだ。しかし、その実態は、いついかなる時も安倍ヨイショの記事しか書かない御用記者に過ぎない。その御用記者が、政権の顔色をうかがうマスコミの中で、ちやほやされて来ただけの事。だから、こんな露骨な安倍ヨイショの記事しか書けない。これだけ悪事を働いてきた安倍晋三が、裏金に対してだけ清廉潔白な訳がない。
そうしたら意外にも、夕刊フジ発行元の産経新聞が、先の「岩田明子リポート」を全面否定する記事を載せた。それが12月19日の朝刊一面に載った「安倍派裏金 参院選前 全額還流」トップ記事だ。それによると、政治資金収支報告書にはノルマ分のパーティー券売上収入しか記載せず、残りを裏金として所属議員にキックバック(還流)していただけでなく、参院選の年にはノルマ金額も引き下げ、全額を選挙陣営にキックバックしていたとの事だ。
この産経記事が何故、先の夕刊フジ記事の全面否定になるのか?両紙に掲載された表とグラフで説明する。まず左の夕刊フジに掲載された清和政策研究会(安倍派)歴代会長一覧表を見てほしい。この表では安倍晋三は2021年11月から翌年7月まで会長に就任し、その間に裏金のからくりに気付き是正させた事になっている。
ところが、右の産経新聞に掲載された安倍派パーティー収入額のグラフでは、令和3年(2021年)以降も収入額が激減している。これは安倍派がパーティーを自粛したのではなく、収入額の大半を裏金として処理し、政治資金収支報告書に記載しなかった為である。これではもはや「裏金のからくりに気付き是正させた」どころではない。「より巧妙に粉飾決算した」という事でしかない。
昔は政治献金は自由だった。しかし、それでは、「貧者の一灯」の個人献金も、大金持ちが賄賂(わいろ)として行う企業・団体献金も、全部一緒くたに扱われ、実際は大金持ちや一部の権力者によって政治が私物化されてしまう。それを防ぐ為に、政治資金規正法によって、20万円を超える金額については、政治資金収支報告書で、金の出入りを公開し、有権者がチェックできるようにした。
しかし、この政治資金規正法もザル法で、パーティー券の名目で、いくらでも賄賂が出来るようになっていた。ホテルのホールなどを借り切って、唐揚げなどの簡単な食事を提供し、派閥の会長が形だけのあいさつをして、後は乾杯でお開き。そんな形だけのパーティーの参加券を、一枚2万円もの高値で派閥が売りさばく。
派閥からパーティー券を押し付けられた大企業は、それを下請けの中小企業に降ろす。下請けは大企業の言いなりなので断る事が出来ない。かくして、ホールには2千人しか入らないのに、2500人や3千人に水増しされたパーティー券収入額が収支報告書に記載される事になる。これ自体が、事業収入(パーティー)を装った賄賂だ。
それでもまだ事業収入を装っている限りは、政治資金規正法違反にはならない。問題は、その一部が収支報告書にすら記載されずに、裏金として議員にキックバック(還流)していた事だ。それも1人や2人の下っ端議員ではない。内閣官房長官の松野博一、経済産業大臣の西村康稔(やすとし)、党政調会長の萩生田光一、国対委員長の高木毅、参院幹事長の世耕弘成(ひろしげ)など「安倍派5人衆」と呼ばれる政府・与党の中心人物が、皆ことごとくキックバックを受け取り、私腹を肥やして来たのだ。
悪代官が悪徳商人から賄賂を受け取り、見返りに悪徳商人(ブラック企業)の為の政治を行う。それが、「死の商人」を儲けさせる為の「安保法制改悪」「辺野古移設」であり、派遣会社のピンハネ搾取にお墨付きを与える「派遣法改悪」であり、外国人労働者を低賃金でこき使う「技能実習制度の悪用」である。
その「ブラック企業の為の賄賂政治」を小泉純一郎から引き継ぎ、「拉致問題」や「中国・ロシア・イスラムテロの脅威」を梃に、武器商人と結託して、戦争利権を山分けして来たのが安倍晋三だ。よりによって何故こんな奴を、長期に渡って首相に祭り上げ、国葬にまでしてしまったのか?
日本を守る為?本当に日本を守る気があるなら、日本をこんな不正がまかり通る格差社会にしたりはしない。実際は「日本を守る」という事を隠れ蓑にして、自分たちが私腹を肥やして来ただけではないか。もし2020年に検察庁法が改悪され、定年延長で安倍言いなりの黒川が検察庁長官に就任していたら、今回の安倍派に対する家宅捜索もなかった。もっと酷い賄賂政治がまかり通っていた。
逆に世論が変わればマスコミも変わる。今回、産経新聞が夕刊フジを切り捨ててでも、裏金のスクープ記事を載せるに至ったのが、その何よりの証拠だ。産経も、安倍ヨイショの御用新聞と言う点では、夕刊フジに負けずとも劣らない。しかし、それでもまだ産経には、大手紙・全国紙としての世間体がある。それに、御用新聞と言えども商業新聞である以上は、世論に逆らってまで露骨な御用記事は書けない。だから、「我々は決して御用新聞ではない」というアリバイを示す為にも、時には他紙と歩調を合わせて安倍派を叩かざるを得ない。
どこから見ても安倍晋三は万死に値する。到底、国葬になんかすべきではなかった。これ以上、安倍の「死に逃げ」を許してはならない。勿論、問題は安倍派だけではない。自民党の他派閥も賄賂政治に汚染されているという意味では、安倍派と似たり寄ったりだ。維新も、金権体質で不祥事だらけという点では、自民党と似たり寄ったりだ。
もはや一刻の猶予も許されない。一刻も早く政権交代を実現すべきだ。裏金も元はと言えば税金だ。その税金を、我々の生活向上の為にではなく、自民党の私利私欲の為に、これ以上使われて堪るか!
前回の記事の中で、「ガザの日常」という映画の感想について書いた。今回はもう一つのガザ関連映画「愛国の告白」を見た感想から書こうと思う。この映画は、ヨルダン川西岸地域を軍事占領するイスラエル軍の蛮行を、軍の兵士自身が告発したものだ。ヨルダン川西岸地域は、行政的にはパレスチナ自治区の大半を占めるが、実際はその6割はイスラエルの軍政下にある。軍政下ではパレスチナ自治政府の権限も及ばず、イスラエルの法も適用されない。そこでは住民は、軍による恣意的な連行や拷問に日常的にさらされる事になる。
その映画の中で、イスラエルの兵士が、深夜の2時や3時に、パレスチナ人(パレスチナに住むアラブ人)の家を家宅捜索する場面が出てくる。たとえ容疑が何もなくても、兵士は好き勝手に、その時の気分次第で、自由に家宅捜索できるのだ。その時も兵士は、いきなり家人を叩き起こし、家族を一室に集め、身分証の提示を迫った。母親が幾ら「子どもが寝ているから」と哀願しても、兵士は「子供も叩き起こしてここに連れて来い」と命令するばかり。子どもは怖がって泣き叫ぶ。ようやく捜索が終わると、兵士は何の法的根拠も示さず、何も押収できずに、ただ住民に嫌がらせをしただけで、「バイバイ」と言って家を立ち去る。
何故こんな無法が許されるのか?兵士が思い余って上官に質問したら、返って来た答えが「我々の存在を奴らに思い知らしめる為だ」。誰がここの支配者か、住民に思い知らしめる為だそうだ。しかし、こんな事を繰り返していたら、当然、住民から恨みを買う事になる。そして兵士も、何故こんな事をしなければならないのか?と悩み苦しむ事になる。
「イスラエルの論理」を徹底解説~たとえ世界を敵に回しても戦う理由とは?【豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス】(2023年11月30日)
そんな兵士が集まって「沈黙を破る」という市民団体を立ち上げ、自分たちの行為をイスラエルの国内で告発し始めた。その様子を紹介したのがこの映画だ。しかし、何故そんな住民の嫌がる事をイスラエル軍は繰り返すのか?その答えが上記の動画の中にあった。上記の動画は、今回のガザ侵攻に至るイスラエルの論理を読み解いたものだが、その中に次のエピソードが登場する。
1956年にイスラエル南部のキブツ(集団農場)がパレスチナゲリラに襲撃され、イスラエル軍の中尉が殺された際に、当時のダヤン軍参謀総長が中尉の遺族に出した追悼文に、その答えが凝縮されている。以下、その追悼文の一部を紹介する。
「今日は殺人者(パレスチナゲリラ)を責めないでおこう。我々は彼らの燃えるような憎しみを否定する事は出来ない。彼らは8年間ガザの難民キャンプから出られず、目の前で、彼らと祖先が住んでいた土地や村を、我々が(自分たちの)財産に変えていくのを見ているしかなかった。(中略)我々は彼らの憎しみから目をそらしてはならない。弱くあってはならない。それが我々の世代の宿命である」
イスラエル軍がパレスチナ人から恨まれるのは、軍が彼らの土地を奪ったからである事も十分理解した上で、「我々はそうするしか自分の国を持てないのだ。だから、我々は弱くあってはならない。たとえ恨まれようとも、他人の土地を奪い続けるしかないのだ」と宣言したのだ。これは一種の居直り宣言だ。そこまでしても自分の国を持ちたいという事だ。なるほど、ユダヤ人にとっては悲壮な覚悟かもしれない。しかし、こんな手前勝手な理屈で土地を強奪されたのでは、パレスチナ人は堪ったものではない。
今となってはもうタラレバの話になってしまうが、イスラエル建国の地は必ずしもパレスチナでなくても良かったのではないか。ユダヤ人にとってはパレスチナの地こそが自分の故郷だと思いたいのは山々だろうが、もうそこには既にパレスチナ人が何世代にも渡って住みついている。ユダヤ人がその地を去り二千年近く経ってから、再びのこのこ現れ「ここは昔我々が住んでいたから自分たちの土地だ」と一方的に宣言し、パレスチナ人から土地を奪って良いものだろうか。
もし、そんな論理がまかり通るなら、ロシアのウクライナ侵略も同じように肯定しなければならなくなる。何故なら、ウクライナも、ロシアにとってはルーシ(キエフ大公国の別名。今のロシアの国名の語源にもなった)誕生の地に他ならないからだ。それは別にウクライナだけに限った話ではない。アフリカなんて、もうそんな土地だらけだ。そんな事を他の国も言い出せば、今の国際秩序はもうムチャクチャになってしまう。だからアフリカ諸国も、とりあえずは現国境を維持しながら、紛争は話し合いで解決するようにしたのだ。再び同じ過ちを繰り返してどうするのか。
では、イスラエルはどこに建国すべきだったのだろうか?私が考えたのは三つの地だ。その一つがエチオピア。エチオピアはアフリカ唯一のキリスト教国だ。モーゼの出エジプトでイスラエルを逃れたユダヤ教徒がエジプトで広めたのがコプト教で、そこから更に枝分かれしてエチオピアに広まったのがエチオピア正教だ。同じキリスト教国であるエチオピアの、人口希薄なアビシニア高原外縁部に建国すれば、エチオピアを周辺のイスラム教国から守る盾として機能したかもしれない。実際イスラエルは、かつてのエチオピア政府とエリトリアの内戦に際しても、エチオピア側を支援している。
二つ目がヨルダン。ヨルダンも元々は英国委任統治領パレスチナの一部だった。英国の三枚舌外交(注)により、フセイン・マクマホン協定でアラブの王族にも独立を保障しなければならなくなり、ヨルダン川より東側にトランスヨルダン首長国が作られた。これが今のヨルダン・ハシミテ王国、つまり今のヨルダン国家の原型だ。
(注)英国は第一次大戦時に、ユダヤ・アラブの双方から戦争協力を取り付ける為に、オスマントルコ領内に住む双方の民族に独立を約束しながら、フランスとも裏で領土分割の密約を結んでいた。その密約の存在がばれて「三枚舌外交」と非難を浴びる事になった。
しかもヨルダン人口の過半数はパレスチナ難民だ。だったら、何もパレスチナの地にイスラエルを建国しなくても、隣のヨルダンにイスラエルを建国すれば、パレスチナ人はユダヤ人に土地を奪われずに済む。その代わりに、ヨルダンに住むアラブ人がユダヤ人に土地を奪われる事になるが、アラブ人がパレスチナに移住すれば済む話だ。勿論その移転費用はユダヤ人が負担すべきだ。ユダヤ人も、故郷のパレスチナの地には建国出来なかったが、そのすぐ隣の、今のイスラエルよりも更に広い国土に建国出来るのだから、そう悪い話ではないはずだ。
三つ目が今と同じパレスチナ。イスラエルはヨルダン川西岸・ガザを含む全パレスチナの地を現行通り領有する。パレスチナ人は西岸・ガザも放棄して、ヨルダンの地にパレスチナ国家を樹立する。パレスチナ人にとってはイスラエルに譲歩した形になるが、その代わりに、今の西岸とガザの狭い飛び地ではなく、それよりもはるかに広大でまとまった土地を確保出来るのだから、これもそう悪い話ではないはずだ。
今のイスラエルやヨルダン、シリア・レバノンなどの諸国家も、第一次大戦前まではオスマントルコ帝国領の一部だった。それが英国の三枚舌外交によって英仏の勢力圏に分割され、今の諸国家誕生に繋がった。その国家の枠組みを一部入れ替えるだけだ。こうする事で、ヨルダンも、ハシム王家の専制国家に過ぎない今のハシミテ王国から、名実ともに全パレスチナ人の国家に生まれ変わる事になる。
この場合も、イスラエルは、ヨルダンへの移住を決断したパレスチナ人に、損害賠償をしなければならない。無一文のまま有無を言わさず放り出されたら、そりゃあパレスチナ人が怒るのも当然だ。移転に伴う補償をちゃんと行えば、パレスチナ問題もここまでこじれる事はなかったのではないか。
今述べた三つの案は、あくまでも個人的な代替案だ。「自分の国を持ちたい」というユダヤ人の悲願と、パレスチナ人の生存権保障を同時に実現しようとするなら、無理にパレスチナの地を分割しなくても、他にも色んな選択肢があったのではないか?何故なら、ユダヤ人が望むものはあくまでも「自分たちの独立国家」であって、ユダヤ教の聖地はその象徴に過ぎないからだ。ユダヤ人とパレスチナ人の共存が不可能なら、もう別の地にユダヤ国家を作るしかない。
それを示す為に敢えてこの代替案を提示した。でも、国際社会はそれすら選択せず、あくまでもパレスチナでのイスラエル建国にこだわり続けた。その結果どうなったか。イスラエルは分割案よりも更に広い土地を今も占有し続けている。パレスチナ人に与えられたのは、形だけのパレスチナ自治区と、イスラエルによる軍事占領だけだった。
今回ハマスが襲撃したイスラエルの村々は、パレスチナとの二国家共存を支持する人の割合が比較的高かった地域だ。ガザが経済封鎖される前は、ガザのパレスチナ人とも日常的な交流があった地域だ。そんな地域に対しても、ハマスは容赦なく憎しみの刃を向けた。そこまで憎しみ合っている状態では、もはや二国家共存なぞ絵空事に過ぎない。
しかし、ハマスをここまで追い詰めてしまったのも、元はと言えば、イスラエルが1993年のオスロ合意を反故にして、以後もパレスチナ人に嫌がらせを続けてきたからだ。2000年に、当時のイスラエル首相シャロンが、イスラム教の聖地「岩のドーム」を訪問して、「ここはイスラエルの地だ」と挑発したからだ。先述の「沈黙を破る」などの市民団体の努力をも無にしかねない、今回のハマスの蛮行は到底許す事は出来ないが、そのきっかけを作ったのは、あくまでイスラエルだ。
国連は北朝鮮によるミサイル発射を安保理決議違反と断じ、同国に経済制裁を発動している。ならば、イスラエルによるヨルダン川西岸の軍事占領やガザ侵攻についても、同じ国連安保理決議違反として、経済制裁を発動すべきではないか。トルコも日本と同じ西側同盟国で、NATO(北大西洋条約機構)にも加盟しているが、今回のイスラエルのガザ侵攻については堂々と批判している。日本も、平和国家を任ずるなら、これぐらい強い態度に出るべきではないか。
欧米諸国がイスラエルに甘いのは、かつてのナチのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)やそれ以前のユダヤ人迫害に対する負い目があるからだ。しかし、今イスラエルがパレスチナ人に対してやっている事こそが、ナチのホロコーストと同じではないか。このイスラエルの蛮行を止めるためには、国際社会が結束して、イスラエルに対する経済制裁に踏み切らなければならない。日本政府もそれぐらいは呼び掛けるべきではないか。いつまでもイスラエルを甘やかしてはいけない。
追記
イスラエル建国の地の候補に、エチオピア・ヨルダン・パレスチナと三箇所上げたが、それ以外にドイツ・イギリスも追加しておく。その理由は、パレスチナ問題がこじれるきっかけを作ったのが、この二カ国だからだ。イギリスは前述の三枚舌外交、ドイツはナチのホロコーストによって。だったら、その責任も、この二カ国が領土割譲の形で最後まで負うべきだろう。