アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

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 アフガン・イラク戦争も金正日もNO!!搾取・抑圧のない世界を目指して、万国のプレカリアート団結せよ!

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会社に挑戦状を叩きつける事にした

2015年09月30日 22時06分11秒 | 職場人権レポートVol.3


 戦争法の強行採決で全国各地で抗議デモが吹き荒れている間も、職場ではまた新たな動きが始まっています。
 次々と押し寄せてくるベトナム人バイトに対して、社員はバイトに丸投げするばかりで、全然自分から積極的にベトナム人とコミュニケーションを取ろうとはしない中で、バイト教育を一方的に押し付けられ、ふてくされるだけだった私ですが、そのうちに「ある事」に気がつきました。
 それはどういう事かというと、「日本語の方がベトナム語よりもはるかに教えやすいのではないか?」という事です。

 よく、「外国人にとって日本語は覚えるのが難しい」と言われますが、それは「平仮名」「カタカナ」「漢字」と文字を三種類も覚えなければならず、しかも、覚えなければならない漢字は無限大にあり、おまけに「訓読み」と「音読み」の両方を覚えなければならないからであって、そこさえクリアしてしまえば、むしろ発音などはベトナム語なんかよりはるかに簡単ではないか。
 だったら、マニュアルの漢字に全部ルビをふり、文章も小学校高学年ぐらいの子供でも分かるような表現にして、懇切丁寧に教えていけば、仕事を教えるのも、そんなに難しい話ではないのではないか。それを、うちのボンクラ社員どもは、島国根性に侵され外国人と見ると怖がって近寄ろうともせず、「きちんと教えるなんて無理だ」と最初から決めてかかって、ぞんざいな教え方しかしなかった為に、外国人バイトのミスに振り回されるようになってしまったのではないか。

 だって、よく考えてご覧なさい。日本語の母音は「アイウエオ」の5つしかないのですよ。後の「カキクケコ」や「サシスセソ」は、全て「アイウエオ」に子音がくっついただけです。平仮名だけなら全部合わせても50文字しかありません。発音も、フランス語や中国語のような複雑な形の物はありません。せいぜい「キャキィキュキェキョ」や「ビャビィビュビェビョ」「ピャピィピュピェピョ」程度でしょう。
 ところが、他の外国語はどうでしょう。ドイツ語やスペイン語はローマ字読みでも大体通じますが、英語やフランス語はそういう訳にはいかないでしょう。handkerchief(ハンカチ)やdebut(デビュー)をちゃんと読める人は一体何人いるでしょうか。中国語のピンイン(pinyin:ローマ字表記の発音記号)に至っては、一体何人の人が読めるでしょうか。

 そういう意味では、ベトナム語の発音も、日本語やドイツ語よりも、むしろ中国語やフランス語に近いのではないでしょうか。ドイツ語の「角ばった」発音に比べ、フランス語の発音は流れるように耳に優しく響きますが、これは「それだけ発音が複雑で難しい」という事でもあります。
 元々は漢字由来の言語で、例えば「カムオン」(感恩=ありがとう)に見られるように、発音にもその名残が見られるベトナム語ですが。フランスの植民地時代にはローマ字を使用するようになり、こと文字だけに限って言えば、一見、日本語よりもはるかに易しそうな言語ですが、実は母音だけでも11もあるのです。
 例えば、同じAでも、日本語では「あ」の発音だけですが、ベトナム語では6つもあるのです。これは、同音異義語も6つあるという事です。日本語では、同音異義語と言っても、「雲」「蜘蛛」や「雨」「飴」の2つか、せいぜい「橋」「端」「箸」の3つぐらいでしょう。それがベトナム語では、同じ「マー」でも「お母さん」「馬」「幽霊」など6つもあるのです。それぞれ発音が微妙に異なり、アルファベットにもアクセントやコンマや髭(ひげ)や帽子みたいな記号をつけて区別していますが、外国人にはその違いを見分けるのがなかなか難しいようです。

 また、「日本語は文字だけでなく敬語表現も難しい」とも言われますが、それは何も日本語だけに限った話ではありません。ベトナム語だって、同じ「あなた」でも、相手が「自分よりも年上か年下か」「男か女か」の違いによって、6つぐらいの言葉に分かれます。私も少しベトナム語を勉強し始めていますが、今の私にとっては、日本語よりもべトナム語の方がはるかに難しいです。




 以上、くどくどと書きましたが、何が言いたいかと言うと、「日本語でベトナム人バイトに仕事を教えるのも、そんなに難しい話ではないのじゃないか」という事です。外国人と言っても、全然日本語が喋れない訳ではありません。たとえ片言でも一応会話はできるし、平仮名・カタカナ・数字も一通り読めます。障害になっているのは漢字の読み書きだけです。
 元々は優秀な人たちなのです。わざわざ異国まで来て、片言でも異国の言葉が喋れるのですから。今の私に、果たしてそこまで出来るかと問われれば…。
 だったら、マニュアルの漢字に全部ルビを打ち、文章も小学校卒業生なら分かる程度まで易しくすれば、何とか仕事を教える事ができるのではないかと考えました。本当はもっと易しくしなければならないのでしょうが、そこはやはり業務マニュアル。どうしても限界があります。

 それをウチの社員と来たら、横着かまして適当にしか教えようとしないから、今までだったら考えられないような事故やミスが頻発するようになったのではないか。この前も、社員の一人が朝礼で、「これ以上ミスを起こしたら発注元から仕事を切られる」みたいな事を言って、私たちバイトを脅しつけていましたが、何の事はない、全部自分らがまいた種じゃないか。今まで散々、業務改善も人材育成もサボり倒して、「下請けだから何もできない」と言い訳して、実際は「自分が何もしない」だけなのに、さも「下請けの宿命」みたいに言って、今まで横着かまして誤魔化してきたツケが吹き出してきただけじゃないか。
 この私の自作のマニュアル集にしても、社員が誰もやってくれないから、私が自宅のパソコンで作って作業場に掲示するようになったのだが、これも本来は社員がすべき事じゃないか。作業場で皆が見れるようにする為に、漢字には全てルビを打って、A3サイズにカラーで拡大コピーまでして、一体どれだけの時間と金がかかったと思っているのか。




 そう考えると、今のバイトの待遇でいつまでもこんな事ばかりやるのはバカらしくなってきたので、ついに明日、社員登用試験に応募する事にしました。
 自分で言うのも何ですが、実は今までも社員登用試験の受験を勧められてはいたのです。でも、「もう若くはないのだし、今更こんなブラック企業、ド底辺企業の社員になった所で、名ばかり正社員としてこき使われるだけじゃないか」という事で、今までずっと断って来たのです。しかも、私の場合は、過去に社内で組合活動みたいな事をやって、会社からも目をつけられているし、それをまた面接でネチネチと蒸し返されるのも嫌なので、ずっと断ってきました。
 でも、せっかく、そういう風に声をかけてくれているなら、むしろ「渡りに船」じゃないか。業務改善や労働条件の改善を図るにも、バイトよりも社員になった方が、はるかにやり易いはずだ。社員はバイトとは違い、そう簡単にクビにはできないのだから。その一方で、社員としてサービス残業を押し付けられたりもするかも知れないが、そんなモノ堂々と断れば良い。もし、それで会社とこじれて裁判になっても、会社の方が労基法違反で100%負けるのだから…。

 そのようなアドバイスも、各方面から既にいただいていました。
 そこで、社員登用試験の応募用紙には、まず自分の「売り」として、外国人向けのバイトマニュアルの事を紹介した後で、「今後は社員も、外国人をただこき使うだけでなく、雇う以上は、相手国の文化や歴史についても学べ」と書きました。ベトナム人を雇う以上は、少なくともベトナム戦争の歴史や、独立の英雄ホーチミンの名前ぐらいは、社員なら当然知っておくべきでしょう。
 そして、「無能で無気力で無責任な社員が余りにも多すぎる。それもこれも、会社が奴隷根性・下請け根性に侵され、人材育成をお題目としては唱えるものの、実際には社員から自主性や考える力を奪い取り、ただの手駒として使い捨てにしてきたからだ。私は、そんな会社に一矢報いる為に、敢えて社員登用試験に応募したのだ」という意味の事を書いてやりました。
 もし私が社員になっても、別に社員になったからと言って、サービス残業を受け入れたり、誰かさんみたいにバイトを急き立てたりはしないつもりです。私は私で、今まで通り、マニュアルを作ったりして、沙悟浄(カッパの井下w)や猪八戒(ブタの崖淵w)や孫悟空(サルの野ブタw)とはまた別の形で、会社に貢献すれば良いと思っています。根性論や精神論を振り回すだけなら、どんなバカでもできる。私まで、そんなバカの真似をする必要はないでしょう。

 どうせ、こんな会社の事ですから、面接でも、「払った給料分以上の働きをしろ」と、カサにかかった態度に出てくるでしょうが、その時こそ、今までマニュアル作成などに費やした時間と労力に見合うだけの賃金を請求してやろうと思っています。今更、会社におべんちゃらする気はサラサラ無いです。こんなプチ・ブラック企業に対しては、むしろ「未払賃金を請求してやる」ぐらいの気持ちで臨まないといけないと思います。「貸した金は返せ」とうそぶくサラ金に対し、「こちらこそ、払いすぎた利息を返せ」と過払い金請求するぐらいの気持ちでなければ。はっきり言って、今でも、下手な社員よりも私の方が、よっぽど会社に貢献しているのですから。もし、それで面接に落ちても、元の鞘に納まるだけで、私にとっては全然損にはならないのですから。
 見ようによっては、「火中の栗を拾う」形になるかも知れない、この私の挑戦ですが、はたして吉と出るか凶と出るか。続報をお楽しみにw。
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転載:安保法案 どさくさ採決は認めない 東大名誉教授ら賛同呼び掛け(東京新聞)

2015年09月24日 21時13分50秒 | 戦争法ではなく平和保障法を


安保法案 どさくさ採決は認めない 東大名誉教授ら賛同呼び掛け(東京新聞)

 与野党議員がもみ合いになる中で安全保障関連法案を可決した十七日の参院特別委員会の議決は「参院規則の表決の要件を満たしていない」などとして、東京大の醍醐聡(だいごさとし)名誉教授(会計学)らは、議決がなかったことの確認と審議続行を参院議長や特別委員長に申し入れようと、市民に賛同を呼び掛けている。二十日午前十時半ごろ集め始めたインターネットの署名への賛同は二十二日午前一時までに六千百筆を超え、政府与党への批判が急速に広がっている。 (西田義洋)

 十七日の参院特別委では、民主党が提出した鴻池祥肇(こうのいけよしただ)委員長の不信任動議が与党などの反対多数で否決された直後、鴻池氏が委員長席に着席。野党の議員が採決を阻止しようと、一斉に委員長席を取り囲み、与党議員と押しくらまんじゅう状態になった。

 安保法案の質疑打ち切り動議が与党などの賛成多数で可決され、野党議員の「やめろ」「無効だ」の叫び声が上がる中、安保法案は与党などの賛成多数で可決されたという取り扱いになっている。

 しかし参院規則では、議長が採決する時は議題を宣告した上で、賛成議員の起立で多数か少数かを認定し、結果を宣告すると規定されている。翌十八日には弁護士有志二百二十五人が「法的にみて議決とは認められない」と、議決がなかったことの確認と審議再開を参院議長らに要請した。

 醍醐氏も「参院のインターネット中継やテレビ中継で見る限り、委員長の議事進行の声を委員が聞き取れる状況になかったことは一目瞭然。委員長も動議提出の声を聞き取り各委員の起立を確認できる状況になかった」と指摘。「未定稿の速記録でも『議場騒然、聴取不能』と記されるのみで、議事進行を促す委員長の発言も質疑打ち切り動議の提案も記されていない」と批判している。

 醍醐氏が十八日、参院事務局に「鴻池氏は自席で起立した委員を確認できない状況で、どうして賛成多数を認定できたのか」などと問い合わせたところ、事務局の担当者は「委員長は見えたんだと思いますよ」などと回答したという。

 醍醐氏は「このようなあまりに理不尽な状況が既成事実としてまかり通るのを見過ごすことはできない」としている。署名活動の賛同者からも、「議事録に記録されていない議事は、存在しない」などの意見が寄せられているという。

 申し入れは今国会会期末の二十七日までに提出する。会期末まで時間が切迫していることから、賛同の署名はインターネットのみで受け付ける。締め切りは二十五日午前十時。署名のURLは、http://netsy.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/post-6f5b.html(転載ここまで)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015092202000133.html

 転載ばかりで、しかも今回は署名締め切り間際の告知となってしまい、非常に申し訳ありませんが、こちらも重要な情報だと思いますので。
 次の選挙を見据えて、戦争法廃止・安倍政権打倒の運動を進めると同時に、戦争法そのものの違憲性・違法性も問い直していかなければなりません。あんなシドロモドロの答弁しか出来ずに、議事録にも「聴取不能」としか書けないようなデタラメな採決がまかり通るようでは、もはや日本の民主主義は死んだも同然です。
 上記の呼びかけは、今の所は醍醐氏個人によるもので、運動団体のホームページなどはまだ立ち上がってはいないようですが、早晩、他の方々からも戦争法に対する違憲訴訟が続々と提起されてくる事でしょう。私も遅まきながら署名させてもらいました。皆さんも是非ご協力をお願い申し上げます。
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転載:「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」の実現をよびかけます(しんぶん赤旗)

2015年09月20日 21時36分51秒 | 戦争法ではなく平和保障法を
志位和夫委員長の記者会見


日本共産党の第4回中央委員会総会で確認し、志位和夫委員長が19日の記者会見で発表した提案「『戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府』の実現をよびかけます」の全文は次のとおりです。

 安倍自公政権は、19日、安保法制――戦争法の採決を強行しました。

 私たちは、空前の規模で広がった国民の運動と、6割を超す「今国会での成立に反対」という国民の世論に背いて、憲法違反の戦争法を強行した安倍自公政権に対して、満身の怒りを込めて抗議します。

 同時に、たたかいを通じて希望も見えてきました。戦争法案の廃案を求めて、国民一人ひとりが、主権者として自覚的・自発的に声をあげ、立ち上がるという、戦後かつてない新しい国民運動が広がっていること、そのなかでとりわけ若者たちが素晴らしい役割を発揮していることは、日本の未来にとっての大きな希望です。

 国民の声、国民の運動にこたえて、野党が結束して、法案成立阻止のためにたたかったことも、大きな意義をもつものと考えます。

 このたたかいは、政府・与党の強行採決によって止まるものでは決してありません。政権党のこの横暴は、平和と民主主義を希求する国民のたたかいの新たな発展を促さざるをえないでしょう。

 私たちは、国民のみなさんにつぎの呼びかけをおこないます。

1、戦争法(安保法制)廃止、安倍政権打倒のたたかいをさらに発展させよう

 戦争法(安保法制)は、政府・与党の「数の暴力」で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことは絶対にできないものです。

 何よりも、戦争法は、日本国憲法に真っ向から背く違憲立法です。戦争法に盛り込まれた「戦闘地域」での兵站(へいたん)、戦乱が続く地域での治安活動、米軍防護の武器使用、そして集団的自衛権行使――そのどれもが、憲法9条を蹂躙(じゅうりん)して、自衛隊の海外での武力行使に道を開くものとなっています。日本の平和と国民の命を危険にさらすこのような法律を、一刻たりとも放置するわけにはいきません。

 戦争法に対して、圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判所長官を含むかつてない広範な人々から憲法違反という批判が集中しています。このような重大な違憲立法の存続を許すならば、立憲主義、民主主義、法の支配というわが国の存立の土台が根底から覆されることになりかねません。

 安倍首相は、“国会多数での議決が民主主義だ”と繰り返していますが、昨年の総選挙で17%の有権者の支持で議席の多数を得たことを理由に、6割を超える国民の多数意思を踏みにじり、違憲立法を強行することは、国民主権という日本国憲法が立脚する民主主義の根幹を破壊するものです。

 私たちは、心から呼びかけます。憲法違反の戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義をとりもどす、新たなたたかいをおこそうではありませんか。安倍政権打倒のたたかいをさらに発展させようではありませんか。

2、戦争法廃止で一致する政党・団体・個人が共同して国民連合政府をつくろう

 憲法違反の戦争法を廃止するためには、衆議院と参議院の選挙で、廃止に賛成する政治勢力が多数を占め、国会で廃止の議決を行うことが不可欠です。同時に、昨年7月1日の安倍政権による集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回することが必要です。この二つの仕事を確実にやりとげるためには、安倍自公政権を退陣に追い込み、これらの課題を実行する政府をつくることがどうしても必要です。

 私たちは、心から呼びかけます。“戦争法廃止、立憲主義を取り戻す”――この一点で一致するすべての政党・団体・個人が共同して、「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」を樹立しようではありませんか。この旗印を高く掲げて、安倍政権を追い詰め、すみやかな衆議院の解散・総選挙を勝ち取ろうではありませんか。

 この連合政府の任務は、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を撤回し、戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義をとりもどすことにあります。

 この連合政府は、“戦争法廃止、立憲主義を取り戻す”という一点での合意を基礎にした政府であり、その性格は暫定的なものとなります。私たちは、戦争法廃止という任務を実現した時点で、その先の日本の進路については、解散・総選挙をおこない、国民の審判をふまえて選択すべきだと考えます。

 野党間には、日米安保条約への態度をはじめ、国政の諸問題での政策的な違いが存在します。そうした違いがあっても、それは互いに留保・凍結して、憲法違反の戦争法を廃止し、立憲主義の秩序を回復するという緊急・重大な任務で大同団結しようというのが、私たちの提案です。この緊急・重大な任務での大同団結がはかられるならば、当面するその他の国政上の問題についても、相違点は横に置き、一致点で合意形成をはかるという原則にたった対応が可能になると考えます。

 この連合政府の任務は限られたものですが、この政府のもとで、日本国憲法の精神にそくした新しい政治への一歩が踏み出されるならば、それは、主権者である国民が、文字通り国民自身の力で、国政を動かすという一大壮挙となり、日本の政治の新しい局面を開くことになることは疑いありません。

3、「戦争法廃止の国民連合政府」で一致する野党が、国政選挙で選挙協力を行おう

 来るべき国政選挙――衆議院選挙と参議院選挙で、戦争法廃止を掲げる勢力が多数を占め、連合政府を実現するためには、野党間の選挙協力が不可欠です。

 私たちは、これまで、国政選挙で野党間の選挙協力を行うためには、選挙協力の意思とともに、国政上の基本問題での一致が必要となるという態度をとってきました。同時に、昨年の総選挙の沖縄1~4区の小選挙区選挙で行った、「米軍新基地建設反対」を掲げての選挙協力のように、“国民的な大義”が明瞭な場合には、政策的違いがあってもそれを横に置いて、柔軟に対応するということを実行してきました。

 いま私たちが直面している、戦争法を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義をとりもどすという課題は、文字通りの“国民的な大義”をもった課題です。

 日本共産党は、「戦争法廃止の国民連合政府」をつくるという“国民的な大義”で一致するすべての野党が、来るべき国政選挙で選挙協力を行うことを心から呼びかけるとともに、その実現のために誠実に力をつくす決意です。

 この間の戦争法案に反対する新しい国民運動の歴史的高揚は、戦後70年を経て、日本国憲法の理念、民主主義の理念が、日本国民の中に深く定着し、豊かに成熟しつつあることを示しています。国民一人ひとりが、主権者としての力を行使して、希望ある日本の未来を開こうではありませんか。

 すべての政党・団体・個人が、思想・信条の違い、政治的立場の違いを乗り越えて力をあわせ、安倍自公政権を退場させ、立憲主義・民主主義・平和主義を貫く新しい政治をつくろうではありませんか。(転載ここまで)

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-09-20/2015092001_01_01_1.html

 今までは、「野党結集」と言っても、橋下の様な輩が「自民党と似たり寄ったり」な事しか言わなかった。だから、無党派が政治に愛想を尽かして棄権に回り、安倍がしたい放題出来たのだ。しかし、これを機に野党が戦争法廃止で「真に民衆の味方」として立ち直り、棄権に回っていた無党派層が一斉に反自民に投票する様になれば、今度こそ「真の政権交代」が実現する!
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転載:「さあ、廃止に向けてまた民主主義始めなきゃ」声明(あすわか)

2015年09月19日 21時20分47秒 | 戦争法ではなく平和保障法を
「さあ、廃止に向けてまた民主主義始めなきゃ」声明

~安全保障関連法案の強行採決に強く抗議っていうかむしろ拒否!~

 本日、集団的自衛権の行使を具体化する安全保障関連法案が、参議院本会議にて可決成立しました。私たち「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、この歴史的な権力の暴挙に心の底から怒り、抗議します。

 思えば安倍政権の最大の特徴は、いつだって「民意に対する敵意とおそれ」でした。国民と国会からあらゆる情報を隠すための特定秘密保護法は、国民が自分の頭で考えることができない社会とおよそ議論ができなくなる国会を作るために作られました。次に、突然、「戦争放棄を宣言する憲法9条は、日本と何らかの関わりがある他国間の戦争への参加を認めている」と、およそ解釈とはいえない解釈改憲を閣議決定しました。
 そして、今日。

 なぜ戦争を放棄して平和国家として積み重ねた70年間の歩みを方向転換して、先制攻撃も辞さない好戦的な国家へと変わらなければならないのか、私たちは理解できません。「安全保障環境が厳しさを増している」と政府・与党は物知り顔で繰り返し、戦争放棄をただの理想論かのように冷笑します。けれども、ホルムズ海峡が封鎖されることが現実的にあり得ないことは首相自身が認め、最大の貿易相手国である中国が侵略してくるなんて話も、ちょっと考えればファンタジーでしかないことは誰の目にも明らかです。
 国家と国家がもはや後戻りできないほど複雑に依存し合い、絶えず人々が行き交うこの国際社会の現実は、紛争を軍事力で「解決」できるなどという発想こそ時代遅れで、むしろ「対話」での歩み寄りこそが唯一最善の方法であることを教えてくれているように思えます。
 理論の上でも、集団的自衛権の行使はまぎれもない武力行使であり憲法9条に違反し、圧倒的な数の研究者・法律家によるいまだかつてない猛烈な批判が、同法案の破綻を暴いています。

 「対話」に価値を見いださない政権は、民主主義そのものをも、否定しました。野党からの質疑にはまともに答えず、また不誠実な議事運営を繰り返し、議論を拒否する姿勢を見事に貫いたのです。理性、知性、あるいは誠意。そのすべてをかなぐり捨ててまで法案を成立させた政府が、「国民の命と暮らしを守るための法律」「国民の理解が進むよう努力を重ねていきたい」と胸を張る姿は、グロテスクなまでの光景です。
 憲法を自分たちに都合のいいように読み、真摯な議論もないまま多数決で法案を成立させる政権には、立憲主義への理解も、民主主義への理解もなく、私たちは法律家としてこの暴力的な政権を断じて許すことはできません。

 国会を包囲した皆さん。
 勇気を持って議員にFAXを送った皆さん。
 思い切って街でプラカードを手にしてみた皆さん。
 まさか政治のことなんかで自分が涙を流すなんて、という思いで目を真っ赤にしている皆さん。
 言葉では言い表せないほど、悔しい。私たちも同じです。
 「戦争法案」は成立してしまった。
 でもまだ、自衛隊は「派兵」されていない。
 まだ、自衛隊は一発も銃を撃っていない。
 私たちには、まだいくらでもこの国の民主主義と平和を取り戻すチャンスがあります。

 この国の行方を決める最終的な決定者すなわち主権者は、私たち国民です。国民から逃げ続け、民意を軽視する議員さんに、私たちの想いを託すことはできません。
 皆さんが、来年の参議院議員選挙で、国民の声を誠実に聞き、憲法によってしばられていることを深く自覚した議員さんをたくさん当選させれば、戦争法の運用を止めることができます。戦争法を実行に移すための細かい施行規則の作成も、派兵のための国会承認も、阻めるでしょう。戦争法の廃止は、そこからスタートです。

 立憲主義は破壊された?
 民主主義は破壊された?
 そうかもしれません。
 もし、12万人で国会を包囲した時の高揚を忘れてしまうなら、もう終わりかもしれない。
 もし、「ごめんね、がんばったんだけど」と子どもに言い訳をしてまた慌ただしい日常に戻り、この数ヶ月のことを忘れてしまうなら、もう終わりかもしれない。
 こんなことでは終われない!
 終わらせるわけにはいかない!でしょう?

 憲法12条はいいます。「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」
 69年前から、まるで今日のこの光景を見越していたかのようなメッセージは、悔し泣きしてる場合じゃないよ、と私たちの背中をパシっとたたきます。
 私と、大切な家族、そしてかけがえのない子どもの自由と、平和な明日を守るために。誇りある人間として、この国で生き続けるために。
 さあ、今からまた、民主主義、始めましょう。

 「あすわか」450名は、このままでは終わらせない主権者の皆さんと共に、これまでにない豊かで深い戦後デモクラシーをこの手で作り上げるために、不断の努力を続けます。


                         2015年9月19日
                        「明日の自由を守る若手弁護士の会」
                            共同代表 神保 大地
                               〃   黒澤 いつき

http://www.asuno-jiyuu.com/2015/09/blog-post_19.html
※「あすわか」=「明日の自由を守る若手弁護士の会」の略称。
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今年のエイサー祭りは渡船に乗って

2015年09月16日 21時23分31秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ


 9月13日は、16時から大阪の靭(うつぼ)公園で戦争法案に反対する集会とデモに参加したのですが、それまで間があり、せっかくの休日でもあったので、大正区のエイサー祭りにも顔をのぞかせて来ました。エイサー祭りは2010年にも参加した事があり(当時のブログ記事)、その時はJRと市バスを乗り継いで行ったのですが、渡船を使えばもっと短い距離で行ける事が分かりました。今まで渡船に乗った事がなかったので、今回はそれに乗って行く事にしました。

 南海電車の各駅停車で、いつもは素通りする岸里玉出(きしのさとたまで)で汐見橋線に乗り換えます。
 この汐見橋線ですが、昔は高野山に向かうメーンルートでした。今でも、正式には南海高野線の一部として扱われています。汐見橋線というのは、あくまでも通称でしかないのです。
 ところが実際は、もう大分以前から赤字の盲腸路線と化していました。今はもう線路も高野線とは完全に切断されています。昔のメーンルートのなごりで、今でもほぼ全区間が複線のままですが、実際は2両編成の電車が、30分に1本の機(はた)織り運行でわずかな乗客を運んでいるだけです。私が乗った時も、2両合わせても数人しか乗っていませんでした。
 それでも、この超閑散路線が廃止を免れてきたのは、地下鉄なにわ筋線延伸問題との兼ね合いがあるからです。関空特急のラピートを地下鉄に乗り入れるのに、この路線が必要だからです。でも、仮にそれが実現するとしても、もっと先の話です。それまで汐見橋線が命脈を保てるかどうか、かなり微妙な状態にあります。今はもう、沿線の津守(つもり)駅のすぐそばに、以前このブログでも反貧困教育の記事で取り上げた府立西成高校があり、同校の通学生の利用があるのと、阪神なんば線への乗換客の利用も一定見られる事で、何とか廃止を免れている状態です。



 その汐見橋線を前述の津守(つもり)で降りて、線路に沿って500メートルほど歩けば、落合上(おちあいかみ)の渡船乗り場に着きます。乗り場には待合室が設けられ、時刻表や乗り降りする際の注意事項などが掲げられていました。通路も黄色のセンターラインを境に乗船、下船の区別がされています。うっかり左の下船側に立っていた私は、乗船時に船の操縦者に注意されてしまいました。



 大正区の周囲を流れる木津川と尻無(しりなし)川には、貨物船が航行するので、生活道路の橋がかけられないのです。川にかかっているのは、はるか高い所にかけられた自動車専用道路の橋だけです。その生活道路の橋の代わりに、大阪市建設局が渡し船を運行しているのです。船は公道の一部なので、無料で誰でも乗れます。但し、乗せる事ができるのは人と自転車だけで、単車は乗せる事ができません。



 大正区周辺の前述の2つの川には現在、左から右へ反時計回りに、甚兵衛(じんべえ)、千歳、船町、木津川、千本松、落合下、落合上と、7つの渡船場があり、その他に、此花区と港区の間を流れる安治川にも天保山の渡船場があります。いずれの渡船場も、ほぼ15分に1本の割で、両岸をほぼ1分で渡しています。乗客数も、さっきの汐見橋線とは違って、いつも満員に近い数を乗せています。私が乗った落合上の渡船場(上記地図の黄色で示した所)は、木津川の最も上流にあります。渡船場を降りたら、もうすぐそこがエイサー祭り会場のグラウンドがある千島公園です。



 その大正区ですが、私はつい最近まで、大正時代に埋め立てられて街ができたと思っていたのですが、そうではなく、既に江戸時代には新田開発が盛んに行われていたようです。大正区の名前の由来も、JR大正駅近くにある大正橋から取ったもので、大正時代とは何の関係もありません。明治以降になると、造船や鉄鋼、製材などの工場が次々と進出し、沖縄から多くの人が職を求めてやって来るようになりました。今でも大正区民の4人に1人は沖縄出身者です。エイサー祭りも、元々は沖縄の盆踊りとして伝えられてきたものが、大阪でも沖縄の文化や伝統を絶やさないように、40年ほど前からずっと取り組まれてきたのです。
 上記は大正時代の区内の地図ですが、縦横に運河が走り、今の区役所や千島公園のある場所には貯木場の池が広がっていました。その運河や池を埋め立てて今の街が作られたのです。当時も今と同じ場所に落合上の渡船場があったので、地図上の同じ地点に赤と黄色で印をつけてあります。今の地図と見比べてみると、街が大きく変わってきた様子が分かります。
 


 今までのJR、市バス経由の回り道ではなく、渡船経由の最短ルートでエイサー祭りに行ったのですが、汐見橋線が30分に1本のダイヤなので、会場に着いたら既に14時近くになっていました。そこでようやく昼食のありつけると思ったら、既に屋台には長蛇の列!
 ようやく沖縄のソーキそばにありつく事が出来ましたが、1杯700円もするとは!以前行った時には確か1杯500円だったのに!付け合せで買った1パック300円の白身魚フライも、味はただのミンチカツみたいな感じでした。でも、そうやってわざわざ苦労してでも、ソーキそばは食べるだけの価値があります。うどんダシのような淡白なスープに、縮れ麺のような噛みごたえのある麺が、非常によく合っていて美味しかったです。
 その他に、前回食いそびれたトルネードソーセージなども食べたかったのですが、16時には靭公園に行かなければならないので、もう買わずに会場を少し散策するだけにしました。



 沖縄といえば、やはり米軍基地の問題を避けて通るわけには行きません。今も沖縄では普天間基地の辺野古移設問題で大きく揺れています。エイサー祭りの会場の一角でも、「沖縄の米軍基地の一部を大阪が引き取ろうとする動きについて、どう思うか?」という展示がされ、誰でも自由に意見が書き込めるようになっていました。全国の0.7%の面積しかない沖縄に、全国の75%の米軍基地が集中している現実。「日本本土の平和や繁栄は、沖縄の犠牲と引き換えに成り立ってきた」と言っても過言ではありません。沖縄の人々は、本土の基地賛成派に厳しい目を向けるだけでなく、基地反対派に対しても「口先だけの反対に終始してきただけでは?」「沖縄の苦労を本当に分かっているのか?」と、厳しい視線を投げかけてきました。
 でも、それでもやはり、「沖縄にいらない物は本土にもいらない」と、声を上げるしかないと思います。でないと、大阪市内の阿波座から堺筋本町までがスッポリ入る普天間基地をたとえ大阪に持ってきたとしても、今度は大正区の沖縄の人々が墜落事故や基地犯罪の危険にさらされるだけではないですか。



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「武器を持たすな 希望を持たせろ」―9.13戦争法案に反対する関西大行動の記録

2015年09月15日 22時27分19秒 | 戦争法ではなく平和保障法を


 9月13日に大阪の靭(うつぼ)公園で開催された戦争法案反対の集会とデモに参加してきました。これはその時の記録です。
 当日は、大正区のエイサー祭りに立ち寄ってから靭公園に来たので、集会開始時刻に間に合うか不安でしたが、何とか定刻の16時前に会場に到着する事が出来ました。
 会場付近ではホームレス支援雑誌「ビッグイシュー」の街頭販売が行われていました(写真左上)。9月1日号の「ビッグイシュー」は戦争法案反対特集号です。雑誌の裏表紙を掲げると、そのまま「NO WAR!」のプラカードとして使用できるようになっています。私も一冊購入しました。

 集会は16時きっかりに始まりました。まず最初に、主催グループを構成する各団体の紹介がありました(同じく右上)。各団体の名称は次の通りです。
 (1) SEALDs KANSAI(シールズ関西=自由と民主主義を守る関西学生緊急行動)、(2) T-ns SOWL WEST(ティーンズソウル・ウエスト):高校生の団体。名称は「Teens Stand up to Oppose War Law(戦争法案に反対するために立ち上がった10代)」の略。(3) Gra×Ri(ぐらり):障害者の団体。(4) しーこぷ(滋賀):会の名称はShiga(滋賀)、Constitution(憲法)、Peace(平和)の頭文字から取ったそうです。(5) SAY NO WAR Demo(セイノーウォーデモ、京都)、(6) NON STOP KYOTO(ノンストップ京都)、(7) 泉州サウンドデモ(大阪)、(8) SADL(サドル=民主主義と生活を守る有志)、(9) 戦争法案に反対する神戸デモ実行委員会(兵庫)、(10) 戦争法案に反対するNARA青年の会(奈良)、(11) WAVEs(ウェイブズ、和歌山)。



 そして、各団体からの挨拶(あいさつ)。その中でも、とりわけ印象に残った挨拶を、ここに紹介しておきます。
 まず、SEALDs KANSAI(シールズ関西)―「なぜ、他国の戦争に介入する事が平和を守る事になるのか?なぜ、日本の防衛が手薄になるのも承知の上で、米軍の肩代わりをしなければならないのか?」
 Gra×Ri(ぐらり)―「戦争になれば障害者や少数派の人権が真っ先に抑圧される。そうさせない為にも、おかしい事はおかしいと、はっきり声を上げて行かなければならない」
 T-ns SOWL WEST(ティーンズソウル・ウエスト)―「今、高校3年生として受験勉強に専念しなければならないが、奨学金をもらわなければ進学できない可能性もある中で、卒業後の返済免除と引き換えに自衛隊に勧誘され、命を差し出さなければ勉強もできないような世の中にはしたくない」(左上写真。右上写真もティーンズソウルの高校生)

 その後、会場に駆けつけて下さった野党の現・前国会議員の紹介へと続きます。民主党の尾崎さんや尾辻かな子さん、共産党の清水ただしさん。遅れて共産党の倉林明子さんも、京都での昼の戦争法案反対集会が終わった後、駆けつけて下さいました。いずれの議員さんも、この戦争法案について、政府は「平和安全法制」、マスコミは「安保法案」と呼んでごまかしていますが、「日本を取り巻く環境が厳しさを増していると政府は言うが、自衛隊機のスクランブル(緊急発進)回数はむしろ東西冷戦時代よりも減っている」「この法案の真の狙いは、日本を守る為なんかではなく、財政赤字で今までみたいに軍備に金をつぎ込めなくなった米国の代わりに、地球の裏側まで自衛隊を派兵させる所にある」という事を仰っていました。



 今回の戦争法案反対デモには高校生や10代、20代の若者も多数参加しています。「それな、とりま(とりあえず)廃案」のプラカードなどは完全に今の高校生のノリです(左上)。それに混じって、お馴染みの「アベ政治を許さない」(右上)や、沖縄の辺野古新基地建設反対のプラカードを掲げている人も多数おられました。



 「安保法案(戦争法案)に反対する学者の会」を代表して山口二郎・法政大学教授がアピール(左上)。「デモでは政治は変えられない」とほざく「冷笑」政治家の橋下徹・大阪市長には、「いくら国会で民主主義が形だけの物になろうとも、市民がいつでも民主主義を蘇(よみがえ)らせてやる」と(左上写真)。この橋下や安倍の「上から目線」で「弱肉強食」の「独裁政治」に対しては、高校生からも「なめんなよ!」(右上)、「CHANGE THE PRIME MINISTER(首相を変えろ=安倍退陣)」との強い怒りのメッセージが。



 17時デモ出発の予定が熱気あふれる挨拶で延びて17時半に。後ろを振り返るとまだまだ長蛇の列が。後で聞くと、今回の大阪のデモには主催者発表で2万人もの人々が参加したそうです。公園を出ると、沿道からは主催グループの一つ、SADL(サドル)のサウンドカーから声援が。



 デモはいよいよ御堂筋に出て、ゴールの難波元町公園を目指します。次第に陽も落ちて街灯やネオンの灯がともり出します。上空にはマスコミの取材ヘリが轟音(ごうおん)を立てて飛び交っていました。会場にもマスコミの取材陣が多数押しかけて来ていました。にも関わらず、NHKも民放も夜のニュースでは全然取り上げず、翌日の朝刊にも13日のデモの事はほとんど載っていませんでした。載っても三面記事扱い。まともに取り上げているのは「しんぶん赤旗」と「日刊ゲンダイ」ぐらいではないか。海外メディアは、ニューヨーク・タイムスもル・モンドもAFPも、大々的に取り上げているのに。信じられないでしょうが、これが今の日本の民主主義の実態です。
 最近、デモに参加する若者が増えていますが、それ以外にも、中高年や赤ん坊を乳母車に乗せたママさんもいます(右上)。地域も大阪だけでなく関西一円から参加しています。



 私は前から二番目ぐらいのT-ns SOWL(ティーンズソウル)の人達と一緒に歩いていました。
 「戦争法案絶対反対!強行採決めっちゃムカつく!憲法守らん総理はいらん!武器を持たすな希望を持たせろ!I say 憲法 You say 守れ!憲法(主催者)守れ(参加者)!」。
 高校生はコールもアップテンポで、昔の労働組合などのデモでのシュプレヒコールしか知らない私にとっては、ついていくのが精一杯。この後に続く英語のコールに至っては、最後まで聞き取れませんでした。
 でも、こちらのコールの方が、はるかに元気が出ます。アドリブのコールも次々に飛び出します。
 「ほんま自民党感じ悪いわ!うちらの未来に自民党はいらん!今度は俺らが言う事聞かせる番だ!国民なめんな!」
 ただ、やはり「I(主催者) say 憲法 You(参加者) say 守れ!」のコールの仕方については、「デモ慣れ」していない参加者もいるのですから、コール集に載せて配布するだけでなく、ちゃんと事前に説明やリハーサルも必要だったのではないかと思います。



 すっかり陽も落ち、街は夜のとばりに包まれます。報道(PRESS)関係者の方でしょうか、背中のリュックに「CAMERA AGAINST FASCISM」(カメラはファシズムに抵抗する)のステッカーが(左上)。デモのニュースを流さず政府や警察の言い分だけをそのまま垂れ流す御用マスコミの中にも、良心的な人は確かにいる。その夜のとばりの中にひるがえる、T-ns SOWLの黄色いのぼり(右上)。



 デモは大丸の横を通り過ぎ、やがて道頓堀のグリコの看板が見える所までやって来ました。ゴールはもう目前です。



 サウンドカーからは女子高生による感動的なスピーチが。「国会や選挙だけが政治ではない!高校生や子供もこの国の立派な主権者だ!(奨学金返済などの借金棒引きと引き換えに、自分や友達の命をお国の為に差し出さなければならないような)『経済的徴兵制』なんかによって殺されて堪るか!」
 弁士には女子高生だけでなく中学三年生の男子も登場し、たどたどしい言葉ながらも、先の女子高生と同じ事を懸命に訴えていました。正に「武器を持たすな希望を持たせろ!」。

 これには後日談も少しあります。この様子をツイッターに流した後、数人のネトウヨ(ネット右翼)が絡んで来ました。いわく「経済的徴兵制なぞある訳ないだろう」「文句を言う暇があるなら返済義務のない新聞奨学生でもやれ」と。
 しかし、「経済的徴兵制」はデマでも何でもありません。現に米国がそうなっています。米国も形式上は徴兵制ではなく志願制ですが、黒人などの失業青年が、学費援助や市民権付与などの「甘いエサ」に釣られて軍隊に入隊し、イラクやアフガニスタンなどの戦地に飛ばされ、そこで精神を侵され、数十万人もの兵士がPTSD(心的外傷後ストレス障害)患者となって帰ってきています。今やイラク帰還兵の2割がPTSDを患っていると言われてます。その人たちは、もはや進学や就職の夢も断たれ、一生を障害者として過ごさなければならないのです。(参考資料1参考資料2

 政府は、「今回の戦争法案が成立しても、武力行使の新3要件で海外派兵には歯止めがかけられているから大丈夫。憲法9条違反ではない」と言っていますが、とんでもありません。「新3要件」と言っても、ものすごく表現が抽象的で、どのようにでも政府に都合よく解釈できるものばかりではないですか。
 その裏では、防衛省が「インターンシップの形で、企業が新入社員に自衛隊への体験入隊を研修で義務付け、予備役としても活用したらどうか」という提言までしているのですから。そうして、実際は「徴兵制」に近いような事を考えておきながら、あくまでも形だけは「志願制」にとどめておいて、もし自衛隊員や民間人が海外で戦死するような事態になっても、「あくまでも本人の志願による戦死であって徴兵ではない」と、国は言い逃れするつもりなのです。これは、もはや自衛隊員だけの問題ではありません。国民全体に関わる問題です。(参考資料
 そんな重大な事を安倍政権は強行採決でゴリ押ししようとしているのです。

 「新聞奨学生でもやれ」と言い放つに至っては、もはや論外です。「新聞配達しながら勉強もできる」というのは建前だけで、実際は早朝の朝刊配達と午後からの夕刊配達を終えれば、勉強する時間なぞほとんど無いのが現実です。第一、外国では貸与型(ローン)ではなく給付型(返済義務なし)の奨学金がほとんどで、高等教育の学費が無料の国が大半なのに、なぜ日本だけが、進学するのにも借金まみれにならなければならないのか?それで、国が正社員のリストラを後押しし、派遣への置き換えを推進する政策を取っておきながら、正社員になれなかった奨学生を自己破産に追い込むような真似をしているのに、なぜそれを問題にせずに、個人の意欲や能力の問題にすり替えるのか。大方「自分には金もコネもあるから関係ない」とでも思っているのだろう。ネットでシールズの悪口を言うしか能のない、武藤貴也とかいう右翼で拝金主義者で色情狂いのバカ議員のように。もう「ウヨクお花畑」と言うしかない。



 私はゴール手前の南海難波駅前でデモを抜けましたが、私が抜けた後も、続々と後ろの参加者がやって来ました。デモの先頭集団がゴールの公園に着いた時に、最後尾はまだスタート地点の靭公園で待機していたそうです。9月13日は御堂筋は完全にデモ隊で埋まりました。これでもマスコミはニュースに取り上げず、「橋下徹が引退表明を反故(ほご)にして、また次の選挙に出るか出ないか」といった話題や三面記事でお茶を濁そうとするのでしょうか。
 私が帰る時に、通行人の中に「デモ隊が道路を占領して迷惑だ」と喚いている奴が一人いましたが、「そんなに文句があるなら安倍に言えよ!」と思いました。元はと言えば、全て安倍の強行採決のせいでこうなったのじゃないか。デモ隊ももちろん、通行の確保の妨げにならない範囲で、表現の自由を行使してはいるのですが、そこはやはりデモですから、通行人に負担を強いる事もあろうかと思います。しかし、それを言うのであれば、「通行の邪魔」程度では到底済まない「人殺し」や「テロ」のリスクを国民に強いる安倍にこそ、もっと抗議をすべきでしょう。それをせずにデモ隊にばかり八つ当たりするのは、お門違いも甚だしいと思います。
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外国人労働の建前と本音

2015年09月09日 20時24分45秒 | 職場人権レポートVol.3



 前回記事「職場の外国人労働問題」に対して、「あるみさん」という読者の方からコメントをいただきました。「外国人の人たちとも、同じ労働者として、ともに団結できたら好いですね」という賛同のコメントでしたが、「あるみさん」はその中で、外国人労働者の事を「実習生」と捉えられていたので、私は「実習生ではなく、あくまでも労働者ではないでしょうか。給料も、別にピンハネされている訳ではなく、ちゃんと我々と同じ時給で支給されているようですよ」と返したら、「外国人雇用.com」というサイトの記述を紹介されました。

 そのサイトによれば、外国人が日本で働く場合は、「入管法」(出入国管理及び難民認定法)という法律に基づいて、在留資格に沿った就労ビザを取得しなければなりません。就労可能な職種や期間も個別に細かく決められています。その多くは、大学教授やエンジニア、企業経営者などの専門職や、俳優などの芸能人です。技能職も、外国料理店のコックなどの専門職に限られています。
 その中で、単純労働でも就労可能な唯一の職種が「技能実習生」です。しかし、この職種は、元々、外国に進出を予定している日本企業が、現地の工場で働く従業員や幹部を育成する為に、国内の工場で実習業務に就かせる為のものです。あくまでも、相手国に対する技術指導や育成が目的です。

 同じ事は、厚生労働省のサイトにも書かれています。厚労省のサイトによると、技能実習生制度は「技術移転を通した開発途上国への国際協力」として導入されたもので、技能の習得を目的としたもの(技能実習1号)と、習得した技能をさらに身に付ける(習熟)為のもの(同2号)の二種類があります。 
 ところが現実には、そのような技術移転や技能の習得・習熟を目的とせず、ただ単に日本国内で安くこき使ったり、人材不足の穴埋めとして使うためだけに、誰でも出来る単純労働を、日本語も満足に喋れない外国人にさせる事が横行しています。これは「技能実習生」の制度を悪用したピンハネ労働に他なりません。
 もちろん、来日外国人が、入国後の状況の変化によって、新たに就労の必要に迫られ、それが認められる場合はありますが、これはあくまでも、留学生のアルバイト等の例外的な場合だけです。少なくとも、技能実習生が、ろくに必要な実習も受けないまま、それとは何の関係もない単純労働に就かされる理由にはなりません。

  

 外国人を安く採用しようとする企業の立場に立って書かれたサイトには、もっと明け透けな本音が述べられています。そこには、「駅から歩いて30分もかかるような交通不便な所にある勤務地でも、外国人はより好みしない」「日本人の高齢者が25%しか発揮できない能力も、外国人なら80%発揮できる」「月曜から日曜までいつでも働かせる事ができる」「外国人留学生なら従業員の雇用保険も負担しなくても良い」等々の「企業側の本音」や、「ベトナム人取扱説明書」等の人をバカにしたような言葉が書かれています。

 これではまるで「モノ扱い」です。昨今、経済の国際化、グローバル化が叫ばれ、医療や介護などの人手不足の職場に、東南アジア系の外国人を看護士や介護士として投入しようとする動きが、政治の場で議論されていますが、これも、当の外国人や相手国の事なぞどうでも良くて、完全に自国本位の、「経営者の身勝手」ともいえるものでしかありません。本当に人手不足を解消したいのなら、看護士や介護士の低賃金や劣悪な労働環境こそ改善すべきなのに、その最も根本的な原因には手をつけず。これでは、職場の矛盾を外国人にしわ寄せしているだけではないですか。こんなものは「国際協力」でも何でもない。ただ単に、相手の貧しさに付け込んで搾取しているだけだ。

 そのくせ、警察庁や法務省、入国管理局のサイトでは、「ストップ・ザ・不法就労」だとか「ルールを守って国際化」だとか言って、まるで外国人だけが悪者であるかのような宣伝を行っています。しかし、そのルールを「見せかけ」だけのものにしているのは一体誰なのか。当の日本の企業や日本社会こそが、「不法就労」に目をつむり、その上にあぐらをかいてきたのではなかったか。そうして、何か問題が起こった時だけ、外国人を悪者にして。本当は自分たちも加害者であるのに、あたかも被害者であるかのように装いながら。

 私、外国人のピンハネ労働と聞くと、最低賃金以下の安い給料で、一日十何時間も働かせるような、そんな超悪質なケースだけを想定していました。ところが実際は、そんな超悪質なケースばかりでなく、たとえ最低賃金法や労働基準法の基準をクリアしていたとしても、「技能実習生」を技術移転の目的もなく単純労働に従事させる事自体が、法律の制度を悪用したピンハネ行為、脱法行為だったのです。
 これは何も外国人労働者だけに限った問題ではありません。今の日本の派遣労働も、本来は臨時的・一時的な働き方であるはずの派遣労働を、正社員などの常勤雇用の代わりに、いつでもクビにできる「使い捨て」の労働力として使っている現実があります。外国人労働の問題も、正にその延長線上にあるのではないでしょうか。

 我々、日本人のバイトは、ともすれば、日本語もろくに喋れず、後片付けも満足に出来ない外国人のバイトを、「お荷物」「やっかい者」扱いしがちでした。でも、いくらそうやって、彼らに八つ当たりしても、何の解決にもなりません。いくらこちらが拒んでも、「経済の国際化」や「社会の少子高齢化」に伴って、外国人労働者は今後もどんどんやって来るのですから。彼らといつまでもいがみ合っていても仕方ないでしょう。
 むしろ、彼らも我々と同じ貧しい労働者に変わりはないのですから、貧しい者同士がいがみ合うのではなく、ともに団結・協力して、少しでもより良い職場にして行く道を探るべきではないでしょうか。それがどれだけ難しい事であるかは、作業指示もカタコトの日本語しか通じす意思疎通に四苦八苦している私たちバイトが一番よく知っています。それに、私たちも外国人も、いくら会社がブラック企業と言えども、とりあえずは食っていかなければならない。そう簡単に団結なんて出来る訳が無い。でも、同じ職場で働く仲間なのだから、少なくとも「八つ当たり」だけはしないように心がけようと思います。
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なにわB級グルメ探訪23 心斎橋「アンゴン」のベトナムランチ

2015年09月07日 21時32分07秒 | なにわB級グルメ探訪


 最近、うちのバイト先で働くようになったベトナム人従業員の人たち(参考記事)が普段どんな物を食べているのか知りたくなって、休日に大阪・心斎橋にある「アンゴン(ANN GON)」というベトナム・レストランを訪ねました。お店は、地下鉄御堂筋線の心斎橋駅を降り、四ツ橋筋の方に向かって歩き、阪神高速のガード手前で右に折れてしばらく行った雑居ビルの2階にあります。入口に店ののぼりや看板が出ているので直ぐに分かります。階段を上がると、もうそこには「東南アジア」のような光景が広がっていました。



 私はそこでベトナム汁麺セットを頼みました。フォーというベトナムの「うどん」とライス、漬物にデザートで合計980円です。「うどん」と言っても、日本の小麦粉のうどんとは違い、米粉から作ったビーフンのような麺です。いくつか種類があり、私は一番ポピュラーな煮込み牛肉入りの「うどん」(フォー・ボー)と、ご飯の方は海老塩ライスを選びました。 
 このベトナムのビーフンうどん(フォー)ですが、フォー・ボー(牛肉入り)とフォー・ガー(鶏肉入り)の二つが最もポピュラーで、その他にもいくつか種類があります。私が頼んだのはフォー・ボーです。味は名古屋の「きしめん」をもう少し淡白にしたような感じかな。それが、韓国冷麺のダシをそのまま温めたようなフォーのダシに、非常によく合っていました。そして、もやしや香草などの生野菜が非常に多く入っていました。ベトナム人は生野菜をたくさん食べます。フォーにも生野菜をたっぶり載せます。ベトナム人の女性にスリムな方が多いのも、このベトナム料理のレシピが微妙に影響しているのかも知れません。

 このフォーについても、実は過去に苦い体験があります。もう数十年も前の事です。ベトナム物産展か何かの屋台で、初めてフォーを食べた事があります。その時の味は、お世辞にも旨いとは言えないものでした。何か甘酸っぱいような変な味だったので、フォーを半分以上食べ残した記憶があります。
 その時の思い出があるので、私は最初は余りフォーを注文するのは乗り気ではありませんでした。でも、せっかくベトナム料理を食べるなら、最もポピュラーなフォーから食べなければ意味がないし、まずいと思い毛嫌いしていた「ちゃんぽん」が意外と美味しかった事もあるので(参考記事)、再度食べてみる気になったのです。その結果は前述の通り。これでまた一つ「好き嫌い」を解消する事が出来ました。
 
 食後に別途、アイスコーヒーを注文しました。アイス・カフェオレにベトナム・コーヒーのゼリーが入った「カフェ・サイゴン」(写真右上)です。コーヒーゼリーの味が非常に濃厚でした。これはランチとセットで注文すると割引にはなりますが、元々のセット料金には含まれていないので、合計するとランチだけで千五百円近くもの出費になりましたが、それに見合うだけの価値はあったと思います。今度訪れる時には、ゴイクン(生春巻)やバインセオ(ベトナム風お好み焼き)も食べてみる事にしましょう。






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職場の外国人労働問題

2015年09月06日 07時53分30秒 | 職場人権レポートVol.3


 私のバイト先(某スーパー物流センター業務を委託されている請負企業)では、以前から惣菜・弁当製造部門ではベトナム人労働者を大量に雇い入れて来ましたが、最近では、私の働いている日配・要冷部門にも、そういう動きが広まってきました。午後から夜間にかけての構内仕分け作業に、会社がベトナム人の作業員を大量に投入するようになったのです。
 それらの作業員は、日本語を一応喋る事ができ、文字も数字と平仮名・カタカナの読み書きは一応できます。そして、作業のやり方も、出荷先店舗の店番号と出荷個数さえ分かれば、別に商品名や店名の漢字が読めなくても、一応は出荷作業ができるようになっています。仕分けラインのパソコンで商品のバーコードを読み込めば、その商品の出荷数量がラインの棚にデジタル表示されるようになっているし、手仕分けの場合も、1品目ごとに商品がカゴに積まれ、そのカゴに挟(はさ)まれた出荷伝票のシールには店番ごとの出荷数量が表示されていますから。

 但し、作業は「ただ商品を分ければそれで良い」という物ではありません。破損や荷崩れしないように、それなりに綺麗(きれい)に積まなければなりません。それをベトナム人労働者に伝えるのが大変なのです。商品の積み方など少し細かい説明になると、もう生返事ばかりで、どこまで理解できているのか皆目見当がつきません。「細かい」と言っても、別にそんな難しい専門的な事を教える訳ではありません。(1)商品は棒積みではなく組んで積む、(2)ツラを合わせる(商品を積み上げる際は高さや幅をできるだけ揃える)、(3)違う種類同士を一つの箱に詰める際は硬い商品と潰れやすい商品の組み合わせは避ける、(4)詰め合わせしやすいように、端数は出来るだけ上の方に積む、(5)天地無用(上下指定のある箱を逆向きに積まない)、(6)空ケース等の備品はちゃんと種類別に数を揃えて所定の置き場所に保管しておく等々の、物流業界ではごく初歩的・基本的な約束事を教えるだけなのですが、その「組む」「ツラを合わせる」「詰め合わせる」「端数」などの用語や概念が理解できないようなのです。説明が一通り終わった後に「分かりましたか?」と聞くと、一応は「はい」と返事はするのですが。顔を見ると、見るからに怪訝(けげん)そうな表情をしているので、果たしてどこまで理解できているのやら。

 仕事は真面目にテキパキとこなしてくれていて、私が見る限り、指示した事はちゃんと守ってくれているのですが。こちらからコミュニケーション取ろうとしても、カタコトの日本語しか喋れないので、はっきり言って会話になりません。ちょうど私たちが、中学一年生の英語の教科書に出てくる文章ぐらいなら今でも読めて理解できても、実際の会話となると、その何十分の一も喋れないのと同じ状態です。
 だから、日常の作業指示も、「これをここに積め」程度の、ものすごく大雑把な内容しか伝達できません。「詰め合わす」「組んで積む」「端数」等の用語ですら理解が覚束(おぼつか)無いのですから。案の定、ベトナム人の大挙流入が始まってから、仕分け間違い等のミスが激増するようになりました。それも、「36番店の商品を誤って隣の37番店のカゴに積んでしまう」程度ならまだ「よくある話」と理解もできるのですが、「36番店の商品を全然場所も違う45番店のカゴに積んでしまう」と言った、従来ならまず有り得ないようなミスが頻発しているのです。作業で使用した空ケースも、何度注意しても、重ね置いたドーリー(台車)の上に無造作に置きっぱなしにしたままで。

 それで、私が社員に、「受け入れ態勢も整えずに外国人をいきなりバイトに押し付けるな」と抗議した所、「教育は社員の方でちゃんとするから、バイトは何も心配しなくても良い。何かあれば社員の方に連絡して欲しい。ただ知らん顔だけはしないで欲しい」と返されました。
 確かに、ベトナム人も同じ人間、同じ労働者、同じ職場の仲間なのだから、「押し付ける」等の「厄介(やっかい)者扱い」して差別してはいけない事は私も分かっていますが、それでも、いくら「社員が責任を取る」と言っても言葉だけで、いざ作業が始まると、何か起こって社員を呼ぼうとしても、社員もそれぞれ現場に出払っていて、一体どこにいるかも分からない。それで、ようやく社員をつかまえて指示を仰ごうとしても、日本人の普通のバイトもちゃんと使いこなせないような社員に、一体何が指示できるのか。今までも、そうやって指示を仰いでも、「それは俺の担当ではない。俺は知らん。あいつに言え」と、たらい回しにするだけだったじゃないか!ベトナム人を雇い入れ本気で育てるつもりなら、職場の朝礼でもその旨連絡なり報告があって然るべきなのに、そういう事も一切無かったじゃないか!

 なぜ、ベトナム人労働者の大量流入が始まったのか。色々、各方面に聞いた所、今時、時給900円では若いバイトはこんな所には来ないという事のようです。少々仕事がきつくても、やはり時給千円以上の所に流れてしまうのだそうです。だから、いくらバイトを募集しても、最近は中高年や外国人しか来ないのだそうです。ただ、実際は労働者としてこき使いながら、名目は実習生扱いで、最低賃金にも満たない時給300円程度の額しか支払わないと言った、露骨で違法な搾取はしていないようですが。しかし、それならそれで、ちゃんと会社が最後まで責任もってベトナム人の人たちを教育すべきではないでしょうか。これでは私たちも大変だし、当のベトナム人自身が可哀想です。

 ただ、そんな状態で数週間経つうちに、私自身も、次第にベトナム人労働者に対する見方が変わってきました。例えば、空ケースの片付けについても、最初は片付けも満足に出来ないベトナム人を見るたびに、イラっと来ていた私でしたが、次第に、そんな事で一々怒っていても仕方ないと思うようになりました。私たちが空ケースを片付けるのは、次の作業の段取りや効率を考えての事ですが、毎日が終わりじまいの派遣労働者のベトナム人にとっては、後の段取りの事なぞ自分には関係ないのです。それよりも、今目の前にある仕事を終わらせる事の方が、彼らにとっては重要なのです。その為には、空ケースを一々片付けるよりも、とりあえず目に付く所に置いておいて、いつでもまた使えるようにした方が、はるかに仕事がしやすいのでしょう。
 それが、彼らにとっての「段取り」だったのです。もちろん、それでは仕事になりませんから、後片付けの重要性も教えなければならないのですが、ただそれを「いくら言っても全然出来ない」と頭ごなしに注意しているだけでは何もならないのです。彼らがなぜそうするのか?目の前の仕事を終わらせる事も重要なのだから、それで尚且(か)つ、片付けもスムーズに行くように、もっと片付けやすいレイアウトに変える必要があるのじゃないか・・・という事も、次第に分かってきました。



 それに、今まではお互い仕事に追われ、彼らとまともにコミュニケーションを取る暇もありませんでした。しかし、そんな状態では、日本人の私たちが彼らベトナム人に何を言っても、面従腹背にしかならないでしょう。「自分たちの事を奴隷か何かのようにしか思っていないくせに、一々偉そうに色々言うな!」と。これも、相手の立場になって考えれば容易に想像がつきます。
 そこで、「まずは挨拶(あいさつ)から」という事で、上記のベトナム語会話集を作ってみました。休憩時間にネットで検索してメモしただけの急ごしらえの会話集で、相手に話しかける時間もないまま推移していますが、今度時間が空いたときにでも、「シンチャオ!(おはよう!)」と話しかけてみようと思います。ベトナム語は発音が複雑なので、どこまで通じるか分かりませんが。
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8月30日の空前のデモをマスコミはどう伝えたか

2015年09月02日 22時48分21秒 | 戦争法ではなく平和保障法を



 上記写真は8月30日の戦争法案反対一斉抗議行動の様子を伝える翌日31日の新聞記事。
 朝日(左上)と毎日(右上)は、一面左半分に国会前の写真入りで掲載し、社会面でも参加者の声や全国の取り組み、海外メディアでも大きく取り上げられた事を紹介している。それに対し、読売(左下)と産経(右下)は、一面には一切載せず、社会面でベタ記事扱い。取り上げ方も、12万人の反対デモと500人の賛成デモを同列に報じたり(読売)、デモの主張をまともに取り上げず、反対運動を暗に一部政党による扇動呼ばわりするだけ(産経)の悪質な偏向記事だった。

安保法案反対、全国で一斉抗議 国会前でも廃案訴え
朝日新聞デジタル 8月30日(日)19時59分配信

国会前で安保関連法案反対を訴える人たち=30日午後2時7分、東京都千代田区、本社ヘリから、岩下毅撮影

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する市民による抗議行動が30日、東京・永田町の国会議事堂前や周辺を埋めた。主催者発表によると、参加者は12万人で、安保法案をめぐる抗議行動では最大。参加者が歩道からあふれて、警察側が車道を開放した。市民らは国会議事堂を真正面に見据えた車道に帯のように広がり、雨の中、「戦争法案廃案」「安倍政権退陣」と叫び続けた。

【動画】国会前、名古屋、広島、那覇…広がるデモの波

 国会だけでなく、霞が関や日比谷周辺まで、プラカードやのぼりを持った人たちであふれた。警察関係者によると、国会周辺だけで参加者は約3万3千人。

 主催したのは、平和運動を続けてきた市民らでつくる「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」。5月に立ち上がった都内の大学生らがつくる「SEALDs(シールズ)」のほか、大学教授や研究者らの「学者の会」、子育て世代の「安保関連法案に反対するママの会」など、この夏に次々と出来た団体が加わり、ともに声を上げた。各地から大型バスを仕立てて参加した人たちもいた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150830-00000033-asahi-pol

<安保法案>反対の波 全国300カ所でデモ
毎日新聞 8月30日(日)21時52分配信

安保関連法案に反対する集会で、国会正門前の道路を埋め尽くす大勢の人たち=東京都千代田区で2015年8月30日午後2時8分、本社ヘリから森田剛史撮影

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する市民らの抗議集会が30日、東京・永田町の国会議事堂前であった。雨の中、学生や子供連れの親、戦争を体験した高齢者などさまざまな世代や立場の人々が正午過ぎから国会一帯を埋め尽くし、法案を廃案にすべきだと訴えた。参加者は警察当局によると3万人、主催者発表では12万人で、同法案に対する抗議活動としては最大規模とみられる。

【人、人、人…】国会議事堂周辺の様子をパノラマ写真で

 市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」主催の「国会10万人・全国100万人大行動」の一環。同団体の呼び掛けで29、30両日、抗議の集会やデモが全国47都道府県の計300カ所以上で開かれた。

 国会前で午後2時に始まった集会には野党4党のトップも駆けつけ、成立阻止に意欲を見せた。民主の岡田克也代表は「参議院での議論で法案の問題点がますます明らかになった。こんな憲法違反の法案を通すわけにはいかない。これから3週間、さらに力を貸してほしい」と呼びかけた。

 生活の小沢一郎共同代表は「今までこういう集会に顔を出したことはほとんどない。今回は何としても、いいかげんでバカげた、そして危険な法律案を阻止するためにみんなで力を合わせないといけない」と声を張り上げた。共産の志位和夫委員長は「ここまでボロボロになった『戦争法案』は廃案にするしかない」、社民の吉田忠智党首は「政党の立場を超え廃案に全力を挙げる」と訴えた。

 また、壇上でマイクを握った音楽家の坂本龍一さんは「憲法の精神、9条の精神がここまで根付いていることをみなさんが示し、勇気づけられている。憲法や民主主義を取り戻すための大事な時期で、僕も一緒に行動していく」と語った。学生団体「シールズ」のメンバーで明治学院大4年の奥田愛基さんは「憲法を守った方がいいって、変なことですかね。おかしな主張ですかね。利己的ですかね」と訴えた。

 政府・与党は来月11日までに法案を参院で採決し、数の力で成立させることを目指してきた。だが、審議は中断続きで採決は困難との見方も広がり、与野党の水面下での攻防は激化している。【樋岡徹也】

 ◇大阪でも「戦争アカン!」

 大阪市北区の扇町公園であった集会にも約2万5000人(主催者発表)が集まった。集会の呼びかけ人となった大学教授らが安保法案の廃案を求めるスピーチをした後、参加者らは「戦争アカン!」と書かれたプラカードを掲げ、市内を三つのコースに分かれてデモ行進した。大阪府箕面市の大学教員の女性(56)は「米国に追随して戦争ができる態勢をつくる法案。近隣諸国との亀裂を生むような政権の動きに危機感を覚える」と話した。【遠藤孝康】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150830-00000061-mai-soci

安保反対デモ「大きな誤解が一因」…菅長官
2015年08月31日 19時14分 読売新聞

 菅官房長官は31日の記者会見で、30日に国会周辺であった安全保障関連法案に反対するデモについて「法案は『戦争法案』『徴兵制の復活』などと宣伝され、大きな誤解が生じている」と述べ、国会審議を通じて法案への理解を求めていく考えを示した。

 主催者がデモの参加者を12万人と発表する一方、警察関係者が3万3000人としたことについては「だいぶ開きがある」と指摘した。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150831-OYT1T50073.html

安保法案反対デモ、本当の参加者数を本社が試算
2015.8.31 21:15 産経新聞

安保法案に反対する集会で、国会正門前を埋め尽くす人たち。警察車両に機動隊員が15名並んでいることからその正方形(矢印部分)を約225人と試算。白枠の正方形はその16倍となり約3600人。白枠で囲った部分全てが埋め尽くされても、国会前に集まった集会参加者は約3万2千4百人となった=30日午後(共同通信社ヘリから)

 参院で審議中の安全保障関連法案に反対する市民団体が8月30日に開いた集会への参加者数が、国会正門前は多くても3万2千人程度だったことが産経新聞の試算で分かった。国会周辺にも参加者がいたとはいえ、主催者の「戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会」が発表した12万人にはほど遠い。警察当局は約3万3千人と発表している。

 試算は上空から撮影した正門前で警備にあたっていた警察車両の前に機動隊員が15人並んでいたことを基準とした。そこに面した正方形部分(矢印)の人数を約225人と計算。白枠の正方形はその16倍で約3600人とした。9つの白枠全てが参加者で埋まっても国会前は約3万2400人となった。菅義偉(すがよしひで)官房長官は31日の記者会見で、主催者と警察当局の参加者数の違いについて「通常よりも、はるかに開きがある感じだ」と述べた。

http://www.sankei.com/politics/news/150831/plt1508310051-n1.html

 以上、8月30日の国会前や全国規模の戦争法案反対抗議行動をマスコミがどのように報じたか、翌31日の主要四紙の朝刊に限って見てみました。その結果は、やはり朝日・毎日系と読売・産経系で大きく別れました。前者が、多少なりとも反対運動の動きをそれなりに詳しく伝えたのに引き換え、後者の記事は、もう完全に政府と一緒になって反対運動を押さえつける立場で書かれたものばかりでした。「戦争法案」「徴兵制復活」への懸念を「大きな誤解」と切って捨てる官房長官談話をそのまま無批判に垂れ流したり、警察発表のデモ参加者数をそのまま鵜呑みにして主催者発表数を「水増し」とレッテル貼りするだけで、「なぜこのようなデモが起こったのか?」という本質的な問題には一切触れないものばかりで。

 その中でも、最後の産経記事なぞは特に悪質なものです。国会前の空撮写真にマス目を引いて、その中の一マスの人数225人にマス目の数を掛けて「12万人もいないじゃないか」と書いたのです。しかし、大きなデモになればなるほど、人の入れ替わりも激しくなります。集会開始の定刻に間に合わずに遅れてやって来る人や、会場に入りきれずにその周辺にたむろする人も一杯出てきます。実際に、周辺の地下鉄駅では、警察の過剰警備によって、駅の出入り口を塞がれ会場にたどり着けない人が続出しました。それに、集会やデモが行われたのは国会前だけではありません。近くの霞ヶ関の官庁街でも大規模なデモが、国会前のデモと連携して取り組まれました。大きなデモになれば別会場も当然用意されます。そんな事は、今まで一度でもデモに参加した事のある人間なら誰でも知っている事ですが、保守系の産経読者には、その辺の事情にうとい人が少なくない事も知った上で、産経はこのような印象操作まがいの記事を平気で載せるのです。

 それで、もし百歩譲って産経の言うように、デモ参加者が実際は12万人ではなく3万人だったとしても、大阪・枚方の一市長選挙での維新候補の勝利と、戦争法案反対という今一番問題になっている国政レベルの主張を掲げた国会包囲デモの、一体どちらが朝刊一面に載せるべき記事なのか。たとえ自民党寄りのメディアであっても、今後の政治に与える影響力という点を考慮すれば、後者の方がはるかに重要だと判断するのが普通でしょう。それを、全国規模のデモのニュースは三面記事扱いで、地方の一市長選挙での勝利を維新候補だという理由だけで一面に載せるとは、どう考えても公平ではありません。産経は、二言目には「朝日や毎日は偏向している」と言いますが、むしろ偏っているのは自分たちの方ではないですか。

 しかし、では朝日や毎日は、読売や産経とは違って公平かと言えば、そんな事は一切ありません。戦争や平和の問題では「反政府」的な記事を書く事も多い朝日や毎日も、経済問題に目を移せば、消費税増税やTPP(環太平洋経済連携協定)推進では政府や読売・産経と瓜二つなのですから、はっきり言って「どっちもどっち、同じ穴のムジナ」にしか過ぎません。安倍首相が、重要法案の採決前に、マスコミ各社の幹部を呼んで会食しているのは、もはや公然の秘密ですが、そこに呼ばれるのは読売や産経だけでなく、朝日や毎日の幹部も同じように参加しています。

安倍首相が高級寿司店で大手新聞、テレビ局の幹部たちと“祝勝会“!?(リテラ)

(前略)選挙から2日後の12月16日、夜7時頃のことだ。西新橋にある寿司店の個室にご機嫌な様子の安倍首相の姿があった。周りを囲むのは自民党重鎮や側近ではない。時事通信の田崎史郎解説委員、朝日新聞の曽我豪編集委員、毎日新聞の山田孝男特別編集委員、読売新聞の小田尚論説主幹、日本経済新聞の石川一郎常務、NHKの島田敏男解説委員、日本テレビの粕谷賢之解説委員長といった、新聞紙面やニュース番組で名前や顔を見かける面々……。そう、この日、日本を代表する大手マスコミの政治報道のエキスパートたちが安倍首相に“ご招待”を受けていたのである。(後略、以上引用)

http://news.livedoor.com/article/detail/9611401/

 上記は昨年末の総選挙直後に書かれた記事ですが、基本的な事情は今も同じです。朝日や毎日が、読売や産経ほど「政府べったり」ではないのは、ある程度違う事も書かないと、今までの記事に慣れ親しんだ読者が離れていってしまうし、どの新聞も全く同じでは面白味がなくなるからです。いわば、たったそれだけの理由です。だから、いくら今は比較的「政府に批判的」であっても、百田尚樹のような政府の息のかかった民間人を使って少し脅せば、すぐに「政府べったり」の方に寝返ってしまいます。
 NHKがその良い例です。かつては、「クローズアップ現代」で格差社会や「派遣切り」の問題に鋭く切り込んだ番組を放送した事もあるNHKも、従軍慰安婦報道で「反日的」だとネトウヨ(ネット右翼)や当時の安倍首相(第一次内閣)から叩かれ、政権の息のかかった会長や経営委員に運営を牛耳られるようになった途端に、腑抜けみたいな番組ばかりになってしまい、今や産経みたいに、中国のデモのニュースは報じても肝心の日本国内のデモのニュースは一切報じないような「御用メディア」に成り下がってしまいました。その結果、下記のニュースにもあるように、全国各地で視聴拒否や受信料不払いの抗議運動まで起こされるようになってしまいました。

「政権の広報やめろ」 NHK囲み、市民団体が抗議行動(朝日新聞)

(前略) 安全保障関連法案についてのNHKの報道が政権側に偏っていると考える市民らが25日、東京・渋谷のNHK放送センターを囲む抗議行動をした。元放送局員や有識者などでつくる市民団体のメンバーらが実行委員会をつくり、チラシやインターネットで参加を呼びかけた。約1千人が参加したという。
 参加者は、センターや帰っていく職員に向かって、「政権の広報はやめろ」「NHKは自主自立を取り戻せ」「市民の行動を伝えろ」などと訴えた。実行委のメンバーで「NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ」共同代表の醍醐聰・東大名誉教授は「反響は大きく、NHKに対する不満や批判が広がっていることを実感した」と語る。
 埼玉県日高市の50代の女性会社員は安保関連法案にからむ国会審議の一部が中継されなかったことに違和感を持ち参加した。「NHKは70年前の戦争の特番はたくさん放送したのに、これからの平和を議論する番組が少ない」と話した。(後略、以上引用)

http://www.asahi.com/articles/ASH8T6GFHH8TUCVL02X.html

 日本は、今やそんなどうしようもない「大本営発表」の「翼賛報道」ばかりになってしまいましたが、しかし、望みがない訳ではありません。いかに「御用メディア」と言えども、「売れなければ商売にはならない」のです。今後の市民運動の広がりによって、安倍政権のデタラメさや危険性が更に明るみになり、デタラメさや危険性について「もっと知りたい」「マスコミはそういうニュースについても、もっとちゃんと報道しろ」という声が大きくなれば、マスコミもそういう声を無視する訳にはいかなくなります。
 今まで「政府べったり」だった週刊文春が、ここに来て急に右翼議員・武藤貴也のスキャンダルを叩き始めたのも、武藤の「戦争反対は利己主義」発言と武藤自身の未公開株詐欺・買春疑惑の「私利私欲」との間の、余りにも「言っている事とやっている事が違う」デタラメぶりを前にして、「今更、他のメディアのように安倍ヨイショに走っても、もうこれ以上販売部数は伸びない。むしろ、今までとは逆の記事も書いた方が売れる」という、週刊文春なりの「打算」もあったかも知れません。
 「安倍政権のデタラメさや危険性について、もっと知りたい」「マスコミはそういうニュースについても、もっとちゃんと報道しろ」という声をどれだけ広げる事が出来るか。その結果によっては、今まで「御用メディア」とバカにしていた新聞、テレビや週刊誌も、ある程度、権力監視というジャーナリズム本来の立場に立ち返らせる事が出来るようになるかも知れません。

 これ以上、安倍政権の無法をのさばらせる訳には行きません。その為には、我々に出来る事は何でもやならければなりません。メディアの偏向についても、いたずらに嘆いてばかりいるのではなく、それを是正する為には、やれる事は何でもやらなければならないと思います。
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