11月1日のいわゆる「大阪都」(正確には特別区)設置住民投票まで残すところ後1ヶ月余りとなりました。大阪府と大阪市の「二重行政」を解消する為に、大阪市を廃止して4つの特別区に分割する事の是非を問う住民投票です。前回の住民投票では、大阪府も東京都にならい「大阪都」になるのだと言われて来ました(大阪都構想)。
しかし、大阪市を廃止しても、大阪府が自動的に「大阪都」になる訳ではありません。「大阪都」にするには、また別の法律を新たに作らなければなりません。大阪府のまま、大阪市だけが淀川・北・中央・天王寺の4つの新たな特別区に生まれ変わるだけです(同じ区名でも従来の区とは区域も権限も全く違う点に注意)。そこで、今回はより正確を期す為に、「特別区設置」の文言が新たに付け加わる事になりました。そこで記事のタイトルも上記のように変えました。但し、「大阪都構想」の名称も広く使われているので、小見出しには「都構想」の名称も使わせてもらいました。
「大阪都」にするには、また別の法律を新たに作らなければなりません。その一方で、一旦この投票で特別区設置が可決されてしまったら、もう後戻りは出来ません。大阪市は2025年1月1日に消えてなくなります。後戻りする為の法律も整備されていないからです。そんな大阪市民の将来を決める大事な住民投票なのに、よく分からない人もまだ大勢おられます。「そんな事に時間を費やす暇があるなら、新型コロナ対策にもっと力を注げ」という意見もあります。
そこで、住民投票の中身や矛盾点について、私が区役所のチラシ等を基に、簡単に分かりやすくまとめてみました。ツイッターのつぶやきを繋いだだけのまとめなので、舌足らずな点も多分にあると思います。そんなまとめですが、投票の参考資料としてお使いいただければ光栄です。
都構想の矛盾① カジノ等の箱モノ建設まず先にありき
府市連携の成果として挙げているのがインフラ等の箱モノばかり。「りんくうタワーとWTCビルの高さ争いの様なムダを省く」為の都構想じゃなかったのか?その挙句に「研究機関等の統合」で学部も校風も異なる市大と府大を無理やり統合。カネ勘定の話ばかりで学生の気持ちも無視。
都構想の矛盾② 数合わせの区割りでバラバラな特別区に分割
「広域行政は大阪府に任せ身近な事は特別区が決める。これぞニア・イズ・ベター」と。だが港区の人に東淀川区の何が分かる?中央区のタワマン住民が西成区の日雇い労働者の事をどれだけ知っている?単に数合わせで繋ぎ合わせただけのバラバラな特別区。まさに住民不在の象徴だ。
都構想の矛盾③ 自治とは名ばかりの地域自治区
「大阪市廃止後も区役所はそのまま地域自治区の事務所として残す」と。なら今の大阪市で充分。わざわざ廃止して4つも特別区を置く必要ない。これでは二重行政ならぬ三重行政だ。実は地域自治区なんて形だけ。構成主体はあくまで特別区。自治区の統廃合も大阪府の胸先三寸。
都構想の矛盾④ 少ない職員をあちこちの庁舎にバラバラに配置
区役所(地域自治区)は残す建前上、職員を急には減らせない。コスト削減のしわ寄せは特別区職員に。特別区は都構想の実働部隊でありながら、自前の庁舎だけでは足りずに他区の庁舎にも間借りする事に。その下で、たらい回しにされる住民こそ、いい迷惑。
都構想の矛盾⑤ 住民の意見が反映されない一部事務組合
清掃や介護保険など特別区単独では賄えない業務は4特別区で作る一部事務組合で対処する事になる。ゴミ収集料等の金額は組合議会で決められる。組合議会の議員は特別区議会から選ばれる。区民の直接選挙で選ばれる訳ではないので、今までより区民の声が反映され難くなる。
都構想の矛盾⑥ 大阪府からの「小遣い」に頼る財源
政令指定都市の大阪市から中核市レベルの特別区に。実際は都市計画の策定も出来ない町村以下にレベルダウン。財源も8500億から3000億に減らされ、不足分は大阪府からの「小遣い」(財政調整)頼みに。しかし、大阪市以上に大赤字の大阪府が、特別区の求めに応ずる保証はない。
都構想の矛盾⑦ 東京23区よりもっと悲惨な事に
東京都が出来たのは戦争遂行の為。今の地方分権の流れとは逆。それでもどうにか機能しているのは、東京23区に都の7割の人口が集まり大企業本社からの税収も多い為。それに対し、大阪市の人口は府の僅(わず)か3割で本社も少ない。東京の猿真似なぞしても上手く行く訳がない。
都構想の矛盾⑧ そもそも二重行政の何が悪いのか?
意見の違いを一方的に抑えつけたりせず話し合いで解決するのが民主主義。それを「大阪市が大阪府の言いなりにならなければ二重行政だ」と謗(そし)るのは府知事による独裁、地方自治の否定だ。二重行政解消で大阪が成長すると言うが、実際はカネ勘定の話ばかりで住民をコスト呼ばわり。
都構想の矛盾⑨ 隣接市も巻き添えに
もし都構想が可決されたら隣接市も只では済まない。大阪市の隣の堺や八尾も特別区を設置できると、法律にあるからだ。しかも自治体まるごと区になる場合は住民投票も省略できる。議会の議決だけで一つの市を無くす事も可能になる(大都市特別区設置法の特例条項)。それを防ぐ道は都構想否決しかない。
先週の土曜日に、南海天下茶屋の駅前・イズミヤ前で維新が都構想住民投票に賛成を呼びかけるビラを配っていました。以下に記す様に、ビラの中身は確かにトンデモでした。
―そして自民党の選挙戦術も、腰が定まっていませんでした。野党の前では「自分たちは大阪党だ。都構想反対の為に共に頑張ろう」と言いながら、支持者の前では「自分たちはあくまで自民党だ。共産党なぞは勝手に我々を応援しているだけで、むしろはた迷惑なくらいだ」と言っていたのですから、お話になりません。これでは、せっかく都構想反対の一点で、「たとえ自民党でも応援してやろう」と思っていた共産党支持者も、「こんな事言われるぐらいなら、棄権するか、むしろ維新に入れて自民党に一泡吹かしたい」と思う人が出ても不思議ではありません。
以上「覚悟の違いが票数に出た大阪ダブル選挙」より
https://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/55c8d108f420c3b71fa18f90dcbfe238
昨日書いたブログ記事「本当の事を言って何が悪い」の内容を取り消します。
まず、記事の背景として、安倍総理の突然の辞任に触発され(または同じタイミングで)、次の様な事が相次いで起こりました。
①立憲民主党の枝野代表が、受動喫煙対策として喫煙が禁止されている議員会館の自室で喫煙していた事が明らかになった(新聞記事参照)。
②同じく立憲民主党の石垣のり子・参院議員が、ツイッターで、安倍首相の事を「大事な時に体を壊す癖がある」と揶揄した(左のツイート参照)。
③京都精華大学の白井聡・講師が、安倍首相の辞任会見を見て「切なくて泣いた」と呟いたユーミン(松任谷由美氏)に対して、「夭折(ようせつ)せよ=早よ死んでしまえ」とフェイスブックで呟いた(右の投稿参照)。
この3つの事例に対して、いずれも強い批判がネット上で広がりました。
①については、与党の不正を糾すべき野党の指導者が法律違反(改正健康増進法違反)を犯している、と。
②については、誰しも病魔には勝てないのに、安倍首相の時だけ非難するのは如何なものか、と。
③については、誰がどの政治家を応援しようが個人の自由なのに、それを表明しただけで「死ね」呼ばわりするのは言論封殺に他ならない。安倍政権の言論抑圧を非難する資格なし、と。
それに対して私は、「安倍は、森友問題の公文書改ざん強要で公務員の自殺者まで出し、河井案里の選挙違反で自ら買収工作を行う等、もっと酷い事を一杯やっているのに、それを批判せず、野党の不手際ばかり咎めるのは、為にする批判であり、ダブルスタンダードだ」という趣旨の事を、当該記事に書きました。
しかし、このうちの①と③については、今から考えると、明らかに私の勇み足でした。
まず①について。
受動喫煙対策が言われるようになった背景には、喫煙による死者が年間13万人、受動喫煙による死者も年間1.5万人に及ぶ事実があります。この為、国もようやく重い腰を上げ、この度の法改正で、公共施設内の全面禁煙が施行される事になりました(参考:日本医師会HP、厚労省HP)。
日本は長い間「喫煙天国」でした。その陰で、非喫煙者は長い間、肩身の狭い思いをしてきました。私自身も、喫煙者が喫煙室にこもって煙草を吸っている間、非喫煙者である私が事務所の電話を取らざるを得なかったという、苦い思い出があります。忙しいのは非喫煙者も喫煙者も同じであるにも関わらず。その陰で、これだけ大勢の人が、たばこの害で亡くなっていたのです。喫煙者だけでなく非喫煙者も、副煙流による肺がん、心筋梗塞などで。
これは、もはや「公害」による「人権侵害」です。非喫煙者の運動によって、このような「人権後進国」の状況がようやく是正されつつある中で、よりによって与党の襟を正さなければならない立場の野党党首が、かつての与党と同じような事をして一体どうするのか?この事に対する自覚が欠けていました。よって①については、記事内容を全面的に撤回したいと思います。