雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森 142 大西科学さん著『さよならペンギン』ハヤカワ文庫

2011年03月09日 06時12分39秒 | 本と映像の森
本と映像の森 142 大西科学さん著『さよならペンギン』ハヤカワ文庫、早川書房、2010年5月25日発行、313ページ、定価700円+消費税

 主人公は、学習塾「八起(やおき)学園」の講師、南部さんです。何才なのか、設定はよくわからないのですが、中年と青年のあいだくらいでしょうか。
 
 独身でアパート住まい、で、2階建ての奥から2番目の部屋。
 しかも、なんと「ペンギン」と同居です!

 それも、しゃべるペンギンで、名前は「ペンダン」。
 もちろん、外出するときは、ペンギンの格好ではいれないので、
 なぜか幼い少女の格好になるベンダンが、可愛いです。

 主人公の南部さんは、じつは1500年以上生きている「観測者(オブザーバー)」で、ペンダンは南部さんと共にずっと生きている「延長体」なのです。

 南部さんと少女姿のペンダン、塾の女性事務員・谷一恵さん、女子生徒の沢井さん・長谷川さんなどが織りなす、ふつうの日常生活と、それに対比するように激化する「未来を手にするための争い」。

 最新の宇宙理論で、1つの宇宙が、子どもの宇宙を生み出し、さらに孫宇宙を産み…という時空連続体、それがどう生み出されるかを描いた、とても素敵な小説です。

 つまり、この宇宙から、次の宇宙を生み出すための、壮大な闘争です。

 なにが正義かは、わからないのですね。
 正義かどうかより、次の宇宙を生み出せれば、それでいいと思います。