雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

震災・くらし情報 管首相の「浜岡一時停止要請」は何をめざしたのか?

2011年05月12日 06時51分26秒 | 地震・原発・津波・防災情報
震災・くらし情報 管首相の「浜岡一時停止要請」は何をめざしたのか?

 首相が中電に「浜岡一時停止」を要請したのは,なぜなのでしょうか?
 もちろん、このことは高く評価しますが、問題は次の段階をどう考えているかです。

 おそらく首相や電力業界が考えているのは、浜岡一時停止という、大胆な「1つの砦を放棄」することで「浜岡再開」と「浜岡以外の原発を維持する」ということでしょう。

 「1つを捨てることで、他を守る」手法でしょうね。

 そのために今、政府と業界がとっている戦略が「津波対策だけで浜岡原発を再開する」というとんでもない矮小化ではないでしょうか。

 東日本大震災の「地震」そのものの福島原発などへの影響は、調査も分析も反省もいっさいなしに、とにかく「津波」だけで押し切ろうということでしょう。

 争点は「津波がなければ原発は安全」なのか、になってくるのでしょうか。

 この問題で、もっとみんな勉強しないと、と思います。

 「部分措置」は評価しつつ、「部分措置だけ」にまどわされずに、基本目標=浜岡廃炉を追求していきたいです。

 

震災・くらし情報 原子炉と原発、軍事利用と平和利用(その2)

2011年05月12日 06時28分55秒 | 地震・原発・津波・防災情報
震災・くらし情報 原子炉と原発、軍事利用と平和利用(その2)

 大まかな物語を書きますね。大まかな話ですので,詳しくは、いい解説書を読んでください。

 そもそも原発は「原発」ではなくて「原子炉」でした。

 1930年代から素粒子にかんする発見があいついで、ウラニウム元素の核分裂も発見されました。

 ウラン鉱石のうち、通常は0.7%しかないウラン235に中性子を当てると核分裂を起こします。あと99.3%は核分裂を起こさないウラン238です。

 ウランが核分裂するときに2個の中性子を発生することも発見され、この2個の中性子が他のウラン原子にぶつかると核分裂を引き起こし、さらに核分裂の連鎖を起こすことが出来ると予測されました。
 こん予測を確認するためにアメリカのシカゴで作られたのがフェルミさんが指導する世界最初の原子炉でした。
 これは成功して「臨界」を記録しました。

 さらに、うらん238の方に中性子が当たると、プルトニウム239という核分裂を起こせる人工放射性元素を作ることも発見されました。

 問題なのは、核爆弾をつくるにはウラン鉱石を濃縮してウラン235の比率を高めるか、プルトニウムを濃縮するかの2種類の方法があったことです。

 ウラン核兵器を作るにはウラン鉱石を濃縮すればいいので原子炉はいりません。
 プルトニウム核兵器を作るには、① ウラン原子炉でプルトニウムをつくる ② 原子炉のプルトニウムを化学的に分離して取り出して「兵器級プルトニウム」に濃縮する、という2段階の手順を踏みます。

 プルトニウム原爆をつくるためには、必ず原子炉が必要なのです。フェルミの原子炉の次に実用化されて開発されたのは、このプルトニウム生産のための原子炉でした。電力発電のためではありません。

 ウラン原爆は広島に投下され、プルトニウム原爆は7月にネヴァダの砂漠で実験されてから長崎に投下されました。

 戦後、この原子炉技術を転用してまず開発されたのはアメリカでは発電所ではなくて、潜水艦用の動力となる原子炉でした。

 この原潜原子炉技術を転用したのが、いま日本がアメリカから輸入した原発技術の一つです。

 軍事の匂いを色濃く持った「平和利用」であることから、出てくる様々な問題点についても、考えていきたいと思います。
 (まあ、自転車操業ですので、考えながら行動する。行動しながら考えるので、お許しを)

 なお、いま世界的にプルトニウムがかなり生産済みで蓄積していますので、原発を全敗することと、核兵器をなくすことはイコールではないですが、その関連について、きちんと私たちが認識しておくことは無意味ではないと思いますが、いかがですか?



 アメリカのマンハッタン計画では、ウラン核兵器とプルトニウム核兵器の2種類が開発されました。