本と映像の森 158 アガサ・クリスティさん『そして誰もいなくなった』ハヤカワ文庫、早川書房、2003年10月15日発行~2009年9月30日14刷、367ページ、定価680円+消費税
実は、コナン・ドイルさんの「ホームズ」はたくさん詠みましたが、クリスティさんはこれまで読んでいませんので、最初です。
イギリスの本土から孤立した小さな島に集められた10人の男女が、むかしの童謡(これはマザーグース?)の歌詞の通り、順番に殺されていきます。
10人は、それぞれ過去に、「殺人」県議のある人たちですが、法律によって裁かれていないか、裁かれようのない事件だったりします。
物語でそれぞれの人の生活や心理がリアルに描かれていて、そこがたぶん、クリスティさんの著書の魅力なのでしょうね。
単なる殺人事件解決編ではないです。テレビの「名探偵コナンくん」はきらいではないのですが、そういう点では、ぼくは不満が残ります。
途中で、「犯人はこの10人の中にいるはずだ」と疑心暗鬼になるのですが、ストーリーはタイトルどおり「そして誰もいなくなっ」て…最後の解決編へ突入します。
ぼくは一晩で読みましたが、真犯人はわからずに解決編に突入しました。普通は、名探偵がその場にいて、あるいは後から現場に到着して謎を解決するのですが、この書は、そういう名探偵は登場しません…というのが謎を解くヒントです。
もちろん、そういう「名探偵」的人間は、こういう場から注意深く排除されたのでしょう。もしそういう「名探偵」がいたら、最初の殺人の時点で、全員集合をかけて、「全員が一つの部屋で生活する」「Aさんが部屋から離れるときは、必ずAさん以外の人間が決めた人と複数で離れること」をしたのではないでしょうか?