日本古代史 10月17日 「万葉集」皇族・貴族の称号の訳語の感想
『万葉集』を、我々のような市民が読むときに、普通は、原文ではなく「読み下し文」で、五七五七七にして読んでいます。
問題はそのときの訳語ですが、たとえば皇族・貴族の称号をどう読んでいるのでしょうか。
ぼくは講談社文庫の中西進さんの5巻本「万葉集」が原文が付いているので愛読していますが、これを引用します。かなりの漢字にふりがながついているので便利です。
原文 読みかた 引用例 歌番号
大王 おほきみ
王 おほきみ 額田王(ぬかたおほきみ) 7番
女王 おほきみ 誉謝女王 59番
王女 おほきみ 鏡王女 91番
天皇 すめろぎ 29番
皇子 みこ 川島皇子 34番
皇女 ひめみこ 御名部皇女 77番
大王=大(おほ)+王(きみ)であるという解釈なら、やはり、王=きみと読むのが論理ではないでしょうか。
もちろん「きみ」は漢字で書けば「君」です。
さらに「女王」も「王女」も「おほきみ」と読むのはどういう感覚なのか。日本語で歌うためというなら、繊細な日本語を尊重して、きちんと訳し分けていただきたいです。
むしろ音読みで「大王 だいおう」、「王 おう」「女王 じょおう」「王女 おうじょ」とした方がスッキリするのではないでしょうか。
ここまで書いてから、用語問題と言うより、もっと深い論点を思いつきました。
つまり「大王」とは、古代の日本列島で存在した国には、ただ一人しかいないはずです。西洋の「王様」的な存在が大王です。
ところが「王」は、大王の息子とか、前の大王の息子とか、いっぱいいるので、西洋でいうと「王子」的な存在ですね。
実際上、古代のあの時代に、たとえば6世紀前半の、継体天皇(というのは後の時代の言い方で,あの時代には「継体大王}でしょう)と天皇家の王子たちを同じ「おほきみ」と呼ぶとは、考えられません。
『万葉集』を、我々のような市民が読むときに、普通は、原文ではなく「読み下し文」で、五七五七七にして読んでいます。
問題はそのときの訳語ですが、たとえば皇族・貴族の称号をどう読んでいるのでしょうか。
ぼくは講談社文庫の中西進さんの5巻本「万葉集」が原文が付いているので愛読していますが、これを引用します。かなりの漢字にふりがながついているので便利です。
原文 読みかた 引用例 歌番号
大王 おほきみ
王 おほきみ 額田王(ぬかたおほきみ) 7番
女王 おほきみ 誉謝女王 59番
王女 おほきみ 鏡王女 91番
天皇 すめろぎ 29番
皇子 みこ 川島皇子 34番
皇女 ひめみこ 御名部皇女 77番
大王=大(おほ)+王(きみ)であるという解釈なら、やはり、王=きみと読むのが論理ではないでしょうか。
もちろん「きみ」は漢字で書けば「君」です。
さらに「女王」も「王女」も「おほきみ」と読むのはどういう感覚なのか。日本語で歌うためというなら、繊細な日本語を尊重して、きちんと訳し分けていただきたいです。
むしろ音読みで「大王 だいおう」、「王 おう」「女王 じょおう」「王女 おうじょ」とした方がスッキリするのではないでしょうか。
ここまで書いてから、用語問題と言うより、もっと深い論点を思いつきました。
つまり「大王」とは、古代の日本列島で存在した国には、ただ一人しかいないはずです。西洋の「王様」的な存在が大王です。
ところが「王」は、大王の息子とか、前の大王の息子とか、いっぱいいるので、西洋でいうと「王子」的な存在ですね。
実際上、古代のあの時代に、たとえば6世紀前半の、継体天皇(というのは後の時代の言い方で,あの時代には「継体大王}でしょう)と天皇家の王子たちを同じ「おほきみ」と呼ぶとは、考えられません。