古代史の本 安本美典責任編集『季刊邪馬台国116号』梓書院、2013年1月
ぼくが定期購読している『季刊 邪馬台国』は日本列島の西端、福岡市の梓書院から発行されています。こういう「地方(失礼!)」の小さな出版社からの「邪馬台国九州説」の雑誌が、近畿や東京で蔓延する病気「巻向遺跡=邪馬台国」説や、「箸墓=卑弥呼の墓」説を真っ正面から批判していることに、勇気と知恵を感じ、心より応援しています。
興味のある方は、ぜひ一度、手にとって読んで見てください。気に入ったら定期購読してくだささい。
旧石器ねつ造事件で、それを事前に正面から批判していた一人が竹岡俊樹さんです。竹岡さんが「特集 考古学を疑え」の巻頭論文「旧石器時代研究のゆくえ」をNさんとの対話という形で執筆しています。
対話しているNさんの発言では、すでに旧石器学界は死んでいる。生き返るチャンスは、藤村のインチキが発覚した2000年11月の時点の後で充分あったのに、みんな自己批判を回避して、竹岡さんの具体的な批判を無視して、自己保存と延命に走った。だから、もう生き返れない。
10年以上経ったんですね。
次の論文の、辻本武さん著「旧石器捏造事件考」が秀逸ですので、その目次を紹介します。原文は辻本武さんのHP「『歴史と国家』雑考」で、読むことができます。
1 旧石器捏造事件 ー節穴の目かー、2 発掘現場では ー見えないものが見えたー、3 石器の観察 ー見えるものが見えないー、4 石器の実測 ー太古と現在の区別がつかないー、5 層位は形式に優先する ー信じられなくても疑わないー、6 捏造「事実」から生まれた歴史像 ー理屈と膏薬はどこにでもつくー、7 脂肪酸分析 -類は友を呼ぶー、8 批判があったが ー正しくても孤立するー、9 彼は「神」になった ー学界はついにカルト宗教と化す-、10 責任を問われることなく… ー彼一人を悪人にして責任逃れー
もっと考えていきます。