新・本と映像の森 227 ことばと詩 8 橘曙覽「灯火のもとに夜な夜な・・・」
橘(たちばな)曙覽(あけみ)は江戸時代の文化九年(1812年)に生まれて。刑事維新直前の慶応四年(1868年)に没した歌人・国文学者です。
「覽」は「ウィキペディア 橘曙覧」では「覧」になっていますが、本来は「覽」です。
「たのしみは」の連作は、よく紹介されていますが、今日はボクの好きな1首を紹介します。
「灯火のもとに夜な夜な来たれ鬼、我がひめ歌の限りきかせむ」
( 羽仁五郎『明治維新』岩波新書、1956年改版、p78 )
江戸の時代背景と彼の生涯をバックに見て、よく味読することが可能な歌です。「鬼」とはなんでしょうか。「我がひめ歌」とは、どんな「秘め」られた歌・秘密の歌なんでしょうか。
ボクは後世の「鬼」たちに、彼が「我がひめ歌」を秘かに書き残さなかったのか、と思考します。