新・本と映像の森 232 石井桃子『プーと私』河出文庫、2018年
河出書房新社、250ページ、定価本体740円。
児童文学者・訳者の石井桃子さんは11年前、2008年に101才で亡くなりました。
ボクはかなりおとなになってから、彼女が『くまのプーさん』『ピーターラビット』の訳者であることを知りました。
『ドリトル先生』の井伏鱒二(いぶせ ますじ)さん訳をプロデュースしたのも石井桃子さんです。
じっさいに10代で『くまのプーさん』を読んだときには、誰が英語から日本語に訳してくれているかなんて全然頭になかった。
石井桃子さんが『くまのプーさん』『ピーターラビット』を訳していくのは、ひとつの、いやいくつもの物語です。
そしてこれらの作者、A・A・ミルンやビアトリクス・ポターの物語も興味深いです。
ボクは、ながいあいだ離れていた「プー」や「クリストファー・ロビン」や「コブタ」に会いたくなった。
「くまのプーさん」を石井桃子さんが初めて訳したのは戦前、すでに1940年のことだった。
戦後すぐ、「くまのプーさん」のファンは古本屋を探し歩いて、背に「のプ」だけが残った本をやっとのことでみつけたという。(p16)
ちなみにボクの本名には「のぶ」がつくので、この「のプ」の本は自分の本のように切ない。