§5[衝動と反省]
Die innerliche(※1 ) Bestimmung des praktischen Bewusstseins ist nun selbst entweder Trieb oder eigentlicher Wille. Der Trieb ist ein natürliches Selbstbestimmen, welches auf beschränkten Gefühlen beruht und einen beschränkten Zweck hat, über den es nicht hinausgeht, oder es ist das unfreie, unmittelbar bestimmte, niedere Begehrungsvermögen, nach welchem sich der Mensch als Naturwesen verhält. — Durch die Reflexion(※2) geht er über den Trieb und dessen Schranken auch hinaus. Er vergleicht ihn durch sie nicht nur mit den Mitteln seiner Befriedigung, sondern auch diese Mittel, so wie die Triebe selbst unter einander und mit den Zwecken seines Wesens(※3) und überläßt sich mit dem Schluss der Reflexion entweder der Befriedigung des Triebes, oder er hält sie auf und entsagt ihr.(※4)
§5
実行的な意識の内にある規定は今やそれ自身/衝動/であるか、あるいは/本来の意志/である。衝動とは自然による自己規定であり、そして、制限された感情にもとづいており、乗り越えることができない一つの限定された目的をもち、あるいはまた、それは不自由な直接的に規定された/低い欲求能力/であって、それによって人間は自らを自然の[動物的な]存在としてふるまう。⎯⎯ 人間は、/反省/を通してその衝動を乗り越えてゆき、そして、これらの制限をまた克服してゆく。人間は反省を通して、衝動とそれを充足させる方法とを比較するだけでなく、むしろ、衝動そのものをそれぞれ互いに比較するように、そして人間の存在の目的と比較するように、これらの方法も互いにまた比較する。そして反省の推理によって、自身を衝動の充足に委ねるか、あるいは、そうでなければそれを抑制し断念する。
innerlich
adjective: 内的、内部の、内面的、 内在的
はその対義語である äußerlich と比較すると語義がより明確になる。
adjective 外部の、外的な、 対外の、外在的
内外を区別する基準は何か。それは「私」であり「自意識」である。
※2
Reflexion 反省
noun: 反射、 反省、 反映、映像、 反影、回想、反照、自省、省察、 思案
Reflexion 本来は反射の意。人間の意識が自己内分裂を遂げ、二つに別れることによって、相互に映し合うようになり、自己を自己として意識するようになる。この人間の意識の自己内分裂の意義をはじめて明らかにしたヘーゲル哲学においては、Reflexion 反省 は重要な意義をもっている。それは思考の始まりであり、人間と動物を本質的に区別するものである。
※3
Wesens あること、存在、実体、本質
mit den Zwecken seines Wesens 人間存在の目的、人間の本質的な目的と衝動とを比べて。
※4
衝動は、人間にとっては動物と次元を同じにする感情にもとづいた「低級な欲求能力」であるとされている。
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