船内では生演奏会が何度も開かれた。当初はフィリッピンのミュージックリバー・バンドで、男性のみ5~6人の構成であった。ギリシアからはウクライナからやって来た女性1人(ボーカル)を含むステップ・バイ・ステップというバンドに変わった。
フイリッピンのバンドはアジア系なので親しみが持て、ウクライナのバンドはグラマラスな巨体から醸し出される声量に圧倒された。バンドリーダーのピアニストの音色は軽快でいてかつ重厚。各バンドマンの演奏や歌唱は見事なハーモニーぶりで、私たちを楽しませてくれた。
彼らは船会社主催のライブ、歓迎会、ダンスパーティの他にもバーで夜3時間ぐらい交互に生演奏をしていた。勿論客の注文にも応じていたのでレパートリーは広かった。そんな折昔懐かしい映画音楽等充分楽しめた。
下船数日前になるとアチコチで親交も深まっていた。ギタリストと親しくなった知人に同席を許されてお喋りを楽しんだ。彼は大の親日家で自分のギターは日本製だと言った。日本大好き人間のようで、「車も息子のバイクも勿論日本製だよ」と自慢していた。 自分の出番を終えた後での小人数での飲み会だったがその席で、私を含むもう1人の女性のリクエストに応えて更に2~3曲演奏してくれた。彼女は感激の余り涙すら浮かべていた。kumarとはその前日だったか同席した。自分の役割を充分に果たしたkumarも開放感に満ちており満足そうであった。