玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*身近な自然観察

2011年11月21日 | 捨て猫の独り言

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 庭にはツワブキの黄色の花に続いてピンク色のネリネの花が咲いている。一方ヤツデの花はまるでカリフラワーのようで、花と呼ぶには抵抗がある。しかし近づいて観察してみると固いつぼみが花開いて微小な無数の突起が集合してみごとな球形を形成している。思いがけなくも自然の造形美の発見である。そこには小さな虫たちも寄ってきている。この冬に「ヤツデの花」と呼ぶことを覚えた。

 遠近両用のメガネは度数が弱くなり、眼科医院では読書専用のメガネ(老眼鏡)を勧められている。だが新しいメガネの購入に踏み切れないでいる。読書からは遠ざかるばかりの中でめずらしく手にした本がある。副題が「童謡・唱歌を科学する」で本題は「赤とんぼはなぜ竿の先にとまるのか?」という本である。これを拡大鏡を片手に目をしょぼつかせながら読み始めた。最近の私の興味に応えてくれる本である。つぎにごく一部だが本の内容を紹介したい。

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 唱歌「ちょうちょう」のひみつの章につぎのようなことがあった。モンシロチョウが菜の葉にとまるのは、葉に卵を産みつけるためである。植物にとって、旺盛な食欲で葉をむさぼり食う昆虫は大敵である。植物は毒物質を体内に用意して防御する、昆虫は植物の防御策を破る方法を発達させる。両者の軍拡競争によってライバル関係の組み合わせが作られる。特定の種類の植物しか食べない狭食性の昆虫が多いのはそういうわけである。

 童謡「あかとんぼ」のひみつの章につぎのようなことがあった。日本のことを、古くは秋津島と言った。秋津とはトンボの古名である。神武天皇が大和の国を一望して「秋津がつながっている姿のようだ」と口にされたことに由来しているという。いったいどんな姿なのだろうか。トンボの交尾は少し奇妙である。生殖器はオス、メスとも尾の先にあるがオスは生殖器で作られた精子を腹部へ移す。オスは尾の先でメスの頭部と連結し、メスは尾の先の生殖器をオスの腹部につけて精子を受け取るのである。こうした間接的な精子の受け渡しによって、円のような形がつくられる

コメント (1)
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